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米西海岸に「大気の川」、広い範囲で大雨続く、洪水も

この集中豪雨をもたらした「大気の川」は太平洋の暖かく湿った空気を大量に含み、それが西海岸に流れ込んでいる。
米ワシントン州北西部のスカジット川(ABCニュース)

西海岸北西部(主にワシントン州とオレゴン州)で大雨が続き、複数の河川の水位が急上昇、氾濫も報告されている。現地メディアが9日に報じた。

それによると、ワシントン州内で少なくとも4本の河川の水位が氾濫危険水位に達し、さらに11本が今後1、2日のうちに同じレバルに達する可能性があるという。

また、一部地域で雨量が急増し、ワシントン州の山岳地帯では8日の数時間で180ミリの雨量を記録。通常、この時期は雪が降るものの、今年は雨になっている。

都市部も強い雨に見舞われており、ワシントン州の一部地域では24時間雨量が200ミリ、オレゴン州では250ミリに達した地域がある。

一部地域の小河川が氾濫したという情報もあるが、死傷者は確認されていない。

この集中豪雨をもたらした「大気の川」は太平洋の暖かく湿った空気を大量に含み、それが西海岸に流れ込んでいる。大気の川は熱帯や亜熱帯の海から中緯度・高緯度地域へ向かって大量の水蒸気が細長い帯状になって流れる現象である。

今回の大気の川は同地域における最近の大気の川の中でも特に強力で、複数日にわたり湿った空気を供給し続けている。気象機関は海辺・低地の広範囲で暴風雨および洪水に警戒するよう呼びかけている。

予報では低地で200~300ミリ、山岳地帯では400ミリ以上の雨量、場合によっては数十センチの積雪となる可能性があり、今後数日は降雨と洪水のリスクが続く見込みだ。

現地では鉄道の運行停止、道路の閉鎖、土砂崩れや都市部での洪水など、交通・生活にさまざまな影響が出ているほか、気温が例年より高いために雪ではなく雨となっていることから、例年以上に洪水リスクが高まっている。

この大雨は西海岸における毎年の洪水被害の大部分を占める自然現象のひとつであり、被害の規模や河川の水位の急激な上昇が地域の防災体制にも大きな負荷を与えている。

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