◎ファイザー社はアメリカ以外の国のワクチンを製造するベルギーのプールス工場を拡張するために供給量を一時的に減らすと発表し、各国政府のワクチン接種スケジュールを混乱させた。
◎ファイザー社は声明の中で、「今年供給できる用量を増やすための方法を模索してきた。2021年末までに約20億回分のワクチンを供給できると考えている」と述べた。
ファイザーワクチンの供給量が減少している問題について、EUとカナダの政府は「介護施設の高齢者や医療関係者への展開が遅れる」と苛立ちを見せた。
報道によると、イタリア政府は法的措置を検討しているという。
カナダで最も人口の多い州の州首相は声明で、「ファイザー社のCEOの尻を叩くべきだ」と述べた。
EUの幹部も、「私たちは価格交渉などを経てファイザー社と合意した。約束は守らなければならない」とファイザー社を非難した。
EUはイスラエルやイギリスのようにワクチン展開がスムーズに進んでおらず、市民から非難を浴びている。
ファイザー社はアメリカ以外の国のワクチンを製造するベルギーのプールス工場を拡張するために供給量を一時的に減らすと発表し、各国政府のワクチン接種スケジュールを混乱させた。
チェコのアンドレイ・バビシュ首相は声明で、「供給量の減少はスケジュールに重大な影響を与える。事態はより複雑になるだろう」と述べた。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「私たちはファイザー社の突然の発表に度肝を抜かれている」と怒りをあらわにした。
EUはファイザー社から今週と来週に受け取るワクチンの92%を27か国に展開し、残りの8%は2月15日の週に確保する予定と伝えられている。
ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長:
「当面の課題は、ファイザーワクチンの1回目の接種を受けた人が、推奨される期間内に2回目を接種できるだけの容量を確保することだ」
「契約を守ることが最も重要である。EUはファイザーから最大6億回分のワクチンを購入することに合意した」
アメリカの各州でもワクチンの確保が困難になっているという。NYのアンドリュー・クオモ州知事はファイザー社と直接契約したいと申し出たが、「連邦政府の許可を得る必要がある」と指摘されている。
ファイザー社は驚異的なスピードでワクチンを開発および展開したが、ここにきて難しい対応を迫られている。
1月20日、ファイザー社はAP通信の取材に対し、「今は少し後退しているが、今年後半になればワクチンの供給量は大きく増加するだろう」と語った。
またファイザー社は声明の中で、「今年供給できる用量を増やすための方法を模索してきた。2021年末までに約20億回分のワクチンを供給できると考えている」と述べた。
しかし、展開初期のスケジュールを狂わされた各国政府は、コミュニケーションの不足を厳しく指摘している。
ドイツのイェンス・シュパーン保健相は、「ファイザー社の発表は唐突過ぎた。私たちは何も知らされていなかった」と述べた。
イェンス・シュパーン保健相:
「設備を増強し、供給量を増やす試みは理解できる。しかし、突然深夜に情報を伝えられても困る。この対応に不満を感じない人はいないはずだ」
カナダのワクチン展開などを担当するダニー・フォーティン少将は、「ファイザー社は来週の配達を完全に停止し、今後3週間の供給も大幅に減少すると突然通知した」と述べた。
オンタリオ州首相のダグ・フォード氏は、「一部の国のみ優遇されていることに腹が立つ」と述べた。
ダグ・フォード州首相:
「トルドー首相は州の窮状を理解している。彼はファイザー社のCEOに爆竹を投げつけ、尻を叩くだろう」
EUもファイザー社のCEOに爆竹を投げつけ尻を叩く可能性がある。27か国の指導者は21日のオンラインサミットでファイザー問題などを議論すると伝えられている。
ファイザー社のワクチンについて
・95%の確率で接種者を保護する。また、65歳以上の患者の保護率も94%を示した。
・2020年に最大5,000万回分、2021年に最大13億回分の投与を目指している。
※2021年末までに20億回分の供給を目指すと発表。
・2回接種する必要がある。
・輸送時の温度管理(ー75℃前後)が懸案事項。
・16歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。
・1回の投与で強力な保護を得られると米食品医薬品局(FDA)は判断した。ただし、最高の保護を得るためには2回接種すべきと推奨。
・男女、異なる人種や民族に等しく効果を発揮する。
種類 | 保護率 接種回数 | 試験数 (公表数) | 保管条件 期間 | 費用 |
ファイザー | 95% 2回 | 43,538人 | -75℃ 5日 | 20ドル |
モデルナ | 94.5% 2回 | 30,000人 | -20℃ 6カ月 | 33ドル |
オックスフォード | 62-90% 2回 | 24,000人 | 冷蔵庫 ー | 4ドル |
スプトーニクV | 92% 2回 | 20,000人 | 冷蔵庫 ー | 10ドル |
コロナウイルスワクチン:分かっていないこと
・妊娠中の女性や免疫力が低下している人に対しての使用可否および効果。
・18歳以下への効果。(子供を対象とする臨床試験はまだ行われていない)
・HIV/AIDS患者やコロナウイルスから一度回復した人への効果。
・アレルギー反応を引き起こす可能性あり。
・接種者はコロナウイルスから保護されるが、「ウイルスの拡散を防ぐ効果があるかどうか」はまだ分かっていない。
・接種者はコロナウイルスから完全に保護される?症状から保護される?
・コロナウイルス変異種に対する効果。
・免疫を保持できる期間は?