◎当局者は声明で、「研究の結果、アストラゼネカ社のワクチンは、南アフリカの変異種(501.V2、B.1.351)に対する効果は薄いことが分かった」と述べた。
報告によると、南アフリカは英アストラゼネカワクチンの国内展開を一時停止したという。
当局者は声明で、「研究の結果、アストラゼネカ社のワクチンは、国内で猛威を振るっている変異種に対する効果は薄いことが分かった」と述べた。
当局者によると、世界に拡散しつつある南アフリカの変異種(501.V2、B.1.351)は、2月6日時点で同国の新規症例の約90%を占めているという。
科学者チームによる約2,000人のボランティアを対象とした研究の結果、アストラゼネカワクチンは南アフリカの変異種から「接種者を保護できない可能性が高い」ことが判明した。
南アフリカ政府はアストラゼネカワクチンを100万回分購入しており、2月8日の週から接種を開始する予定だった。
同国のズウェリ・ムキゼ保健相は7日のオンライン記者会見で、「調査結果を踏まえ、アストラゼネカワクチンの今後の扱いを決める。私たちは科学者チームのさらなる報告を待っている」と述べた。
この研究を行ったのはウィットウォーターズランド大学(南ア)、ピアレビューは未実施。
またムキゼ保健相は、米ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンを数週間以内に市民に提供すると発表した。
研究を主導したウィットウォーターズランド大学のシャビル・マディ教授は報告の中で、「アストラゼネカワクチンは南アフリカの変異種に対して効果を発揮しない可能性が高い」と述べた。
シャビル・マディ教授:
「ただし、研究の参加者の平均年齢は31歳であり、重症化リスクの高い高齢者に対する有効性はまだ確認できていない」
一方、オックスフォード大学でワクチン開発に携わるサラ・ギルバート教授はBBCニュースの取材に対し、「アストラゼネカワクチンは患者をコロナウイルスの重篤な症状から保護する」と強調した。
サラ・ギルバート教授:
「開発チームは今年の後半までに南アフリカの変異種に対抗するワクチンの修正版を提供できる可能性が高い」
専門家によると、ワクチンはウイルスの進化を踏まえて再設計するものであり、場合によっては数週間から数カ月で変異種に対応した修正版を提供できる可能性もあるという。
なお、アストラゼネカワクチンはイギリスの変異種に対しては効果を発揮することが研究で証明されている。
一方、ファイザー社とモデルナ社のワクチンは初期の結果で、南アフリカの変異種に効果を発揮する可能性が高いことが分かっている。
アストラゼネカ(オックスフォード)のワクチンについて
・2回接種する必要がある。
・冷蔵庫で保存できる。
・超低温保存を必要としないため、輸送しやすい。
・18歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。
・他社のワクチンより安い。
種類 | 保護率 接種回数 | 試験数 (公表数) | 保管条件 期間 | 費用 |
ファイザー | 95% 2回 | 43,538人 | -75℃ 5日 | 20ドル |
モデルナ | 94.5% 2回 | 30,000人 | -20℃ 6カ月 | 33ドル |
オックスフォード | 62-90% 2回 | 24,000人 | 冷蔵庫 ー | 4ドル |
スプトーニクV | 91.6% 2回 | 19,866人 | 冷蔵庫 ー | 10ドル |
ノババックス | 89.3% 2回 | 15,000人 | 冷蔵庫 ー | ー |
コロナウイルスワクチン:分かっていないこと
・妊娠中の女性や免疫力が低下している人に対しての使用可否および効果。
・18歳以下への効果。(子供を対象とする臨床試験はまだ行われていない)
・HIV/AIDS患者やコロナウイルスから一度回復した人への効果。
・アレルギー反応を引き起こす可能性あり。
・接種者はコロナウイルスから保護されるが、「ウイルスの拡散を防ぐ効果があるかどうか」はまだ分かっていない。
・接種者はコロナウイルスから完全に保護される?症状から保護される?
・コロナウイルス変異種に対する効果。
・免疫を保持できる期間は?