◎欧州と中央アジアの感染状況は悪化し続けている。
世界保健機関(WHO)の欧州地域事務所は23日、中央アジアを含む欧州のコロナウイルス死亡者数は来春までに220万人を超える可能性があると警告した。
WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は声明の中で、ワクチンの免疫力は時間と共に低下していくと強調し、担当地域の53ヵ国にブースターショットの展開を急ぐよう呼びかけた。
一方、国連はブースターショットの展開に否定的な考えを示しており、少なくとも年末までは展開しないよう各国に呼びかけている。
クルーゲ博士は53ヵ国の指導者と国民にワクチンを接種し、政府の方針に基づく衛生対策を徹底し、社会的距離を十分確保するよう強く促した。「欧州と中央アジアの感染状況は極めて深刻です。寒さはこれからより一層厳しくなるため、コロナに感染しやすい状況はしばらく続くでしょう...」
クルーゲ博士は状況を制御できるかどうかは1人ひとりの行動にかかっていると強調した。
WHO欧州地域事務所によると、中央アジアを含む53ヵ国の直近1週間の死亡数は1日あたり約4,200人に増加したという。これは9月末の約2倍であり、地域の累計死亡者数は先日150万人を超えた。
クルーゲ博士と他の医療専門家は欧州の感染再拡大の主な要因を、
・ワクチン接種の低迷
・感染力の強いデルタ株の蔓延
・感染予防対策の緩和
と指摘している。
ワクチン接種率の低いロシアやウクライナなどの死亡者は高止まりしており、政府の頭を悩ませている。
クルーゲ博士は声明の中で、「25カ国の医療機関が圧力にさらされ、49ヵ国の集中治療室が不足している」と述べ、「現在の感染状況が続くと、地域の死亡者数は来春までに220万人を超える可能性がある」と警告した。
WHOは今月の初めの声明で、欧州だけで来春までに50万人が新たに死亡する可能性があると警告していた。
オーストリアは22日に全国封鎖を開始した。
ドイツの州政府は主要都市のクリスマスマーケットに閉鎖を命じ、連邦政府は軍の兵士にワクチン接種を義務付けた。
オランダでは政府の対策に反対する暴動が3日連続で発生し、数十人が逮捕された。ベルギーの首都ブリュッセルでは暴徒化した抗議者と警察が衝突した。
デンマークの首都では公務員のワクチン接種義務化に反対する1,000人規模のデモが行われた。