10月12日
ジョンソン&ジョンソンがワクチン試験の一時停止を発表
12日午後、ジョンソン&ジョンソン社は、ワクチン臨床試験参加者のひとりが「原因不明の病気」にかかったため、試験を一時停止すると発表した。
現在、同社のワクチン臨床試験は最終段階(フェーズ3)に入っている。
同社は声明の中で、「ガイドラインに従い、発症した参加者の症状は、独立したデータ安全監視委員会(DSMB)と社内の臨床および安全医師によって評価されている」と報告した。
ジョンソン&ジョンソン社の声明:
「今回の事象は、深刻なものであっても臨床試験の一部と考えている」
ジョンソン&ジョンソン社は情報公開前に、発症した参加者のありとあらゆる事実を収集・調査すると述べた。
トランプ大統領が大規模キャンペーン集会を再開
12日午後、トランプ大統領は「PCR検査で陰性を確認した」と公表していないにも関わずキャンペーン活動を再開させた。
この日、マスクを紛失したトランプ大統領は、数千人のフロリダ州共和党支持者から大歓声を浴び、ステージに立った。
熱烈な歓迎を受けたトランプ大統領は支持者たちに対し、「私はコロナウイルスを克服した。素晴らしい気分だ。今すぐ皆に駆け寄りキスしたい」と雄弁に語った。
一方、民主党大統領候補のジョー・バイデン氏はオハイオ州で小規模キャンペーンを開催、トランプ大統領の「無謀なスプラッター行動」を非難した。
両陣営と候補者は11月3日の選挙に向け、票の獲得に奮闘している。
最新の世論調査によると、トランプ大統領はバイデン氏に10ポイント以上差をつけられているという。しかし、結果に大きな影響を与える主要州のポイント差はわずかであり、ほぼ互角と考えてよい。
コロナウイルスを克服し免疫を獲得したと吹聴するトランプ大統領は、支持者たちに熱く語りかけた。
ドナルド・トランプ大統領:
「世界最高の医療チームは、私が免疫を持っていると言った。私はとても力強く感じている。今すぐ皆の元に駆け寄りキスした。男と美しい女性にキスをしよう。大きく太ったキスをする」
サンシャインステート(日光の州)と呼ばれるフロリダ州は選挙結果に大きな影響を与えると言われており、トランプ大統領もそのことを意識し、復活の場に選んだ。
トランプ大統領は是が非でもフロリダ州を抑えたい、勝ち取らねばならないと考えている。
2016年の大統領選挙、トランプ大統領は同州を勝ち取り、昨年9月には主要居住地に選択、住所も変更した。
重要州の選挙人確保は、勝利を意味する。
フロリダ州は選挙人団の多い6つの州の1つであり、ここで勝利すれば、538票(人)中「29票」を獲得することになる。
今週、トランプ大統領はペンシルベニア州(選挙人:20票)、アイオワ州(選挙人:6票)、ノースカロライナ(選挙人:15票)を遊説する予定である。
一方、12日にオハイオ州で2度集会を行ったバイデン氏は、トランプ大統領の無謀な行動を非難した。
なお、チームバイデンはトランプ大統領の陽性確認以降、慎重なキャンペーン活動を継続中。バイデン氏は12日の集会前にPCR検査を受け、陰性だったと報告した。
【各州の支持率/2020年10月12日時点】
2020支持率 | 2016の結果 票差 | 選挙人 | ||
バイデン | トランプ | |||
アリゾナ | 48.2 | 45.5 | トランフwin3.6% | 11 |
フロリダ | 48.0 | 44.3 | トランフwin1.2% | 29 |
ジョージア | 46.7 | 47.1 | トランフwin5.2% | 16 |
アイオワ | 47.5 | 46.3 | トランフwin9.5% | 6 |
ミシガン | 50.0 | 43.0 | トランフwin0.2% | 16 |
ミネソタ | 50.0 | 43.0 | ヒラリーwin1.5% | 10 |
ネバダ | 50.3 | 44.3 | ヒラリーwin2.4% | 6 |
ニューハンプシャー | 52.0 | 43.0 | ヒラリーwin0.4% | 4 |
ノースカロライナ | 48.3 | 46.9 | トランフwin3.7% | 15 |
オハイオ | 46.8 | 46.2 | トランフwin8.2% | 18 |
ペンシルベニア | 51.0 | 43.9 | トランフwin0.7% | 20 |
