10月8日
トランプ大統領「コロナに感染し抗体を投与すれば、免疫力を得られるだろう」
ホワイトハウス病院に引っ越したトランプ大統領は、またしても世界に誤ったメッセージを発信した。
PCR検査で陰性診断を受けていないトランプ大統領は、フォックスビジネスの名物アンカー、マリア・バーティロモ氏のインタビューに応じた。
トランプ大統領は未承認の治療薬、リジェネロン社から提供された臨床試験中のモノクローナル抗体をPRし、「コロナに入院は不要」「感染し抗体を投与すれば、免疫力を得られる」「この抗体があれば全て上手くいく」と示唆した。
ドナルド・トランプ大統領:
「私は入院する必要すらなかった。コロナウイルスは自然に消えただろう」
「今、私はほとんど何も接種してない。私はもう少し長く入院すると思っていた。しかし、医療チームは誰でも接種できるステロイド薬”デキサメタゾン”を使い、私は劇的に回復した。そして私は今、何も接種していない。しかし、気分は最高にいい」
トランプ大統領は何も接種しないと主張したが、医療チームはステロイド薬”デキサメタゾン”の接種を続けているとコメントした。なお、酸素吸入は受けておらず、レムデシビル5回投与特別コースは終了している。
一方、「最後にPCR検査を受け、陰性を確認した日付と時間」、コロナウイルスが肺にどのような影響を与え、酸素飽和度を下げたのか、という質問には一切答えなかった。
トランプ大統領はPCR検査で陰性を確認していないにも関わず、ウイルスが他者に伝染することはないと考えており、「今夜からキャンペーンを再開したかった。実は昨日から始めてもよいと感じていた」と述べた。
ドナルド・トランプ大統領:
「コロナウイルスは高齢者に影響を与えると理解しているが、その他の年代は99.9%問題ない。そして、私が受けた抗体さえあれば、少し気分が悪くなるだけで、死ぬことはない」
「モノクローナル抗体がなければ、何が起こっていたか分からない。しかし、私はそれを投与され24時間以内に完治した。完璧だと思った」
高齢者や基礎疾患を持っている人がコロナウイルスに感染すると重症化しやすいことは事実である。しかし、トランプ大統領は幼児、若者、中堅世代などがウイルスを広めるリスク、重症化するリスクを無視している。
トランプ大統領に投与されたリジェネロン社のモノクローナル抗体は食品医薬品局(FDA)の承認を得ておらず、臨床試験以外の患者に投与された実績は10件未満である。
なお、トランプ大統領は「未承認の抗体を全アメリカ国民に無料で提供する」と発表したが、どのように実行するかは不明。また、製薬会社に緊急使用許可を与えると述べたが、その許可にはFDAの科学的承認を得る必要がある。
トランプ大統領「10日からキャンぺーン集会を再開するつもりだ」
8日夜、トランプ大統領はフォックスニュースのインタビューに応じ、「週末からキャンペーン集会を再開させたい」と語った。
トランプ大統領はフォックスニュースのショーン・ハニティ氏に対し、「十分な時間があれば、10日夜からラリーを再開するつもりだ。おそらく復帰できるだろう」と述べた。
ドナルド・トランプ大統領:
「土曜(10日)のフロリダ、もしくは翌日ペンシルベニアに戻る案でもいい。私は自分の体調が信じられない。とても気分がよい」
8日午後に担当医のショーン・コンリー医師からお墨付きをもらったトランプ大統領は、順調に回復していること、そして、いつでもキャンペーンに復帰できることを力強くアピールした。
またトランプ大統領は、9日にPCR検査を受けると述べた。なお、トランプ大統領が陽性確認後に検査を受けたかどうかは公表されていない。
最後に、10月15日に予定されている第2回バーチャル大統領討論会には参加せず、キャンペーン集会を開催すると強調した。なお、ジョー・バイデン氏も15日午後にフィラデルフィア市庁舎で集会を開催する予定である。
医師「トランプ大統領は10日からキャンペーン活動を再開できる」
8日午後に発表された報告書によると、トランプ大統領の担当医、ショーン・コンリー医師は大統領の状態について「治療によく反応し、劇的に回復した」「10日土曜日から公の場に戻れるだろう」と報告したという。
ショーン・コンリー医師の報告書:
