東南アジア大水害、死者1500人超える、850人行方不明
最も深刻な被害を受けたインドネシアでは少なくとも836人が死亡。スリランカで479人、タイで185人、マレーシアで3人の死亡が確認されている。
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東南アジア各地で先週発生した大規模な洪水と土砂崩れについて、インドネシア、スリランカ、タイの犠牲者数が1500人を超えた。救助隊は被災地で行方不明者の捜索に全力を挙げているが、なお数百人が行方不明のままとなっている。
最も深刻な被害を受けたインドネシアでは少なくとも836人が死亡。スリランカで479人、タイで185人、マレーシアで3人の死亡が確認されている。
インドネシアとスリランカでは多くの集落が土砂や泥に埋まり、依然として850人以上が安否不明とされ、被害はさらに拡大する恐れがある。
多数の地域で道路や橋が流され、通信や物流網も寸断された。多くの村や町が孤立し、食料や清潔な水の確保が困難な状態に陥っているとの報告がある。
インドネシアではヘリコプターによる救援が試みられているが、被害の広範さと地形の悪さで支援の手が十分に届いていない地域も多い。
この壊滅的な災害の背景には、過去数十年にわたる森林破壊があるとの指摘が強まっている。鉱業、パームオイルプランテーション、違法伐採などによって森林が大幅に減少し、豪雨に対する自然の排水機能が失われたことが洪水や土砂崩れの激化につながったという。
環境団体は「この災害は単なる自然現象によるものではなく、森林破壊によって強められた人災」と警告。「再生が始まらなければ、さらなる犠牲が出る」と訴えている。
インドネシア政府も世論の圧力を受けて動き始めた。スビアント(Prabowo Subianto)大統領は被災地を視察した際、「森林と環境の保護が今こそ不可欠」と述べ、関係企業の許可見直しや森林管理の改善などを検討する意向を示した。環境相も被災につながった可能性のある企業への調査を約束し、許可の取り消しを含む対策を示す構えだ。
気象当局は北スマトラ州、西スマトラ州、アチェ州などで今後数日、再び激しい雨が予報されていると警告しており、さらなる洪水や土砂災害発生のリスクが高まっている。地盤が緩んだ状態での連続豪雨により、被災地域の状況悪化が懸念される。
被災地では避難所生活を余儀なくされる住民も多く、支援物資の配布や清潔な水の確保、インフラ再建など、長期的かつ包括的な支援が求められている。一方、環境保護と持続可能な土地利用の必要性が改めて浮き彫りとなり、地域社会と政府、企業の協力による抜本的な対策が急務だ。
