◎インドの人口は他の先進国よりはるかに多いため、一人当たりのCO2排出量は少ない。
2021年10月30日/イタリア、ローマで開催されたG20サミット、インドのナレンドラ・モディ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領(Ludovic Marin/AP通信)

11月1日、インドのナレンドラ・モディ首相はグラスゴーCOP26の首脳級会議で2070年までに温室効果ガスの排出量正味ゼロを達成すると発表した。

インドが公の場でネットゼロ(温室効果ガスの排出量正味ゼロ)を約束したのはこれが初めて。

米国を含む主要先進国はパリ協定に基づき、2050年までにネットゼロを達成すると約束している。中国は2060年までにネットゼロを達成し、国外の石炭火力建設への資金提供を停止すると約束した。

インドは中国と米国に次ぐ世界3位のCO2排出国である。

<CO2排出量ランキング BP統計 単位百万トン>
1位:中国 9,893
2位:米国 4,432
3位:インド 2,298
4位:ロシア 1,431
5位:日本 1,026

しかし、インドの人口は他の先進国よりはるかに多いため、一人当たりの排出量は少ない。2019年の統計によると、インドの一人当たりのCO2排出量は1.9トン、米国は15.5トン、ロシアは12.5トンだったという。

<一人当たりのCO2排出量 2019年EU統計>
米国 15.5トン
ロシア 12.5トン
中国 8.5トン
EU 6.5トン
インド 1.9トン

モディ首相は演説の中で、2030年までに国内の再生可能エネルギーの割合を全体の50%に引き上げ、その年までに年間のCO2排出量を10億トン削減するという計画も合わせて発表した。

またモディ首相は、気候変動対策で最も重要なことは「ライフスタイルの変化」と強調した。

気候活動家はインドの発表を概ね歓迎した。ある専門家は、「石炭依存から脱却することが何より重要であり、2030年までに再生可能エネルギーの割合を50%まで増やすという目標は重要な一歩になる」とツイートした。

インドは国内の電力の50%以上を石炭火力でまかなっている。

一方、COP26の主催者であるイギリスのボリス・ジョンソン首相は地球温暖化を「終末兵器」と呼び、首脳らにより野心的な目標を設定し実行に移すよう呼びかけた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「人類は今、自分の墓を掘っている」と述べた。

バルバドスのミア・モトリー首相は、気候変動の影響を最も強く受けている脆弱な島国を代表して怒りの演説を先進国に提供した。「私たちは利己主義がもたらす環境破壊を許しません...」

一人当たりのCOP排出量で先進国をリードする米国のジョー・バイデン大統領は前任者がパリ協定から一時的に離脱したことを謝罪し、「怠慢は危機を増幅させる」と世界に呼びかけた。

COP26は温室効果ガスの純排出ゼロと地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に維持することを目標としている。

<COP26の主要原則
・温室効果ガス純排出ゼロに向けた持続可能な復興の推進

・野心的で実行可能な気候変動対策(ロードマップ)の策定

・情報共有によるトランジションの促進

・温室効果ガス純排出ゼロ達成に向けた各産業ごとの脱炭素化とイノベーションの加速

・官民による投資促進

・人々を中心とするトランジションの支援

・新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確立

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