「ホワイトハウス帰還後、大統領のバイタルは非常に安定しており、病気の兆候は見られなかった」
「大統領の身体は治療によく反応した。また、治療に関連する悪影響(副作用)は見られず、兆候もなかった」
「大統領は感染確認から24時間体制で医療チームの高度な治療を受けている。我々は安全に公の場に戻れると確信している」
またコンリー医師は、「10日からキャンペーン集会に戻ることができるはずだ」と報告した。
トランプ大統領は、15日にジョー・バイデン氏と第2回バーチャル大統領討論会で激突する予定である。ただしトランプ大統領は、「仮想討論会であれば参加しない」と言及している。
なお、チームトランプは大統領が陽性と診断された時点で、全てのイベントを一度キャンセルした。トランプ大統領が大規模マスクレス集会に戻る日はまだ発表されていない。
84万人以上のアメリカ国民が失業保険を申請
8日に発表された労働省の報告によると、先週新たに84万人以上のアメリカ国民が失業保険を求めたという。なお、この数値にカリフォルニア州のデータは含まれていない。
カリフォルニア州では未処理手続きを処理すると同時に、新たな不正防止システムを導入したため、失業保険の受け入れを一時停止。先週のデータは今週分に追加される。
パンデミック発生から半年以上たち、労働市場(失業率)は確実に改善しつつある。しかし、苦しい状況に置かれている国民はまだ少なくとも数百万人いることを忘れてはいけない。
失業保険の請求件数は3月下旬のピークからわずかに減少したものの、パンデミック以前には見られなかった前例のない高水準を半年以上維持している。なお、過去4週間の平均は約857,000件だった。
共和党上院議員がマスク未着用を擁護
9月26日にホワイトハウスのローズガーデンで開催されたイベントに出席した共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員は、現時点で14人の陽性が確認されている「クラスター・最高裁判所判事セレモニー」のマスク未着用問題を擁護した。
テネシー州の共和党員、ブラックバーン上院議員はABCのザ・ヒューに出演した際、「予防策は正しく講じられており、自分自身も途中でマスクを外した」と語った。
ブラックバーン上院議員:
「私はイベント直前にPCR検査を受け、マスクをつけて会場入りした」
「セレモニー中はマスクを外したが、手を洗い、必要に応じて手袋を着用し、アルコール消毒液も使った」
エイミー・コニー・バレット裁判官の最高裁判所判事指名に関する確認公聴会は、10月12日から始まる予定。なお、ブラックバーン氏は主催の上院司法委員会の一員である。
セレモニーに出席した2人の共和党上院議員を含む計14人が陽性と診断、その余波はホワイトハウスとペンタゴンに到達した。ホワイトハウスは、危機管理の甘さだけでなく、政権運営に重大な支障をきたす恐れもあると厳しく指摘されている。
しかし、クラスターが発生したにも関わず、ブラックバーン上院議員はマスクを紛失した状態で「バレット裁判官を指名する確認公聴会は予定通り開催される」と語った。
ミッチ・マコーネル上院院内総務とリンジー・グラハム上院司法委員長の提示した確認プロセスにより、バレット裁判官の指名投票は大統領選挙前に実施され、最高裁判所判事の過半数は保守派が占めることになる。
またブラックバーン上院議員は、陽性と診断されたトランプ大統領の第2回大統領討論会での熱戦を楽しみにしていると述べた。
ブラックバーン上院議員:
「トランプ大統領は素晴らしい実績を持っている。討論会でジョー・バイデンと対峙する姿を見たい」
「大統領は経済、規制緩和、安全とセキュリティに関する素晴らしい実績を宣伝するために多くの時間を割くだろう」
コロナウイルス/32州で症例数が急増中
ABCニュースが行った過去2週間の感染者数調査によると、32州で24時間あたりの新規症例数が増加しているという。
【調査結果の概要】
・32州で24時間あたりの新規症例数が増加
・25州で24時間あたりの陽性率が増加
・19州で24時間あたりの死亡者数が増加
・35州で入院患者が増加
過去1週間のアメリカの新規症例数平均は43,000件を超えており、8月22日以来の高水準を記録した。
