◎米食品医薬品局(FDA)に助言する科学諮問委員会は、コロナワクチンのブースターショット(3回目接種)は65歳以上および重症化リスクの高い人にのみ提供すべきと述べた。
2021年9月14日/ペンシルバニア州レディングの医療機関(Matt Rourke/AP通信)

9月17日、米食品医薬品局(FDA)に助言する科学諮問委員会は、全国民にコロナワクチンのブースターショット(3回目接種)を提供するというジョー・バイデン大統領の計画を拒否し、ブースターは65歳以上および重症化リスクの高い人にのみ提供すべきと述べた。

また諮問委員会は、医療関係者や教師を含む最前線の労働者に対するブースター提供を支持した。

FDAは諮問委員会の意見を踏まえて数日以内に最終決定を下す予定。ブースターの接種時期は2回目の接種から6カ月後。ホワイトハウスは諮問委員会の決定に関する声明をまだ発表していない。

ハーバード大学医学部の顧問を務めるジェレミー・ファウスト博士はABCニュースのインタビューの中で諮問委員会の決定を支持し、「ブースターの安全性データをさらに収集しなければならない」と述べた。「高齢者のデータは揃いつつありますが、それ以外の人々のデータは明らかに不足しています...」

諮問委員会が提案したブースター計画は、ファイザー社が提示し、ホワイトハウスが承認した全国民を対象する計画よりかなり慎重だった。

ファイザー社はイスラエルを含む国々の広範なデータを引用し、ファイザーワクチンの抗体量は時間と共に低下していくことを示した。

ファイザー社は諮問委員会の決定後、声明で、FDAと協力してワクチン接種の加速に向けた取り組みを推進していくと述べた。「委員の中で精査された多くの科学的証拠は、ブースターショットがコロナウイルスの感染拡大を抑える重要なツールになることを示しています...」

ジョー・バイデン大統領は先月、FDAと疾病予防管理センター(CDC)が合意した場合にのみ、ブースターの展開に取り組むと述べていた。しかし、展開は早ければ9月20日に始まると述べたことで、バイデン政権は独立した規制当局に圧力をかけているという非難につながった。

FDAが65歳以上の高齢者と最前線の労働者に対するブースター計画案を承認した場合、計画案はCDCに持ち込まれ、CDCの独立した諮問委員会でさらに議論される。その後、CDCの委員から承認を得られれば、ようやく対象者へのブースター接種が始まる。

一方、ブースターの支持者たちは、ファイザーワクチンの保護率(有効性)が2回目の接種後約4カ月で96%から84%に低下するというデータに懸念を表明している。ファイザー社はホワイトハウスに提示したデータの中で、ブースターを接種すると保護率は最大95%まで回復すると述べた。

ロサンゼルスで活動する救急医のプリシラ・ハヌデル博士は、「免疫力が低下した人々にブースターを提供する必要がある」と呼びかけた。「免疫の低下は感染状況に反映されるでしょう。未接種者がいるかどうかにかかわらず、誰もが免疫力を高めなければなりません」

FDAは先月初めに免疫不全患者に対するファイザーおよびモデルナワクチンのブースターを許可しており、対象者は接種を開始した。

イギリスは先日、50歳以上の全国民と他の脆弱な人々のブースターを許可した。ドイツ、フランス、チェコも同様の計画を発表している。イスラエルは対象を12歳以上の全国民に拡大している。

一方、世界保健機関(WHO)は先進国のブースター計画に懸念を表明し、発展途上国の接種率が先進国レベルに到達するまでブースターは控えるべきと呼びかけている。

WHOのマチディソ・モエティ博士とアフリカ疾病管理予防センター(Africa CDC)を含むアフリカの保健当局者は先月、「約13億人が生活するアフリカ大陸のワクチン接種はほとんど進んでいないにもかかわらず、一部の豊かな国はワクチンを蓄え、公平という理念を嘲笑している」と述べ、先進国のブースター計画を非難した。

WHOによると、アフリカ大陸で少なくとも1回ワクチンを接種した人は人口の約6%、接種を終えた人は4%に満たないという。

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