◎ロシアによるウクライナ侵攻や異常気象の影響でインフレが加速し、世界中で飢餓に苦しむ人々が急増している。
2022年9月19日/ソマリアの難民キャンプ(Jerome Delay/AP通信)

国連食糧農業機関(FAO)は6日、世界の2022年の食料価格が過去最高を更新したと発表した。

FAOはレポートの中で、「ロシアによるウクライナ侵攻や異常気象の影響でインフレが加速し、世界中で飢餓に苦しむ人々が急増している」と説明した。

FAOの食料価格指数は国際市場における主要食料品の価格を測定する貿易加重指数である。

それによると、2022年通年の指数は143.7ポイントとなり、前年を14ポイント上回り、1961年に統計を取り始めて以来、最も高くなったという。

12月の取引価格は輸入需要の縮小、南米の大豆油増産への期待、原油や植物油価格の下落により前年同月比でマイナスとなった。穀物や肉類も下落したが、乳製品や砂糖はわずかに上昇した。

FAOはレポートの中で、「食品の取引価格は落ち着きつつあるように見える」と述べている。

またFAOは「多くの主食が過去最高値に近く、米の価格も上昇し、将来の供給に不安を残していることから、世界の食料不安を軽減する措置を取り、強い関心を持ち続けることが重要だ」と国際社会に呼びかけた。

2月のウクライナ侵攻は食料危機を悪化させた。両国は世界を代表する小麦・大麦・ひまわり油などの輸出国であり、貿易が滞った結果、アフリカと中東のインフレに拍車がかかり、人口の大多数を占める低中所得者層の生活を直撃した。

両国の貿易停止と世界規模の混乱は食料価格を押し上げ、輸入に頼っている発展途上国のインフレ、貧困、食料不安は増大した。

ウクライナ侵攻は食料生産に欠かせないエネルギー市場と肥料の供給にも影響を与えている。

さらに、干ばつに苦しむ東アフリカの広い範囲で飢餓が拡大し、数千万人が国連などの人道機関の支援を受け何とか生活している。

エチオピア、ソマリア、ケニアは過去数十年で最悪の干ばつに見舞われ、国連はソマリアの一部地域で飢饉が発生したと警告している。国連によると、餓死者は確認できているだけで数千人にのぼるという。

小麦とトウモロコシの価格は昨年、過去最高を更新したが、12月には他の穀物とともに下落した。南半球の収穫が供給を下支えしたという。

植物油価格指数は昨年12月に2021年2月以来の低水準となったが、それでも高値が続いている。

乳製品価格指数と肉類価格指数も1990年以来の高値となった。

2022年9月19日/ソマリアの難民キャンプ(Jerome Delay/AP通信)
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