米航空大手、ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOは、搭乗客のコロナウイルス検査が「世界経済を再開するためのカギになる」と述べた。
同社はニューアーク・リバティー空港(ニュージャージー州)からロンドン・ヒースロー空港間のいくつかの便で、「コロナ感染予防対策テストフライト」を開始している。
カービーCEOはBBCニュースの取材に対し、「旅行者の検疫要件取り下げを政府に要求する証拠を提供できる」と述べた。
スコット・カービーCEO:
「いくつかの国が経済を再開するためのテストフライトに興味を示している」
「これらの国々は”全てが機能することを確認したい”と述べており、我々も健康と安全を最優先する」
国際航空運送協会(IATA)によると、国際の需要は昨年から約90%減少したという。
IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務局長は、「政府は経済的影響を緩和するために、しっかりとした行動をとる必要がある」と主張する。
アレクサンドル・ド・ジュニアック事務局長:
「航空業界の喪失は世界のGDPに劇的な影響を及ぼし、1.8兆ドルの経済活動を脅かすだろう」
ユナイテッド航空はコロナウイルスの影響を受けた航空会社のひとつである。
現在、同社は1日あたり約2,500万ドル(約26億円)を失っている。
致命的な売り上げの減は雇用に甚大な影響を与えた。同社は従業員13,000人を解雇、さらに9,000人が依願退職、トランプ政権によるCARES法給与支援プログラムも9月末に終了した。
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カービーCEOはこれ以上の削減を望まず、「少なくとも大統領選挙後、航空業界を支援する何かが行われると期待している」と述べた。
ユナイテッド航空は、11月16日から大西洋を横断する乗客を対象とした世界初の「コロナ感染予防対策テストフライト・トライアル(無料:期間は4週間)」を開始する。
トライアルに参加する2歳以上の全参加者は空港到着時に検査を受け、結果判明までの15分~20分間ラウンジで待機。その後、陰性を確認した参加者だけが便に搭乗する。
カービーCEOは「ロンドン・ヒースロー空港へのテストフライトで2週間の検疫期間は必要ないことを証明し、政府が認めることを望む」と述べた。
イギリス政府は空港での検査受け入れ承認にかなりの時間を要した。
今週、ロンドン・ヒースロー空港のジョン・ホーランド・ケイCEOはBBCニュースの取材に対し、「政府の対応はあまりに遅く、雇用を危険にさらしている」と語った。
IATAのデータによると、2020年の搭乗客数約12億人に対し、フライトに関連すると思われるコロナウイルス感染ケースは44件発生したという。
カービーCEOはより多くのデータが集まることで、「航空業界の安全性を証明できる」と述べた。