モンタナ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、オクラホマ州、サウスダコタ州、ウィスコンシン州、ワイオミング州では、24時間あたりの入院患者数が過去最高を大幅に更新したという。
【コロナウイルス感染状況/10月9日時点】
累計感染者 | 累計死者 | 新規感染者 (直近) | |
世界 | 3,630万人 | 106万人 | 235,860人 |
アメリカ | 758万人 | 21.2万人 | 52,635人 |
インド | 684万人 | 10.6万人 | 78,524人 |
ブラジル | 500万人 | 14.8万人 | 31,553人 |
ロシア | 126万人 | 22,056人 | 11,493人 |
コロンビア | 87.8万人 | 27,180人 | 7,875人 |
CPD「第2回大統領討論会は仮想討論に変更」
8日午前、大統領候補討論会委員会(CPD)は、「10月15日の第2回大統領討論会は事実上行われる」、「関係者全員の健康と安全を確保するために」候補者は別々の場所から遠隔で参加すると発表した。
CPDの発表直後、トランプ大統領はフォックスビジネスのインタビューに応じ、次のように述べた。
ドナルド・トランプ大統領:
「私は事実上の議論をするつもりはない。仮想討論で私の時間を無駄にするなどあり得ない」
一方、チームトランプは「第2回と第3回討論会の予定を1週間ずつ後ろ倒しにすれば参加する」「10月15日にはキャンペーン集会を開催する」と主張している。
コロナウイルスに感染したチーム・トランプのキャンペーンマネジャー、ビル・ステッピン氏は声明の中で、「第2回は10月22日に、第3回は10月29日に行われるべきだ」と語った。
これに対しチームバイデンは討論会日程変更を却下した。
チームバイデン:
「ドナルド・トランプの不安定な行動で勝手にカレンダーを書き直すことは許さない」
「10月22日の第3回大統領討論会を楽しみにしている。なお、トランプが現れるか辞退するかは彼の選択だ」
またチームバイデンはABCニュースの取材に対し、ジョー・バイデン氏が「仮想討論会」への参加を楽しみにしていると語った。
8日の朝、バイデン氏はABCニュースの取材に応じた。
ジョー・バイデン氏:
「トランプ大統領が何をしようとしているのか分からない。私はCPDの勧告に従うつもりだ。ただし、大統領がラリーをするつもりなら、私たちは対処しなければならないだろう」
記者から「トランプ大統領は仮想討論会への出席を拒否している」と質問されると、バイデン氏は「知らなかった」と答えた。
【大統領テレビ討論会の日程】
・9月29日、オハイオ州クリーブランド
・10月15日、フロリダ州マイアミ
・10月22日、テネシー州ナッシュビル
【副大統領テレビ討論会の日程】
・10月7日、ユタ州ソルトレイクシティ
10月7日
ホワイトハウス・クラスター続報
政府の内部メモによると、「最近、ホワイトハウスのスタッフ34人とその他の連絡先」がコロナウイルスに感染していたという。
8日にABCニュースが入手したメモは、国土安全保障省の一部で、公衆衛生災害への継続的な全国的対応を管理・担当するアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)の上級高官に配布されたものだった。
FEMAのメモには、大統領の上級補佐官、ホープ・ヒックス氏とスティーブン・ミラー氏などの名も記されていた。
なお、ABCニュースはホワイトハウスクラスターの人数を24人と報道していたが、その数はさらに多くなった(多かった)と考えるべきだろう。なお、「その他の連絡先」が何を指しているかは不明だという。
トランプ大統領はホワイトハウス帰還後、すぐにマスクを紛失し、さらにウォルターリード病院ではコロナウイルスに感染しているにも関わらず、シークレットサービスとお忍び小旅行を決行するなど、関係者を危険にさらす行為が目立っている。
ホワイトハウスの通信ディレクター、アリサ・ファラー氏はABCニュースの取材に対し、「予防策を講じている」と述べた。
しかし、ホワイトハウス内でマスクを紛失する者は後を絶たない。
