◎2億人以上が生活するウッタル・プラデーシュ州の政府当局は、ガンジス川に浮かんでいる遺体および、河川沿いの砂場に埋められた遺体を数百体発見した。
現地メディアによると、インドのガンジス川で少なくとも数百体の遺体が発見され、その数は増え続けているという。当局者はメディアの取材に対し、コロナ患者の遺体がガンジス川に遺棄されている可能性があると述べた。
2億人以上が生活するウッタル・プラデーシュ州の政府当局は、ガンジス川に浮かんでいる遺体および、河川沿いの砂場に埋められた遺体を数百体発見した。周辺住民は現地メディアの取材に対し、「一部のコロナ患者の遺体はガンジス川で処理されています」と述べた。
インドの新規陽性者と死亡者数は4月中頃に爆発し、医療機関と火葬場を圧倒した。保健当局のまとめによると、累計感染者数は2,500万件以上、累計死亡者数は27.5万人を超えたという。しかし、専門家は実際の死亡者数と公式発表の数には大きな乖離があると指摘している。
現地メディアによると、当局者は5月10日にビハール州チャウサー村近くのガンジス川で川岸に打ち上げられた遺体、合計71体を回収したという。
警察当局は、打ち上げられた遺体の一部はガンジス川沿いで火葬された遺体の一部と思われるが、不法に遺棄された可能性も否定できないと述べた。
5月11日、チャウサー村から約10km離れたウッタル・プラデーシュ州ガジプル地区のガンジス川沿いで数十体の腐敗した遺体が見つかった。現地メディアによると、遺体は野良犬やカラスに食い荒らされ、ボロボロだったという。
同州の警察は現地メディアの取材に対し、「ガンジス川の周辺住民から悪臭に関する苦情を受けていたが、ビハール州チャウサー村の事件が話題になるまで、現地確認は行っていなかった」と述べた。
同州バリア地区のヒンドゥー教徒はガンジス川で早朝の沐浴(もくよく)を行っている最中に遺体を発見し、困惑した。警察によると、同地区の村人から要請を受け、遺体を62体回収したという。
ヒンドゥー教徒は死者を火葬するが、一部のコミュニティでは子供、未婚の少女、感染症やヘビの咬傷で死亡した人の遺体をガンジス川に浮かべる風習が残っている。また、貧しい人々は遺体を火葬する余裕がないため、遺体を白い布で包み、ガンジス川に流すことが当たり前になっている。
地元メディアによると、遺体に石などの重りをくくりつけ川底に沈める人は少ないという。
ウッタル・プラデーシュ州カンプールで活動している専門家は、「水死体の大半はコロナウイルス患者だと思う」と述べた。「州政府は4月16日から5月5日までの間にカンプールで死亡したコロナ患者は196人と発表しましたが、同地区内の火葬場で期間中に処理された遺体の数は8,000体近くにのぼっています」
「7つの電気火葬場は24時間フル稼働していましたが、それでも遺体を処理しきれず、自治体は屋外で火葬することを許可しました。しかし、火葬場はコロナで死亡したという病院の証明書を持つ遺体のみを受け入れ、病院以外で死亡した患者の処理を拒否しました。行き場を失った遺族はガンジス川沿いなどで遺体を焼き、一部は火葬せずに川岸の砂場に埋葬したようです」
専門家は、ガンジス川で見つかった遺体は自宅で死亡したコロナ患者か、火葬する余裕のない貧しい人々だと信じていると述べた。
当局者はガンジス川で遺体を発見した際は、回収せず警察に連絡してほしいと呼びかけている。水死体がコロナの感染源になるかどうかは不明だが、専門家は「可能性は否定できない」と述べた。
ガンジス川沿いの周辺住民は、砂場に数百体の遺体が埋葬されていることを知り、困惑した。ソーシャルメディアには大雨で川の水位が上昇すれば、遺体が浮かびあがってくるという投稿が相次いで寄せられた。
ウッタル・プラデーシュ州政府は5月12日、ガンジス川への遺体の遺棄を禁止し、火葬する余裕のない人々に資金を提供すると発表した。