◎現地メディアによると、人々は自宅で患者を治療するために酸素シリンダーを購入しており、新しいシリンダーと詰め替え用の液体酸素は入手困難になったという。
インドネシア政府は多くの都市でコロナ患者が急増していることを受け、医療用酸素の生産を優先するよう企業に命じた。
現地メディアによると、都市部の医療機関は深刻な酸素不足に直面し、ジョグジャカルタ市の総合病院では7月3日以降、酸素不足などの影響で少なくとも63人のコロナ患者が死亡したという。
インドネシアは今年1月の感染拡大を上回る第二波に見舞われており、7月3日の新規陽性者数は過去最高の27,913件、死亡者も493人に達し、累計感染者は約230万件、累計死亡者は6万人を超えた。
専門家は国内旅行の増加とインドで最初に確認されたデルタ株の亜種が事態を悪化させていると警告した。また、首都ジャカルタを含む各都市のコロナ検査は明らかに不足しており、国内の感染状況を把握することは困難と指摘した。
観光産業の中心であるジャワ島とバリ島は先週、島の封鎖を決めた。
首都ジャカルタの南東、西ジャワ州バンドンにある2つの総合病院は医療用酸素が不足していることを公表し、新規患者の受け入れを停止した。
バンドン、スラカルタ、パメカサンの救急隊と集中治療室は入院を求める市民の急増に直面しており、一部の病院は症状の軽い患者を強制退院させたと伝えられている。
バンドンの地域総合病院は7月2日、医療用酸素の不足に伴い、コロナ患者の緊急治療を停止すると発表した。病院長は英BBCニュースの取材に対し、「酸素が届かない」と嘆いた。
ジョグジャカルタ市のサルジト総合病院では7月3日以降、少なくとも63人のコロナ患者が死亡した。現地メディアによると、このうち少なくとも33人が液体酸素の供給の停止中に窒息死したという。
ブディ・グナディ・サディキン保健相は5日、健康問題を監督する議会委員会で、ジャワ島とバリ島の急増と病院の酸素不足に対処する特別対策チームを設置したと語った。
サディキン保健相はオンライン聴聞会の中で、「各病院の医療体制を把握し、必要な措置を講じる」と述べた。また産業省に、業界に割り当てられている産業用酸素を医療に転用するよう要請したことも明らかにした。
現地メディアによると、人々は自宅で患者を治療するために酸素シリンダーを購入しており、新しいシリンダーと詰め替え用の液体酸素は入手困難になったという。需要の急増を受け、酸素の価格は2倍に跳ね上がったと伝えられている。
政府は4日の記者会見で、感染者数は5月上旬から10倍に急増したと述べた。同国は主に中国のシノバックワクチンを全国展開しているが、少なくとも1回接種した人の割合は人口の約12%にとどまっている。政府はデルタ亜種に対応するためにブースターショット(3回目の投与)を検討している。
国際赤十字赤新月社連盟は先週、インドネシアは窮地に追い込まれていると述べた。