社長のトランプ大統領はエンブレム入りマスクを紛失した状態でビデオ撮影に臨み、未承認の抗体と復調を力強くアピールした。
ペンス副大統領がハエ取り紙になり、視聴者は困惑
7日に開催された副大統領討論会では、議論よりペンス副大統領の頭に注目が集まった。
討論会後半、1匹のハエがペンス副大統領の頭に着陸し、何食わぬ顔で2分以上そこにとどまると、テレビの前の視聴者は困惑した。
ペンス大統領は頭に昆虫が乗っているとは気づかず、カマラ・ハリス上院議員の激しい答弁に真顔で応えた。
俳優のコリン・ハンクス氏は、トランプ大統領を支えるペンス副大統領についてツイートした。
コリン・ハンクス氏:
「マイク・ペンスは頭に着地したハエに人生を支配されなかった。これはとても素晴らしいことだ」
「彼はコロナの免疫を持っているのだろうか?私には分からない」
チームバイデンはペンス副大統領をからかうために時間を割いた。
バイデン氏のツイッターアカウントには、ハエたたきを持つ写真が貼り付けられた。
ジョー・バイデン氏:
「このキャンペーンが飛ぶのを助けるために、5ドルを寄付する」
Pitch in $5 to help this campaign fly. https://t.co/CqHAId0j8t pic.twitter.com/NbkPl0a8HV
— Joe Biden (@JoeBiden) October 8, 2020
ホワイトハウス/セキュリティオフィスの責任者
ABCニュースによると、ホワイトハウスのセキュリティオフィスの責任者を務めるクレド・ベイリー氏は、9月に陽性と診断され入院、重症だという。
情報筋はABCニュースに対し、「ベイリー氏は9月26日にホワイトハウスで開催されたエイミー・コニー・バレット裁判官の最高裁判所判事セレモニー前に入院した」と語った。
ABCニュースはホワイトハウスにベイリー氏の容態を問い合わせたが、コメントは得られなかった。
コロナウイルスがペンタゴンに進出
国防総省は、海軍のゲイリー・L・トーマス副司令官が7日のPCR検査で陽性と診断された発表した。
トーマス副司令官は6日に陽性者と接触したことが判明し、自己隔離を始めたところだったという。
前日には、米国沿岸警備隊の副司令官、チャールズ・レイ提督の陽性が確認されており、コロナウイルスはペンタゴンの内部に侵入したものと思われる。
レイ提督は、先週金曜日にペンタゴンで開催された会議に出席しており、統合参謀本部議長のほぼ全員が検疫を開始することになった。なお、トーマス副司令官もこの会議に出席している。
海軍によると、トーマス副司令官は自宅で検疫を続けており、軽度の症状が出ているという。
ペンタゴンの広報担当、ジョナサン・ホフマン氏はABCニュースの取材に対し、「統合参謀本部の中で陽性者と接触した者は自己隔離を続けている。今のところ公表分以外の陽性は確認されていない」と語った。
トランプ大統領「リジェネロン社の抗体カクテルは素晴らしい」
7日、トランプ大統領は久しぶりにツイッターを更新、約5分の大作ビデオメッセージを投稿した。
動画の中でトランプ大統領は、リジェネロン社から提供された臨床試験中のモノクローナル抗体について、次のように述べた。
ドナルド・トランプ大統領:
「私はリジェネロン社の抗体を投与し、劇的に回復した。これは本当に素晴らしい。私は全アメリカ国民にこれを提供したいと思った」
「私は皆に大統領と同じ治療を受けさせたい。この抗体は本当に素晴らしい。完璧だ」
「私が得たものはあなたたちのものになる。私は抗体を無料で提供するつもりだ。お金を支払う必要はない」
トランプ大統領は抗体カクテルの素晴らしさと体調の良さを力強くアピールした。なお、エンブレム入りのマスクは今日も着用していなかった。
A MESSAGE FROM THE PRESIDENT! pic.twitter.com/uhLIcknAjT
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 7, 2020
トランプ大統領は、「緊急時に許可されたリジェネロン社の治療法とイーライリリー・アンド・カンパニーの同様の治療法は、連邦医薬品局のプロセスを取得しようとしている」と語った。
