12月14日、全米の選挙人団、計538人が次期大統領と副大統領に投票する。
選挙人団は2021年1月20日の就任式に先立ち、バイデン氏を勝者として認定する。なお、投票の結果は「驚きがなければ」バイデン氏が306票、トランプ大統領が232票になる予定だ。
議会の代表に基づいて全米の権力の分配を反映する選挙人は、大統領選挙の数カ月前に各州の政党が指名する。なお、選挙人を選ぶプロセスは州によって異なる。(党大会で指名する、予備選挙を行うなど)
選挙人は各党の著名人が務める。ニューヨーク州の選挙人、ビル・クリントン前大統領とヒラリー夫人はバイデン氏に投票する。サウスダコタ州の選挙人、2024年の共和党大統領候補のクリスティ・ノーム同州知事はトランプ大統領に投票する。
今後の予定
・12月8日:集計締め切り
・12月14日:選挙人投票(538人)
・12月23日:連邦議会に結果を通知
・1月6日:票集計、勝利宣言
・1月20日正午:就任式
各州の選挙人は州議会の指定する場所に集まり、投票する。(投票時間は州によって異なる)
選挙人に渡される投票用紙は2枚。それぞれに必要事項を記載し、大統領投票と副大統領投票を行う。
投票を終えた選挙人は6つの証明書に署名する。このうち個別の証明書は、アーキビスト協会、現副大統領、現国務長官、選挙人の地区の地方裁判官に提出される。
この時点でバイデン氏の勝利とトランプ大統領の敗北がほぼ決定すると言ってよい。
なお、トランプ大統領が敗北宣言を行うかどうかは不明である。
不誠実な選挙人
ニューヨーク大学の選挙法の専門家、リチャード・ビルデス教授によると、今年、「不誠実な選挙人」が出る可能性は低いという。
リチャード・ビルデス教授:
「バイデン氏が圧勝したため、選挙人たちは1、2名が民意を無視しても結果は変わらないと確信している。そして何より、今のアメリカの状況を見て、民意を無視したいと思う選挙人はいないだろう」
しかし、可能性はゼロではない。
2016年の選挙人投票では、7人が有権者の民意を無視した。しかし、このような異常事態が発生することは非常に稀である。
今年初め、最高裁判所は「不誠実な選挙人事件」を裁定し、民意を無視した者の結果を破棄してうえで、別の選挙人による再投票を許可すると認めた。
33の州とワシントンD.C.(コロンビア特別区)は選挙人に誓約の遵守を要求している。
5つの州では反対票に対する罰則を科し、「不誠実な選挙人を除外したうえで再投票できる」と州法で定めた州もある。今年のトランプ騒動を考慮し、今後、同様の州法を定める州が増えると予想されている。
選挙人の投票用紙は、2021年1月6日に開催される上院と下院の合同会議でカウントされる。
連邦法に基づき、上院議員と下院議員は、各州の選挙人団の投票結果に異議を唱えることができる。反対票に対して異議の申し立てがあれば、最大2時間の討論の後、票を受け入れるかどうかを議員投票で決める。
なお、コロナウイルスに感染したトランプ大統領の顧問弁護士、ルディ・ジュニア―氏とチームトランプのジェナ・エリス弁護士は先日、12月8日のセーフハーバー期限以降も反抗的に戦い続けると誓約した。