◎台湾の規制当局は先月、メディゲン社(Medigen Vaccine Biologics Corp.)が開発したコロナワクチンの緊急使用を承認した。
8月23日、台湾の蔡 英文総督は国内で開発されたコロナウイルスワクチンの初回接種を受け、国民に安全性をPRした。
台湾の規制当局は先月、メディゲン社(Medigen Vaccine Biologics Corp.)が開発したコロナワクチンの緊急使用を承認した。しかし、このワクチンの臨床試験フェーズ3(大人数にワクチンを接種し、プラセボ群に対しての感染率を確認する試験)はまだ完了しておらず、多くの批判を集めている。
台湾のワクチン展開は中国共産党の嫌がらせとワクチンの安全性に対する懸念の影響で遅れている。
メディゲンワクチンはノババックス社が開発したワクチンによく似た組み換えタンパク質ワクチンであり、コロナウイルスの一部を使用して体内の免疫反応を促す。接種回数は2回、推奨接種間隔は28日。
メディケン社は開発したワクチンについて、「研究の結果、重大な安全上の懸念はなく、被接種者の体内で作られる抗体量はアストラゼネカワクチンより悪くないことが分かった」と述べた。
しかし、政府にコロナ対策を助言する諮問委員会の委員は先月、新しい基準に基づいて臨床試験完了前にワクチンの緊急使用を承認するという決定に困惑し、辞任した。
一部の批評家は「臨床試験完了前の承認はあり得ず、危険極まりない」と警告したが、メディケンワクチンの初期の研究結果は効果的と判断された。初期のデータによると、メディゲンワクチンの被接種者の抗体量はアストラゼネカワクチンの3~4倍だったという。
規制当局は先月、「メディケン社は1年以内に有効性に関するデータを提出する必要がある」と述べた。
一方、主要野党の国民党は政府の緊急承認を非難し、安全性が保証されるまで展開を控えるよう警告した。一部の党員は承認の取り消しを求める訴状を裁判所に提出したと伝えられている。
ある党員は政府に、「国民は実験室のネズミではない」と述べ、非難した。
台湾はモデルナとアストラゼネカワクチンを展開しているが、蔡 英文総督はメディケンワクチンの緊急使用が承認されるまでワクチン接種を延期していた。
蔡 英文総督は23日、自分の国民健康保険証でワクチンを予約し、首都台北の国立台湾大学で接種を受けた。接種の様子はフェイスブックでライブストリーミング配信された。なお、メディゲンワクチンの予約数は23日時点で70万件を超えている。
台湾の直近7日間の症例数は1日あたり10件。5月中旬に発生したデルタ株の感染拡大も地域限定のロックダウンで何とかに抑え込んだ。少なくとも1回ワクチンを接種した人は人口の約40%、接種を終えた人は5%に届いていない。