リジェネロン社のCEO、ジョージ・ヤンコプロス氏はABCニュースの取材に対し、「これまでのところ、臨床試験以外でリジェネロン社のモノクローナル抗体治療を受けた者は10人未満である」と述べた。
トランプ大統領は何度もコロナウイルスを打ち負かしたと強調した。しかし、それは大統領の「特権」によって与えられた世界最高の医療チームが達成したのである。大半のアメリカ国民は、トランプ大統領レベルの治療にアクセスできない。
トランプ大統領の担当医、ショーン・コンリー医師は大統領の体調について、「完全に回復したわけではない」と釘を刺している。
専門家が副大統領討論会のコロナウイルス感染予防対策に懸念を表明
副大統領討論会のステージに立つマイク・ペンス副大統領とカマラ・ハリス上院議員の目の前には、高さ5フィート(1.524m)のプレキシガラスがそれぞれ1枚ずつ設置される。
プレキシガラスが両者の飛沫をプロックするため、コロナウイルスの感染予防対策に効果を上げると思われる。
大統領候補討論会委員会(CPD)はプレキシガラスについて、「感染予防対策の一部である。プレキシガラスは疾病予防管理センター(CDC)の予防策アプローチのひとつとして使用されている」と述べていた。
これに対し専門家はABCニュースの取材に対し、次のように述べた。
専門家:
「CDCはガイドラインの中で、コロナウイルスの”エアロゾル伝播の可能性”を認めている」
「ウイルスが空中を漂うのであれば、プレキシガラスは最も効果的な対策とはいえない」
CDCによると、感染者が「咳、くしゃみ、歌う、話す、または呼吸する」と、ウイルスを含んだ粒子が長時間空気中に残り(漂う)、6フィートを超えて伝染する可能性もあるという。
専門家は、「エアロゾル伝播のリスクは、換気の悪い屋内空間や長時間の暴露で最大化すると考えられており、プレキシガラスだけでは防ぎきれないかもしれない」と主張。「感染予防対策の一種であり、それだけでリスクを抑えたと考えるべきではない」と懸念を表明した。
ナンシー・ペロシ下院議長がハリス氏の背中を押す
7日、民主党のナンシー・ペロシ下院議長は記者団に対し、カマラ・ハリス上院議員にメッセージを送ったと語った。
ナンシー・ペロシ下院議長:
「自分らしく討論しなさい」
「ヘルスケアが議論の争点になる。いつものように大声でドラムを叩きなさい」
副大統領討論会/トランプCOVID-19について
トランプ大統領がコロナウイルスに感染して以降、この話題は大統領選挙の中心的な議題になっており、10月7日の副大統領討論会でも激しく議論されることは間違いない。
ホワイトハウスはトランプCOVID-19クラスターの渦中にあり、ペンス副大統領は政権の運営方法やウイルスへの対処方法で厳しい指摘を受けることが予想される。
6日午後、トランプ大統領の「マスクに対する姿勢」、「社会的距離という概念を忘れた数千人規模の大規模キャンペーン集会再開の決定」、そして「コロナウイルスの重症度を著しく軽視したSNSへの投稿」などは、政権のパンデミックに対する考えの甘さを示しており、ハリス上院議員に武器を与えた。
またペンス大統領は、コロナウイルスとインフルエンザを誤って比較したトランプツイートの尻拭いをさせられる可能性もある。
一方、ハリス上院議員は以前、トランプ大統領のパンデミックへの対処は、「アメリカ国民の人生と幸せ、そして生命を無視する行為」と述べており、今回の副大統領討論会でもその姿勢を継続するものと思われる。
ハリス上院議員は8月27日の演説で、「この危機から約8カ月経った今でも、ドナルド・トランプは責任を負わず、行動しようとすらしない」と厳しく批判した。
ペンス副大統領はトランプ大統領の大活躍(PPEや人口呼吸器の大量製造、中国との国境封鎖)を提示、支持率回復を狙う。また、先日トランプ大統領が力強く語った「コロナに支配されてはいけない」というスローガンをさらに強調するものと思われる。
副大統領討論会の会場内では、必ずマスクを着用しなければならない。なお、着用しなくてもよい者は、ステージ上のハリス上院議員、ペンス副大統領、そして司会を務めるUSAトゥデーのスーザン・ページ氏のみである。
【大統領テレビ討論会の日程】
・9月29日、オハイオ州クリーブランド
