◎共産党は2週間前にゼロコロナ政策を大幅に見直し、厳しい制限をほとんど解除した。
2022年12月21日/中国、北部河北省の医療機関(Dake Kang/AP通信)

世界保健機関(WHO)は21日、中国全土でコロナウイルスの感染拡大が進み、一部地域の病床使用率が100%に達していると警告した。

WHOの緊急事態対応を統括するライアン(Michael Ryan)氏は記者会見で、「中国当局は集中治療室(ICU)の使用率は低いと報告しているが、疑問を禁じ得ない」と語った。

ライアン氏はWHO関係者の話を引用し、「ICUも明らかに混雑し、多くの医療機関が重症患者の受け入れに苦労している」と指摘した。

中国の統計によると、21日の全国の死者はゼロだという。しかし、多くのアナリストがソーシャルメディアなどに投稿された情報などから、「ゼロはあり得ない」と指摘している。

首都北京を含む都市部の医療機関は患者の急増に苦労しているようだ。

共産党は2週間前にゼロコロナ政策を大幅に見直し、厳しい制限をほとんど解除した。

その結果、感染が急拡大し、新規陽性者数を正確に把握することは困難になった。しかし、これは中国以外の国も経験してきたことである。

WHOは中国の人口が欧米諸国に比べると圧倒的に多く、高齢者の間で感染が急速に広がり、死者が急増するのではないかと懸念している。

しかし、感染拡大にもかかわらず、19日の全国の死者数は2人、20日もわずか5人であった。

このため、WHOのライアン氏は中国政府に対し、コロナの最新情報を正確に公表するよう呼びかけた。

ライアン氏は声明の中で、「中国のICU使用率は低いと報告されているが、満床という話を聞いている」と述べている。

またライアン氏は「感染力の強いオミクロン株を止めることは難しく、ワクチン接種がカギになる」と指摘した。

中国は独自のコロナワクチンを開発・製造し、WHOもその緊急使用を承認しているが、西側諸国で流通しているmRNAワクチンと比較すると重症化を抑える効果は低いとされる。

ドイツ政府は21日、ファイザー・ビオンテック社のワクチンを中国に送ったと発表した。

ドイツ政府によると、このファイザーワクチンは中国で生活する外国人約2万人に接種される予定だという。

中国に外国のコロナワクチンが送られたのはこれが初めて。接種がいつ始まるかは明らかにされていない。

ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は先月の北京訪問時、習近平(Xi Jinping)国家主席に外国のワクチンも積極的に取り入れるよう促していた。

2022年12月21日/中国、北京のPCR検査所(Getty Images/AFP通信)
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