◎主要国は石炭を含む化石燃料に関する取り決めと、開発途上国に対する財政援助ですったもんだしている。
11月12日、グラスゴーCOP26国連気候サミットの交渉担当者たちは主要な誓約に関する協議を継続した。
会議は18時に終了する予定だったが、決議はまとまらなかった。開催国のイギリスは13日中に決議を取りまとめると述べた。
主要国は石炭を含む化石燃料に関する取り決めと、開発途上国に対する財政援助ですったもんだしている。
海面上昇に脅かされている島国の使節たちは12日の最終演説で「決断しなければならない」と訴えた。
ガボンの森林・気候変動大臣のリー・ホワイト氏は記者団に、「交渉はやや膠着状態」と述べ、米国とEUが残業交渉の中心にいると明らかにした。
COPの主要アドバイザーのひとりであるNPOパワーシフトアフリカのモハメド・アドウ氏は、「貧しい国々はボリス・ジョンソン英首相が作成した草案に失望している」と述べた。「COP26の声明は豊かな国がまとめたものになるでしょう。貧しい国の提案は反映されません...」
これに対し、ジョンソン首相は報道官を通じて、「野心的な結果になると信じている」と述べた。
石炭、金、期限の問題をめぐるすったもんだは開発途上国と気候活動家の批判を呼び起こし、ソーシャルメディアには多くの批判的な意見が寄せられた。
COP26は温室効果ガスの純排出ゼロと地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に維持することを主な目標としている。
<COP26の主要原則>
・温室効果ガス純排出ゼロに向けた持続可能な復興の推進
・野心的で実行可能な気候変動対策(ロードマップ)の策定
・情報共有によるトランジションの促進
・温室効果ガス純排出ゼロ達成に向けた各産業ごとの脱炭素化とイノベーションの加速
・官民による投資促進
・人々を中心とするトランジションの支援
・新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確立
目標を達成するためには、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を45%削減し、2050年までにネットゼロ(排出量おおむねゼロ)を達成する必要がある。
一方、豊かな国々は2009年のCOP15で貧しい国々に毎年1,000億ドルの財政援助を提供すると約束したが、目標額に届いたことは一度もなく、多くの批判にさらされている。
主要メディアによると、12日午前の決議案には財政援助を達成できなかったことに対する「深い後悔」と、先進国は貧しい国に対する資金提供目標を達成するという文言が含まれていたという。
決議案には、貧しい国が気候変動の影響に直面した際に利用できる基金を創設するという提案も含まれていた。しかし、温室効果ガスの主要排出国である米国を含む先進国は、貧しい国を補償するという法的義務に強く反対している。
また決議案には、「石炭火力と化石燃料に対する投資(融資)の段階的な廃止を各国に求める」という提案も含まれていた。
10日の決議案には、「石炭火力の段階的廃止と化石燃料への投資(融資)の段階的な廃止」というより強い文言が含まれていたが、見直された。
米国のジョン・ケリー気候特使はAP通信の取材に対し、「ホワイトハウスは現在の草案を支持している」と語った。「石炭の廃止は協議していません。私たちは石炭火力に対する投資について協議しています...」
ケリー特使は世界中で化石燃料に年間数兆ドルが費やされていることを「狂気」と呼び、投資の段階的な廃止の重要性を強調した。
しかし、気候活動家と貧しい国々の反応はイマイチだった。
COP26 これまでの主な合意事項(11月12日時点)
・米国と中国は地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に維持することに合意。
・世界の森林の約85%を占める100ヵ国以上の指導者が2030年までに森林破壊を止めることに合意。どのように監視するかは不明。
・100ヵ国以上が2030年までにメタンの排出量を現在の70%に削減することに合意。主要なメタン排出国である中国、ロシア、インドは拒否。
・米国とEUは2030年までにメタン排出量を70%削減するためのグローバルパートナーシップを締結。
・ポーランド、ベトナム、チリなどを含む40カ国以上が石炭からの移行に合意。中国、インド、米国、オーストラリア、日本、その他の石炭に依存している国は拒否。
・約450の金融機関が再生可能エネルギーなどのクリーンテクノロジーを支援し、化石燃料産業への融資を抑えることに合意。
・石油と天然ガスの使用終了と油田探査のライセンス付与の停止を目指す取り組みが始まった。