◎当局のまとめによると、現在最も大きな影響を受けている国はブラジルとインドだという。国境なき医師団(MSF)は先週、ブラジル政府の対応が「人道的大惨事」を引き起こしたと述べた。
2020年7月3日/スイス、ジュネーブの世界保健機関(WHO)本部、テドロス・アダノム事務局長(ロイター通信/プール)

世界保健機関(WHO)は、世界のコロナ症例と死亡者数は致命的な勢いで増加しており、大多数の成人へのワクチン接種が終わる前に感染予防の制限を緩和すれば、事態はさらに悪化すると警告した。

WHOのテドロス・アダノム事務局長は4月16日の記者機会で、「世界の症例と死亡者数は恐ろしい勢いで増加しています」と述べた。「世界の1週間あたりの新規陽性者数は、過去2か月でほぼ2倍になりました。残念なことに、昨年感染を抑え込んでいた一部の国でも感染が広がっています」

当局のまとめによると、現在最も大きな影響を受けている国はブラジルとインドだという。国境なき医師団(MSF)は先週、ブラジル政府の対応が「人道的大惨事」を引き起こしたと述べた。「ブラジルは権威主義の影響で効果的な感染予防対策を実行できていません。先週7日間の死亡者数は世界の4分の1以上を占めていました」

また、一部の専門家は、インドで社会的距離とマスク着用のルールを無視する市民が増えており、致命的な感染爆発につながると警告した。政府と州政府は先週、市民にマスクの着用と社会的距離の確保を必死に訴えていた。

インドの政府計画委員会のメンバーであるビノド・クマール・ポール氏は4月13日の声明で、「今日または明日から全国民がマスクを着用すれば、感染者数はすぐに減少するだろう」と述べた。「私たちは衛生対策を継続しなければなりません。継続すれば症例と死亡者数はすぐに減少します。マスクはワクチンと同じぐらい重要です。外出する時は必ずマスクを着用してください」

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、インドの4月18日の新規陽性者数は過去最高を更新する273,802件、死亡者数も過去最高の1,619人、過去7日間の症例平均は約22万件に達したという。

2021年4月16日/インド、首都ニューデリーのコロナ検査施設(マニッシュ・スワラップ/AP通信)

現在、インドのウッタランチャル州ハリドワールで開催されているヒンドゥー教の聖なる祭り、クンブメーラには数百万人の信者が押し寄せ、ガンジス川で水浴びを楽しんでいる。開催期間は約2か月。

4月13日にガンジス川で水浴びをしたヒンドゥー教徒は300万~500万人と伝えられている。罪を清めた男性は地元メディアの取材に対し、「ガンジス川はコロナウイルスを洗い流します」と述べた。

インド政府はコロナの感染拡大を抑え込むことに失敗したため、COVAXイニシアチブにアストラゼネカワクチンを供給しているセラム・インスティチュート・オブ・インディアにワクチンの輸出禁止を命じ、自国民の接種を優先するよう当局に指示した。保健省のまとめによると、インドのワクチン接種数は1億回を超えたという。

ヨーロッパも新たな感染の波に直面している。WHO地域ディレクターのハンス・クルーゲ博士は4月15日の会見で、ヨーロッパの累計死亡者数は100万人を超えたと述べた。「ヨーロッパの状況は極めて深刻であり、毎週約160万人の新規症例を報告しています。私たちは1時間に9,500人、1分間に160人がコロナに感染していることを理解する必要があります。感染率は低下している、と信じている人は今すぐ考えを改めてください」

一方、ワクチンの展開に成功したイギリスは先週、一部地域の封鎖を解除し、バー、レストラン、小売店の屋外ダイニングの営業を許可した。

ボリス・ジョンソン首相は声明で、「感染者と死亡者の急激な減少は、ワクチンの展開の成功ではなく、ロックダウンと衛生対策がもたらした」と強調した。「国民の半数以上はワクチン接種を終えておらず、集団免疫も達成できていません。私たちは感染を抑えるうえで最も重要な手段は、ロックダウンと衛生対策の徹底であることを理解しなければなりません」

昨年、感染の抑え込みに成功したドイツは第三波に苦しめられている。アンゲラ・メルケル首相は先週、症例数がしきい値を超えた場合にロックダウンを開始できる権限を確保した。

フランスは今月初めに3度目のロックダウンに移行した。フランスの累計死亡者数は西欧で3カ国目となる10万人の大台を超えた。

2021年4月14日/インド、ウッタランチャル州ハリドワールで開催されたクンブメーラ宗教祭(Anushree Fadnavis/ロイター通信)
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