コアラの生息地
モーガン・フィルポット氏は小児科の看護師病気の子供の世話をする傍ら、国内最大の動物救助機関、野生生物情報救助教育サービス(WIRES)のボランティアとしても活動している。
「オーストラリアのコアラの未来は暗い」とフィルポットは懸念する。
フィルポット氏は、シドニー郊外の動物病院で細菌性クラミジアに感染・保護されたコアラの治療を手伝っていた。
フィルポット氏はロイター通信の取材に対し、「ニューサウスウェールズ州の個体数が減っている。コアラは危機に直面している」と語った。
コアラのコロニーで蔓延する感染症、山火事、干ばつ、森林伐採、生息地への侵入は、彼らの生存を脅かす破壊行為の一部である。
オーストラリア政府が6月に発表したレポートによると、これらの破壊行為は、この国を象徴する動物を2050年までに絶滅させる可能性があるという。
モーガン・フィルポット氏:
「昨年までそこにあった森林エリアや地域がある日突然燃えてしまったら、生きてゆくことは困難だろう」
「毎年発生している山火事は、彼らの終わりを加速させる可能性がある」
史上最悪規模に発展した2019年末の山火事は、オーストラリアの緑を1,120万ヘクタール(北海道の1.34倍)以上を焼き尽くし、炎から逃げ惑うコアラの映像は政治問題にまで発展した。
政府のレポートによると、ニューサウスウェールズ州ではブルーマウンテンの世界遺産地域の80%、公有地のコアラの生息地24%が焼失。少なくとも5,000頭のコアラが死亡したと報告している。
2020年の夏は前年より雨が多く、涼しいと予想されている。雨で乾燥が低減されれば、山火事発生と延焼のリスクは多少低減されるかもしれない。
コアラの生息にとって重要と思われる土地の開発を制限する新しいニューサウスウェールズ州法は、都市保全主義者と自分たちの財産を管理したい開発者との政治的戦いを引き起こしている。
気候変動が山火事を誘発していると考える保護活動家は、シドニーのような大都市での人口増加が森林伐採、土地の開発につながっていると非難する。
近年、道路を横断するコアラに注意するよう促す交通安全標識も誕生した。
WIRESのボランティアとして活動するトレーシー氏はロイター通信の取材に対し、「コアラたちが生き残るためには、バランスを維持しなければならない」と述べた。
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