テキサス | 44.8 | 49.2 | トランフwin9.1% | 38 |
ヴァージニア | 51.3 | 40.3 | ヒラリーwin5.4% | 13 |
ウィスコンシン | 49.7 | 43.6 | トランフwin0.8% | 10 |
エイミー・コニー・バレット氏が公聴会で証言
12日、最高裁判所判事候補に指名されたエイミー・コニー・バレット裁判官が確認公聴会に出席した。
保守的なバレット裁判官は、「訴訟を公平に判断する」と誓い、トランプ大統領に選出されたことを「光栄に思った。これからも謙虚に取り組みたい」と述べた。
大統領選挙前のバレット氏の指名は、激しい政治的戦いを引き起こした。
【エイミー・コニー・バレット裁判官について知っておくべきこと】
・中絶や同性愛者の結婚に反対する保守派。
・敬虔なカトリック教徒。なお、彼女は「信仰が判決や法的意見に影響を与えることはない」と主張している。
・インディアナ州在住、ハイチから養子縁組された2人を含む7人の子供の母親。
バレット裁判官は自身の法哲学と判事のポストに適任であることを説明した。
またバレット氏は家族の重要性と、両親が「奉仕、原則、信仰、愛の生活」を教えてくれたと述べ、最高裁判所の故アントニン・スカリア裁判官を含む、かつての同僚たちに敬意を表した。
エイミー・コニー・バレット裁判官:
「この重大な責任を私に委ねてくれたトランプ大統領に感謝する。これは私にとって、生涯の名誉である」
「スカリア裁判官は単純明快だった。裁判官は、裁判官が望むものではなく、ただ法律に基づいて判断しなければならない」
「私は当事者から提示された議論を慎重に検討し、法廷で同僚と問題について話し合い、自分の好みが何であれ、法律が要求する結果に達するよう最善を尽くす」
共和党上院議員のリンジー・グラハム上院司法委員会委員長はバレット裁判官について、「国が誇りに思うべき、卓越したカテゴリーに属している」と称賛した。
これに対し民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員はバレット裁判官の任命について、次のように主張した。
ダイアン・ファインスタイン上院議員:
「今回の強行指名は、トランプ政権が最高裁判所に異議を申し立てようとしている公的医療保険制度、アフォーダブルケア法(オバマケア/ACA)に脅威をもたらす可能性がある」
「つまり、今、この指名と確認公聴会を進めるべきではない」
この日、民主党副大統領のカマラ・ハリス氏のビデオメッセージも公開され、「バレット裁判官はオバマケアを覆す可能性がある」と厳しく非難した。
カマラ・ハリス氏:
「バレット裁判官は、故ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が賢明に戦い守った権利を危険にさらす」
「トランプ大統領はギンズバーグ判事の遺産と、今後数十年に渡ってアメリカ国民が得られる権利を取り消したいと考えている」
バーモント州のパトリック・リーヒ上院議員は、ギンズバーグ判事の死からわずか1時間後にその席を埋めようとした共和党の行為を「恥ずべきこと」と非難した。
これに対し共和党のチャック・グラスリー上院議員は、「民主党は候補者の人間性と宗教的信念を中傷する。根拠のない主張をまき散らし、バレット裁判官を脅迫したいようだ」と反論した。
バレット裁判官は週を通して続く公聴会の中で、司法委員会のメンバーから様々な質問を受ける。
その後、委員会のメンバーは指名を承認するか否かを決める投票を行う。なお、投票前に1週間の猶予期限を求めることができる。
バレット氏が司法委員会で承認を得ると審議は上院に持ち込まれ、投票が行われる。
なお、共和党はバレット裁判官を最高裁判所判事にするための必要票数「51票」を確保している。
欧州の感染状況
【ロシア/震源地モスクワ】
ロシアの新規症例数が2日連続で13,000件を突破。首都モスクワの感染状況が特に深刻で、症例数の30%以上を占めるという。
モスクワのセルゲイ・ソビアニン市長は記者団に対し、「感染予防対策を徹底する。今週、抑え込みに失敗すれば、事態はさらに悪化するだろう」と述べた。
一方、クレムリンは夏のロックダウン解除から感染が急拡大した場合も、2回目の全国的な規制は計画していないとコメントしている。
