◎米国では広い範囲で猛暑が続き、西海岸以外の地域でも山火事の危険性が高まっている。
2022年7月24日/カリフォルニア州マリポサ郡郊外、消火剤をまく消防飛行機(Noah Berger/AP通信)

カリフォルニア州政府は25日、マリポサ郡などで発生した山火事について、6000人以上が避難を余儀なくされ、鎮火の見通しは立っていないと報告した。

マリポサ郡には非常事態宣言が発令されており、広い範囲で延焼が続いているとみられる。

米国では広い範囲で猛暑が続き、西海岸以外の地域でも山火事の危険性が高まっている。

カリフォルニア州森林保護・防火局によると、マリポサ郡最大の山火事「オーク・ファイア(Oak Fire)」の燃料面積は68㎢を超えたという。

この火災により6000人以上が避難を余儀なくされた。

この地域に配備された消防士500人以上は炎の風下で木を切り倒し、消防車で水をまき、炎の行く手を阻もうとしている。

森林保護・防火局によると、州内で被害を受けた建造物は今のところ7戸にとどまっているという。

しかし、同局は24日深夜の時点で3200戸以上が影響を受ける可能性があると警告した。

この火災はカリフォルニア州の山火事シーズンの幕開けと考えられている。州政府は猛暑と乾燥が炎を後押しする可能性が高いと警告した。

マリポサ郡は避難所を開設し、避難者に宿泊場所と支援物資を提供している。

避難指示が出る前に避難を決めたという女性はAP通信の取材に対し、「一昨年、念願のマイホームを購入した」と語った。

この女性の自宅はオーク・ファイアから遠く離れているが、山の中で木々に囲まれているため、炎が迫れば焼失は免れないという。

祖母と一緒に避難したという10歳の少年はロイター通信に、「家族でピザを食べている時に避難指示が出た」と語った。

米国では広い範囲で猛暑が続いており、少なくとも12の州が高温注意報を発令している。マリポサ郡の25日の最高気温は38度に達した。予報官によると、今後数日は高温と乾燥に警戒する必要があるという。

オーク・ファイアの北東に位置するヨセミテ国立公園には世界最大・最古のジャイアント・セコイアが生育している。

同国立公園は今月初めにも山火事に直面したが、消防士が何とか鎮火した。園内にはスプリンクラー・システムが設置されているものの、担当者によるとオーク・ファイア規模の炎であれば、スプリンクラーはほとんど意味をなさないという。

地球温暖化は山火事の原因となる高温・乾燥のリスクを高める。

米国を含む主要国は7年前のCOP21で地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温のプラス2度以下、可能であれば1.5度以下に抑えることに合意した。

COP26の共同宣言では、気温上昇を産業革命以前の平均気温のプラス1.5度以内に抑えるという「努力目標」を世界の共通目標として明記した。

しかし、国連によると、産業革命以来、地球の平均気温はすでに1.1度上昇しており、世界が温室効果ガスの排出量を大幅に削減しない限り、気温の上昇は続くという。

西欧でもここ数週間、各地で山火事が頻発している。

カリフォルニア州はほぼ毎年大規模な山火事に直面している。昨年の山火事件数は8800件を超え、燃料面積は1万400㎢(東京都面積の約5倍)に達した。

2020年に西部地区で発生した大規模な山火事の燃焼面積は4万1000㎢(北海道の2分の1)と推定され、40人以上が死亡、建造物1万3000戸以上が全焼し、被害総額は2兆円以上に上った。

2022年7月23日/カリフォルニア州マリポサ郡郊外で発生した山火事(Noah Berger/AP通信)
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