感染予防対策との両立を図る
10月1日、民主党候補のジョー・バイデン氏を支えるチームバイデンは、「有権者への戸別訪問」を開始すると発表した。
この活動はコロナウイルスの影響を考慮し中止されていた。しかし、1カ月後に迫った選挙日当日を見据え、チームは大きな決断を下した。
チームバイデンのキャンペーンマネジャーを務めるジェン・オマリー・ディロン氏は、今回解禁する活動について、以下のように述べた。
ジェン・オマリー・ディロン氏:
「チームバイデンは国民の安全を最優先事項とし、訪問ではなく電話で有権者に支持を呼びかけてきた」
「我々の感染防止策は効果的に機能している。よって、戸別訪問も実施可能と判断した。ただし、現地では各州のガイダンスに従い、感染予防対策を遵守したうえで活動する」
チームバイデンの上級幹部はABCニュースの取材に対し、「戸別訪問活動は全ての州で実施し、一部の州では既に始まっている」と語った。
また、今週は激戦州のネバダ、ミシガン、ニューハンプシャー、ペンシルベニアの「キャンペーン集会」に数百人の有権者が参加する予定だという。
コロナウイルスの脅威が続いているにも関わらず、チームトランプ陣営は何カ月も前から有権者を一カ所に密集させ、10月からはチームバイデンと同じくボランティアを動員することも決まっている。
チームトランプのコミュニケーションディレクターを務めるティム・マートー氏はABCニュースの取材に対し、「チームバイデンは厳しい制限の影響で打ち負かされている」と語っていた。
ティム・マートー氏:
「チームトランプ陣営は至る所で活動している。ところがチームバイデン陣営はどこにも現れない」
「トランプ大統領を支持する230万人のボランティアは、1億1,000万人以上の有権者と話し、支持を固めている。チームバイデンにはヤル気が感じられない」
戸別訪問は民主党のキャンペーンチームが以前から力を入れていた戦略のひとつである。チームバイデンは、電話、メールなども同時に活用しつつ、有権者宅を訪問すると語った。
9月初旬、公衆衛生の専門家として活動するオマリー・ディロン氏は、以下のように述べていた。
オマリー・ディロン氏:
「キャンペーンチームの最優先事項は国民の命である。感染予防対策の徹底はもちろん、州政府が規定したコロナウイルスガイダンスには必ず従わなければならない」
「チームバイデンのスタッフ、現場で活動するボランティアたちは、長期に渡って感染予防対策を徹底している」
チームバイデンのキャンペーンマネジャー、ジェン・オマリー・ディロン氏は、チームトランプによる大規模な宣言活動とキャンペーン集会に異議を唱えた。
ジェン・オマリー・ディロン氏:
「重要なことは有権者との交流、そして会話である。私たちはコロナ禍での戦略について多くの時間を費やしてきたが、有権者との対話以上に大切なものはないと確信している」
「チームトランプは大規模な集会活動に特化し、”1週間で100万回ドアをノックするなどあり得ない”と考えている。彼らは大切なことを全く理解していない」
チームバイデンは選挙に大きな影響を与える主要な州で「感染予防対策を徹底しながら」ボランティア活動をコツコツ継続し、地盤を固めてきた。
ミシガン州とフロリア州では、数千名の若い有権者たちがチームバイデンのボランティアに参加した。
またペンシルベニア州での戸別訪問活動に志願するボランティアの急増が報告されており、少なくとも6,000人が参加する予定だという。
チームバイデンは、現場での支援と認知度を高め、情報収集、選挙ポスターや看板、その他の資料を50州で配布すべく、選挙用供給センターを開設すると発表した。
それによると、17の激戦州に100カ所以上の供給センターを開設、他の州を合わせると設置数は400カ所を超えるという。
バイデン氏はウィスコンシン、フロリダ、ペンシルベニア、オハイオ、ミシガンなどの激戦州を回り、今週末にも集会を行う予定である。
チームバイデンのCM
トランプ大統領、コロナに感染
10月1日、トランプ大統領とメラニア夫人がコロナウイルスに感染、現在自己隔離状態にあると認めた。
高リスクグループに分類される74歳のトランプ大統領はツイッターを更新、「妻と一緒にコロナウイルスを乗り越える」と宣言した。
なお、トランプ大統領に最も近い補佐官のひとり、ホープ・ヒックス氏も陽性が確認されている。
Tonight, @FLOTUS and I tested positive for COVID-19. We will begin our quarantine and recovery process immediately. We will get through this TOGETHER!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 2, 2020
トランプ大統領「COVID-19の検査で陽性でした」
トランプ大統領はたびたびマスクを紛失し、メラニア夫人、補佐官、その他関係者と社会的距離を取ることなく接する場面が散見されていた。
イギリスのボリス・ジョンソン首相は、コロナウイルスの恐ろしさを体験した先輩としてツイッターに投稿。「トランプ大統領とメラニア夫人が迅速に回復することを願っている」とコメントした。
インドのナレンドラ・モディ首相やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相などの指導者も、トランプ大統領と夫人にお見舞いのメッセージを送った。
トランプ大統領の医師、ショーン・コンリー博士は1日深夜に声明を発表した。
ショーン・コンリー博士:
「現時点では両者とも体調に問題はなく、ホワイトハウスに留まる予定である」
「大統領が体調の回復に努める間、ホワイトハウスの職務遂行に支障が生じることはないと約束する。ふたりの体調等については、逐次情報を発信する」
トランプ大統領の身長は1.9m、体重は110.7kg(2020年初頭の健康診断結果)。肥満に分類されるが、コンリー医師は「健康を維持している」と述べた。
疾病管理予防センター(CDC)は、「陽性確認後、少なくとも10日間は隔離状態を維持する必要がある」とガイダンスを発表しており、トランプ大統領もそれを遵守すると思われる。
医師の指示に従う
アメリカ国内でコロナウイルスに感染した64歳~74歳の人々は20代の若者に比べ、病院での治療が必要になる可能性は「5倍」、死亡率は「90倍」高くなっている。
CDCによると、アメリカで死亡した人の8割は65歳以上だったという。また、肥満気味の男性は特に重症化しやすいと指摘されており、適切な処置が求められる。
現時点で、トランプ大統領が症状を発症したかどうかは不明である。
トランプ大統領はヒックス補佐官がPCR検査で陽性と判明した後、メラニア夫人と共に検疫を開始したとツイッターに投稿した。
ドナルド・トランプ大統領:
「休むことなく働いてきたホープ・ヒックスがPCR検査で陽性を示した」
「私と妻はPCR検査の結果を待っている。現在、自己隔離状態にある」
トランプ大統領の感染に伴い、第2回大統領討論会(10月15日)に影響が出るか否かは不明である。なお、CDCの推奨する自己隔離期間は10日だが、少なくとも「再検査で陰性が確認されるまで」トランプ大統領の活動は大きく制限される。
2日前の大統領討論会、トランプ大統領はバイデン氏に対し、「マスクを着用して大規模なキャンペーンを行うべきだった」と述べていた。
ホワイトハウスの関係者は毎日PCR検査を行っており、これまでに国家安全保障問題担当補佐官のロバート・オブライエン氏、多くのシークレットサービスエージェント、マリーンワンのパイロット、ホワイトハウスのカフェテリアスタッフなどの感染が確認されていた。
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