◎世界で最も裕福な10人の総資産は2020年3月~2021年11月の間に7,000億ドルから1.5兆ドル(170兆円)に増加した。
2020年8月8日/ニューヨークのタイムズスクエア(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

1月17日、国際的な人権団体オックスファム・インターナショナルは世界で最も裕福な10人の資産はコロナ禍で倍増し、世界の人口の99%の収入は減少したと発表した。

オックスファムが17日に公表したレポートによると、世界で最も裕福な10人の資産は2020年3月~2021年11月の間に2倍以上に増加したという。

一方、世界の99%の収入はコロナウイルスの影響で減少し、期間中、貧困の影響で毎日約21,000人が死亡した。

オックスファムは毎年1月末にダボスで開催される世界経済フォーラムに合わせてレポートを公開する。今年の年次総会も2年連続オンラインで開催されることが決まった。

オックスファムのダニー・スリスカンダラジャCEOはレポートの中で、「不平等の拡大は想定をはるかに超えている」と述べた。「コロナ禍にもかかわらず、ほぼ毎日新しい億万長者が誕生しました。一方、世界の人口の99%の収入はロックダウン、国際貿易の減少、観光の減少などの影響を受け、結果、新たに1億6000万人が貧困に陥りました...」

スリスカンダラジャCEOは「世界の経済システムには深刻な欠陥がある」と強調した。

オックスファムはレポートの中でフォーブス紙のデータを引用している。世界で最も裕福な10人は以下の通り。
・イーロン・マスク(テスラCEO)
・ジェフ・ベゾス(Amazon創設者)
・ベルナール・アルノー(ディオールCEO)
・ビル・ゲイツ(マイクロソフト創設者)
・ラリー・エリソン(オラクル創設者)
・ラリー・ペイジ(Google創設者)
・セルゲイ・ブリン(Google創設者)
・マーク・ザッカーバーグ(Facebook創設者)
・スティーブ・バルマー(マイクロソフト元CEO)
・ウォーレン・バフェット(投資家)

10人の総資産は2020年3月~2021年11月の間に7,000億ドルから1.5兆ドル(170兆円)に増加した。なお、マスク氏の資産は期間中1,000%以上増加したが、ゲイツ氏は30%ほどで、増え幅にはかなりのバラつきがある。

また、資産の測定開始時期を株価が暴落した2020年3月に設定したため、増え幅はより大きくなった。パンデミックが始まる以前の資産を測定していれば、増え幅はここまで大きくならなかったと思われる。

一方、世界銀行のデータに基づき行った調査によると、医療へのアクセスの欠如、飢餓、ジェンダー暴力、気候変動はより多くの死を招いたという。

またコロナの影響で新たに1億6000万人が1日5.5ドル(約630円)以下で生活する貧困に陥った。

オックスファムはレポートの中で、「パンデミックは開発途上国の債務を増やし、社会保障費の削減を余儀なくさせた」と述べた。

またオックスファムは、「コロナ化の影響で男女平等は後退し、女性の労働人口は2019年から1,300万人減少し、2,000万人以上の女児が学校に戻れない可能性がある」と警告した。

米国を含む一部の先進国は一部の超富裕層からより多くの税金を徴収したいと考えているが、計画は思うように進んでいない。

スリスカンダラジャCEOは税制の見直しを求めたうえで、富裕層から徴収した税金は「質の高い国民皆保険と社会保障に費やされるべき」と強調した。

オックスファムはコロナワクチンの世界展開を加速させパンデミックをより早く終息させるために、ワクチンの知的財産権の放棄を求めているが、製薬業界は激しく反発している。

世界銀行のデイビッド・マルパス総裁は今月初めの演説で不平等の拡大に懸念を表明し、「進行中のインフレと経済活動の低迷は貧しい国々により多くの損害をもたらす可能性がある」と警告した。「貧しい国々の見通しは非常に暗く、先を見通せません...」

2018年/アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(ロイター通信)
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