【イギリス/制限追加】
ボリス・ジョンソン首相は、一部地域のコロナウイルス警戒アラートを最高ランクのレベル3に引き上げると発表した。
イングランド各地域の感染状況は、「レベル1:中」「レベル2:高」「レベル3:非常に高い」の3段階で評価されている。
今回、リバプールにレベル3が適用され、最も厳しい制限(パブやレストランの閉鎖、外出制限など)が課されることになった。なお、リバプールの10万人あたりの感染者数は600人を超えている。
【フランス/強力な第二波】
12日、ジャン・カスティクス首相は、「強力な第二波と戦うために、より厳しい制限を課す可能性がある」と警告した。
フランスの放送局FranceInfoのインタビューに答えたカスティクス首相は、次のように述べた。
ジャン・カスティクス首相:
「これ以上リラックスすることはできない。パリやマルセイユを含む9つの主要都市の集中治療室に患者が押し寄せている」
「3月のようなロックダウンは絶対に避けなければならない。しかし、感染状況がさらに悪化すれば、あらゆる可能性を考慮せざるを得ないだろう」
先週、同国内の新規症例数は過去最高を大幅に更新する26,896件を記録。12日は16,101件、46人が死亡が確認された。
【チェコ共和国/制限追加】
欧州で最も高い感染率を記録しているチェコ共和国では、新たな制限が発出された。
現在、映画館、ジム、屋内公共プール、劇場、動物園などが完全閉鎖されている。また、バーやレストランの営業時間は午後8時まで、4人以上のグループは入店できない。
人口約1,070万人のチェコ共和国では、新規症例数が過去最高の8,618件を記録。政府は10月5日に非常事態を宣言した。これは少なくとも30日間継続される。
アンドレイ・バビシュ首相は9日に声明を発表、「状況が悪化すれば、全国的なロックダウンもあり得る」と警告した。
【欧州の感染状況/10月13日時点】
累計感染者 | 累計死者 | 新規感染者 (直近) | |
ロシア | 131万人 | 22,722人 | 13,592人 |
イギリス | 61.8万人 | 42,875人 | 13,972人 |
フランス | 74.3万人 | 32,779人 | 16,101人 |
チェコ | 12.1万人 | 1,051人 | 3,104人 |
アメリカの感染状況
ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、10月12日にアメリカ国内で確認された新規症例数は44,614件、400人以上の死亡が確認されたという。
各州で発出されたロックダウンは5月20日以降解除もしくは緩和が進み、症例数の爆発的な増加を引き起こした。
なお、7月中旬にピークを迎えた第一波は減速しつつあるものの、ここ数週間の新規症例数平均は40,000件ほどを維持している。
ABCニュースが入手した保健省の内部メモによると、集中治療室の占用率と病院患者数は増加傾向を示しているが、死者数は確実に減少しているという。
【世界の感染状況/10月13日時点】
累計感染者 | 累計死者 | 新規感染者 (直近) | |
世界 | 3,770万人 | 108万人 | 350,766人 |
アメリカ | 783万人 | 21.5万人 | 44,614人 |
インド | 712万人 | 10.9万人 | 66,732人 |
ブラジル | 510万人 | 15.1万人 | 12,342人 |
ロシア | 131万人 | 22,722人 | 13,592人 |
コロンビア | 91.9万人 | 27,985人 | 8,569人 |
10月11日
アンソニー・ファウチ博士「チームトランプの広告は誤解を招く」
ホワイトハウスコロナウイルス対策チームの最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士は、チームトランプのキャンペーン広告ビデオに使用された「自分の編集クリップ」に異議を唱えた。
映像内のファウチ博士は、「コロナウイルスと戦うために、誰も(民主党)がもっと多くのことをできるとは想像できない」と述べている。つまり、トランプ大統領の危機対応を支持しているような発言に聞こえるのである。
