ロドリゴ・ドゥテルテ

フィリピンの狂犬、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、国民に対し「ガソリンでマスクを消毒しろ」とアドバイスした。

この発言を受け、記者団に「本当か?」と問われると、「冗談ではない」と真顔で返答した。

ドゥテルテ大統領は先週にも同様の発言を行っている。しかし、同国の保健当局はすぐに発言を訂正し、「ジョークである」と述べていた。

しかし、7月30日に記者会見を開いたドゥテルテ大統領は、「私の発言に間違いはない。今すぐガソリンスタンドに行き、マスク消毒用にそれを購入しなさい」と語った。

「ガソリンでマスクを消毒する」と発言した人間はこれまでに一人もおらず、世界中の調査機関もそれに消毒効果があるか否かは分からないという。しかし、ガソリンは危険物であり、むやみやたらに一般人が取り扱うものではない。

ガソリンは可燃性である。火種が接触すれば火災の原因になるだけでなく、量が多いと大爆発を引き起こす。マスクを洗っている最中に爆発すれば、自分自身が消毒されてしまうだろう。

ドゥテルテ大統領は先週のコメントを引用し、「アルコール消毒液が不足している。特に貧しい人々は入手が困難になっている。しかし、ガソリンスタンドに行けば、アルコール消毒液より安価でガソリンを入手できる。それでマスクを消毒すれば、ついでに自分の手もキレイになるだろう」と述べた。

これに対し記者団のひとりが、「馬鹿げている。あなたの発言を真に受けた国民がガソリンを使用し、大やけどを負ったらどうするのか?」と問いただすと、「ガソリンはアルコールである。メディアの人間はその程度のことも理解していないのか?君が大統領になれば、フィリピンはより良い国になるだろう」と嘲笑した。

2月、フィリピンは、中国以外の国で初めてコロナウイルス感染を確認した国になった。この直後、ドゥテルテ大統領はウィルスを軽視し、そのうち自然死するだろうと述べた。

その後、感染者数は一定水準以上には上昇せず、ドゥテルテ大統領はアメリカのトランプ大統領と同じく、マスクもロックダウンも社会的距離も必要ないと繰り返し発言した。

これに対し同国の専門家は、PCR検査体制の拡充、濃厚接触者の追跡、適切な感染予防対策をとらねば、欧州のようにパンデミックが発生すると警告していた。

専門家の警告は現実となり、フィリピンの感染者数は一気に増加。これを受けドゥテルテ大統領は3月上旬にルソン島のロックダウンを突然発表した。

補償なきロックダウンが発出されたことで、国民の生活は困窮した。

ドゥテルテ大統領は国の予算を再調整し、コロナウイルスに対処すべく軍隊の出動を決定。議会の承認なく指示を行える大統領権限を使い、国民の自由を奪った。なお、予算の再調整に伴い、補償や給付金が配布されると噂になったが、そのようなものはどこにもなかった。

外出禁止令を発出したドゥテルテ大統領は、警察や軍に対し、「身の危険を感じた時は、すぐに重火器を使用すること」と念を押し、政府に対し攻撃的な態度をとった者は躊躇なく射殺される、と警告した。

大統領の発言はSNSで拡散され、大混乱を招いた。しかし、本気で射殺することを再度強調し、フィリピン国民はコロナウイルスより恐ろしい重火器から身を守らなければならなくなった。

YouGovのオンライン調査によると、ウイルスに対するドゥテルテ政権の対応を「非常に良い」または「やや良い」と評価した人は、5月の時点で72%だった。しかし、その後もウイルスの収束には至らず、6月末には51%にまで低下した。

ドゥテルテ大統領をバックアップする世論調査チームは、ロックダウンの影響で戸別訪問を行うことができず、高支持率をアピールすることはできなかった。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、7月31日時点のフィリピンの累計感染者数は89,374人、約2,000人の死亡が確認されている。なおPCR検査総数は人口の1%、約100万件ほどである。

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ガソリンマスク

ドゥテルテ大統領は、アルコール用品もしくはクリーニング用品を持っていない国民に対し、「ガソリンでマスクを消毒すればよい」と発言した。

なお、専用の消毒液を入手できる場合はそれを活用し、正しくマスクを使え、と強調している。

ドゥテルテ大統領のガソリンマスクアドバイスは以下の通りである。
「専用の消毒液を持っていないもしくは入手できない者は、ガソリンかディーゼル燃料にマスクをじっくり浸す。この時、手についたウイルスも一緒に除去するとよい」

ドゥテルテ大統領のスポークスマンを務めるハリー・ロック氏は、先週のガソリンマスク発言を即訂正し、大統領のジョークである、と述べていた。

一方、保健当局のマリア・ロザリオ・ヴェルゲイル氏は記者団に対し、「布製のマスクは、石鹸などでしっかりもみ洗いしたのち乾燥させる。この時、事前に手洗いを行い、マスクの内側部分には極力手を触れないこと。アルコール消毒液を持っているのであれば、マスク全体に塗布してほしい」と語った。

フィリピンでは、7月30日の24時間当たり新規感染者数が過去最高の3,954件に達した。

ドゥテルテ大統領は、さらなる感染拡大を防ぐべく、首都マニラのロックダウンを8月中旬まで延長すると発表した。

首都マニラでは、立ち入り時の検疫、高齢者や子供の移動制限、大型飲食店や商業施設の閉鎖が続いている。

ガソリンマスクの説明を終えたドゥテルテ大統領は、国民に対しコロナウイルスワクチンを無料で提供すると約束。ワクチンが完成次第、低所得者層から摂取を開始することになるだろうと述べた。ただし、具体的な時期については触れず、ワクチンは中国に提供してもらうと付け加えた。

7月31日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、パンデミックの影響は今後数十年続くと指摘。ワクチン開発に希望を委ねるのではなく、感染予防対策とPCR検査体制を拡充し、感染爆発を抑えることが何より重要だと警告した。

同日、ラテンアメリカの震源地のひとつ、メキシコの累計死者数がイギリスを抜き、世界の3番手に躍り出た。

同国の累計死者数は46,688人に達し、感染者数は42万人を超えている。

以前、メキシコ政府および地方自治体は、公式発表数と実感染者数には差異があると認め、実際の感染者ははるかに多いかもしれないと述べている。

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、低迷する経済活動の再開に全力を注いでいる。ロックダウンは5月から段階的に緩和され、国民は職場に戻った。

首都メキシコシティでは、6月中旬に数十万人規模の工場労働者が仕事を再開。7月初めには重要でない仕事も再開を許可された。

同国の専門家たちは、大統領のロックダウン発出(3月23日)はあまりに遅く、解除するタイミングは早すぎた、と批判した。

政府の対応が後手後手に回っていることは、感染者数と死者数の増加を見れば一目瞭然である。州知事たちは、「政府のウイルス対策は間違いだらけである。対策チームの代表を務めるヒューゴ・ロペス=ゲーテル・ラミレス保険次官補は今すぐ辞任すべきだ」と主張した。

【各国の感染状況/7月31日】

累計感染者累計死者新規感染者
世界1,760万人67.9万人293,252人
アメリカ464万人15.6万人66,364人
ブラジル267万人92,568人52,383人
メキシコ42.5万人46,688人8,458人
南ア49.3万人8,005人11,014人
フィリピン89,374人2,000人3,954人
日本36,234人1,008人1,579人
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