◎BA.2はオミクロン株ではなくデルタ株のように見えないことからステルス・オミクロンと呼ばれている。
2021年12月20日/スイス、ジュネーブのWHO本部、テドロス・アダノム事務局長(Getty Images/AFP通信)

世界中の科学者や保健当局がコロナ変異ウイルス「オミクロン株」のブラザーである「ステルス・オミクロン」に目を光らせている。

科学者にBA.2と呼ばれているオミクロン株は遺伝的特性の影響でPCR検査による検出がやや難しくなり、旧バージョン(BA.1)より確認しにくいことからステルス性が高いと考えられている。

ただし、BA.2の重症化リスクや既存のコロナワクチンが機能するかどうかなどはまだ分かっておらず、一部の専門家はいたずらに不安を煽るべきではないと懸念を表明している。

BA.2は日本を含む少なくとも40カ国で検出されている。

BA.2を3件確認したテキサス州ヒューストンのウェズリー・ロング博士はAP通信の取材に対し、「今のところ、米国で優位に立っているオミクロン株はBA.2ではない」と述べた。

BA.2はアジアとヨーロッパの一部地域で主要な変異株に置き換わると見込まれている。デンマークの1月中旬の新規陽性におけるBA.2の割合は全体の約45%を占め、年始の2倍以上に増加した。

専門家によると、BA.2のスパイクたんぱく質の構造はBA.1と同じだが、全く異なる特性を持っているという。

マサチューセッツ大学のウイルス学者であるジェレミー・ルバン博士は、「BA.2の特性が脅威をもたらすかどうかは分かっていない」と述べ、感染状況を注視する必要がある指摘した。

一部の専門家はBA.2の拡大に懸念を表明し、「BA.1の第6波がピークアウトする前にBA.2に移行することで、感染の波がより大きくなる可能性がある」と警告している。

ルバン博士は「BA.2を検出した国ではBA.2とBA.1が競合しており、感染状況を見る限り、BA.2の方が感染力が強く拡大しやすいように思える」と述べた。「ただし、BA.2が主流になると断言することはできません...」

デンマークの科学者が公表した初期の調査結果によると、BA.2の重症化リスクはBA.1とほぼ同じに見えるという。既存のワクチンが機能するかどうかはまだ研究段階である。

世界保健機関はすべてのオミクロン株を懸念される変異株(VOC)に分類している。ただし、当局は24日、一部の国でBA.2が増加しつつあることに懸念を表明し、「BA.2の調査を優先すべき」と指摘した。

英国保健安全局はイギリスおよび他国の感染状況に基づき、BA.2を「調査中の変異株」に指定した。

BA.2の「ステルス性」についても分からないことが多い。

WHOの専門家によると、BA.1には特定の遺伝的特徴があり、PCR検査でデルタ株との違いを簡単に見極められる。しかし、BA.2にこの特性はなく、テキサス州のロング博士によると「BA.2はデルタ株のように見える」という。

ロング博士はインタビューの中で、「BA.2は検出できないわけではない」と強調した。「BA.2はオミクロン株ではなくデルタ株のように見えないことからステルス・オミクロンと呼ばれています。インフルエンザや風邪と見分けがつかないわけではありません...」

WHOはBA.2に懸念を表明したうえで、基本的な感染予防対策を撤退することが重要と強調した。世界の医療専門家も同じ意見を繰り返している。

ロング博士は「オミクロン株が最後の変異株になることを望んでいる」と述べる一方、「ワクチンの展開遅れと感染拡大は新たな変異株の誕生を促すだろう」と警告した。「陽性数が多ければ多いほど、コロナウイルスに有利な突然変異を起こす確率は高くなります。オミクロンとデルタにチャンスを与えないことが重要です...」

アフィリエイト広告
スポンサーリンク