◎エマニュエル・マクロン大統領はテレビ演説で、国内の全ての医療従事者に9月15日までにコロナワクチンを接種するよう命じた。
7月12日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はテレビ演説で、国内の全ての医療従事者に9月15日までにコロナワクチンを接種するよう命じた。
マクロン大統領はデルタ株を含む変異種の感染再拡大に懸念を表明したうえで、国民にできるだけ早くワクチンを接種するよう促した。
保健当局のまとめによると、11日の新規陽性者数は4,256件、死亡者は19人だったという。フランスのワクチン接種は順調に進んでおり、接種を終えた人の割合は人口の約40%、少なくとも1回接種した人は52%を超えた。
マクロン大統領はレストラン、ショッピングモール、病院、公共交通機関、飛行機などを利用する際のコロナパスポートの提示を義務化することも明らかにした。パスポートの交付条件は次の通り。
・ワクチン接種を終えた人。
・最近コロナから回復したことを証明できる人。
・検査で陰性と診断され、検査結果を証明できる人。
マクロン大統領は、デルタ株の感染拡大はすぐ目の前に迫っていると警告した。「フランスは新たな脅威に直面しています。私たちの生活を守るためにはワクチンが欠かせません。ワクチンの接種を加速させ、コロナの勢いを抑えるのです...」
またマクロン大統領は、「コロナと共存しなければならない」と国民に呼びかけたうえで、7月13日に再び非常事態を宣言し、制限を強化すると発表した。「当局は8月に新たな波が発生すると警告しています。コロナと共存するためにワクチンを接種してください」
テレビ演説後、マクロン大統領はツイッターに「ワクチン接種を受けろ!」と繰り返すGIFを投稿した。
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) July 12, 2021
ほとんどの欧州諸国はワクチン接種の義務化を避けてきたが、マクロン大統領はナーシングホームの入居者数万人が死亡したことを受け、医療施設、ナーシングホーム、病気を患っている高齢者を支援する全ての労働者およびボランティアにワクチンは必要不可欠であると述べた。
AFP通信などによると、9月15日までにワクチンを接種しなかった条件に当てはまる労働者は、制裁または罰金に直面する可能性があるという。
一方、ギリシャ政府は12日、ワクチン接種を拒否する医療従事者の資格を停止すると発表した。
イタリアも医療従事者、薬剤師などのワクチン接種を義務化している。
デンマークではレストランや集会などに参加する際、ワクチン接種を終えたか最近検査を受け陰性であることを証明できるデジタルパスポートが必要になった。ドイツの一部の州はデンマークと同じレストランパスを求めているが、「州議会はまもなくワクチン接種を義務化する」という噂が広まり、不安を引き起こしている。
マクロン大統領は演説の中で、「いくつかのウイルス検査を有料化する」と宣言し、「検査で都度陰性を証明するのではなく、ワクチンを接種して自由を手に入れてほしい」と呼びかけた。
フランスのレストランやバーは制限が緩和された影響で繁盛し、ツール・ド・フランスは多くの観衆を一カ所に集め、カンヌ映画祭に参加したハリウッドスターたちはレッドカーペットで腕を組み、ノーマスクでメディアの取材に応じた。
フランスの症例数は2週間ほど前から緩やかに増加し始めているが、病床と集中治療室の占有率は減少している。しかし、多くの医療専門家がデルタ株の蔓延により、医療体制は再びひっ迫すると予測している。