・10月15日、フロリダ州マイアミ
・10月22日、テネシー州ナッシュビル
【副大統領テレビ討論会の日程】
・10月7日、ユタ州ソルトレイクシティ
副大統領討論会/感染予防対策追加
大統領候補討論会委員会(CPD)は、10月7日にユタ州ユタ大学で開催される副大統領討論会におけるコロナウイルス感染予防対策を追加すると発表した。
先週の第1回大統領討論会とは異なり、「聴衆はひとり残らずマスクまたは顔面カバーを着用」する必要があり、拒否する者は強制退去させられる。
CPDのフランク・ファーレンコフ委員長はABCニュースの取材に対し、「彼らはマスクを着用しなければならない。それを紛失すれば、誰であろうと退去してもらう」と語った。
CPDによると、カマラ・ハリス上院議員とマイク・ペンス副大統領は討論前にPCR検査を実施する予定だという。
ペンス副大統領は陽性と診断されたトランプ大統領や他の高官と何度も接触していたが、陰性を維持している。これに対しハリス上院議員の陣営は、会場ステージにプレキシガラスを設置するよう要求し、CPDは同意した。
しかし、ペンス副大統領陣営は最後までこれに同意しなかったという。
ペンス副大統領陣営の上級管理官はABCニュースの取材に対し、「CPDは正式な合意がなされる前に新しい感染予防対策を公表した。司会者とカマラ・ハリスはCPDの望むようにすればいい」と述べた。
なお、ペンス副大統領の首席補佐官、マーク・ショート氏もワシントン・ポストの取材を受けた際に「プレキシガラスは不要」と語っている。
マーク・ショート氏:
「疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインでは、6フィート以上距離を確保できなければプレキシガラスの設置が望ましいと推奨している。しかし、ステージ上で12フィート以上距離を確保できている」
5月にホワイトハウス初のコロナウイルス感染者になったペンス副大統領のコミュニケーションディレクター、ケイティ・ミラー氏もプレキシガラスを否定。ニュースサイト・アクシオス充ての声明の中で、「討論に自信のないハリス上院議員は要塞で守りを固め、ペンス副大統領の攻撃に耐えたいようだ」と語っている。
アメリカの症例数が750万件を超える
ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、アメリカの累計症例数が750万件を超えたという。なお、これまでに21万人の死亡が確認されている。
10月6日の24時間あたりの新規感染数は43,563件、死者数は705人だった。
国内の50州とコロンビア特別区はコロナウイルス拡散を抑制するために発出されたロックダウン等の制限を5月20日までに解除もしくは緩和、新規感染数の急増を招いた。
現在、新規感染数は40,000件前後で推移しているものの、予断を許さない状況が続く。
【コロナウイルス感染状況/10月8日時点】
累計感染者 | 累計死者 | 新規感染者 (直近) | |
世界 | 3,600万人 | 105万人 | 235,860人 |
アメリカ | 754万人 | 21.1万人 | 43,563人 |
インド | 676万人 | 10.5万人 | 72,049人 |
ブラジル | 498万人 | 14.8万人 | 41,906人 |
ロシア | 125万人 | 21,865人 | 11,115人 |
コロンビア | 87万人 | 27,017人 | 7,650人 |
ファウチ博士「アメリカ国内のコロナウイルスの死者は、30万から40万人に達する可能性がある」
ホワイトハウスコロナウイルス対策チームの最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士は、「アメリカ国内のコロナウイルス死者数は30万から40万人に達する可能性がある」と警告した。
6日、ファウチ博士はアメリカン大学主催の仮想イベントで講演し、厳しい予測を語った。
アンソニー・ファウチ博士:
「研究モデルの結果、今、我々のすべき感染予防対策を秋と冬に実行しなければ、死者数は30万から40万人に達する可能性がある」
「対策を怠れば、悲劇的な結果を招くだろう」