しかし、ファウチ博士はこの言葉を「自分自身と他の役人に述べていた」と主張した。
アメリカを代表する感染症のプロフェッショナルは、「私は公の場で政治家候補を認めたことは一度もない」と述べた。
一方、チームトランプの広報担当、ティム・マータウ氏はABCニュースの取材に対し、「広告は放映し続ける」と語った。
ティム・マータウ氏:
「このビデオはファウチ博士がトランプ政権の業績を称賛したテレビインタビューのものである。博士が話した言葉は正確であり、彼の口から直接発せられたものだ」
トランプ大統領も11日にツイッターを更新、ファウチ博士の映像について、「確かに博士が述べた言葉だ」とツイートした。
ファウチ博士とトランプ大統領はたびたび衝突しており、今回の悪質編集ビデオで両者の関係はさらに悪化するものと思われる。
トランプ大統領はアメリカを代表する感染症のエキスパートの発言を何度も却下してきた。
第1回大統領討論会、トランプ大統領はファウチ博士がスタンスを変える前の発言、「健康な者はマスクを着用すべきでない」を強調した。
残念なことに、パンデミック当初のファウチ博士の発言(スタンス変更後、撤回している)は、トランプ大統領に著しく悪用されている。
10月9日、CBSラジオのインタビューに応じたファウチ博士は、次のように述べている。
アンソニー・ファウチ博士:
「エイミー・コニー・バレット裁判官の最高裁判所判事セレモニー(9月26日)は、スーパースプレッダーイベントだ」
「ホワイトハウスは人で埋め尽くされ、出席者たちはマスクを着用していなかった。9月26日のイベントが失敗だったことは火を見るより明らかである」
最高裁判所判事、確認聴聞会
10月11日、エイミー・コニー・バレット裁判官の最高裁判所判事確認聴聞会の冒頭陳述が公開された。
それによると、バレット氏は「家族、道徳、司法哲学」に焦点を当てるという。
最高裁判所の保守化を狙う共和党陣営は、コロナウイルス救済パッケージPART2より確認公聴会を重視している。
一方、それを阻止したい民主党陣営は、同救済パッケージの本格交渉や修正第25条に基づく大統領フィットネスレビュー法案等を提案し、共和党への圧力を強めている。
リンジー・グラハム司法委員長は確認聴聞会について「現在の日程を何が何でも守る」と述べた。
ジョー・バイデン氏は故ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の後任について、「次期大統領が選任すべき」と主張している。
これに対しトランプ大統領は、迅速に保守的な判事を指名。「大統領選挙の結果は不正郵便投票の影響で最高裁判所に委ねられるため、それまでに判事を指名しなければならない」と強硬姿勢を崩さない。
民主党上院議員のクリス・クーンズ氏はABCニュースの取材に対し、次のように述べた。
クリス・クーンズ上院議員:
「私が最も懸念しているのは、パンデミックの最中にトランプ大統領と18人の共和党陣営がアフォーダブルケア法(オバマケア/ACA)とその保護を覆そうとしていることだ」
「ACAは最高裁判所の法廷だけでなく、大統領選挙にかけられている」
コネチカット州のリチャード・ブルーメンソール民主党上院議員は、バレット氏が「銃規制措置への努力に悪影響を与える」と述べた。
民主党副大統領候補のカマラ・ハリス氏は、バレット氏に質問する機会を与えられている。
カマラ・ハリス氏:
「トランプと彼の党、そしてバレット裁判官は、ACAだけでなくロー対ウェイド事件も覆す。彼らは生殖に関する権利と自由を制限すると宣言した」
「バレット裁判官は、中絶と生殖に関する権利に反対し続けてきた。彼女はそれに反対する者を違憲と認めた最高裁判所の判決、ギンズバーグ裁判官の人生の仕事、そして女性の権利を軽視している」
なお、民主党陣営は、バレット氏の判事指名を遅らせる効果的なツールはないと認めている。
【エイミー・コニー・バレット氏について知っておくべきこと】
・中絶や同性愛者の結婚に反対する保守派。
・敬虔なカトリック教徒。なお、彼女は「信仰が判決や法的意見に影響を与えることはない」と主張している。
・インディアナ州在住、ハイチから養子縁組された2人を含む7人の子供の母親。
※ロー対ウェイド事件:1973年、米最高裁判所は「妊娠中絶を憲法により保障された権利」と認め、堕胎禁止を違憲とした。