◎世界保健機関(WHO)の報告によると、ヨーロッパの感染者数は80歳以上を除くすべての年代で増加し、ワクチンの展開の遅れが感染再拡大に大きく貢献しているという。
4月1日、世界保健機関(WHO)はコロナウイルスの新たな波に直面しているヨーロッパのワクチン展開スピードは「容認できないほど遅く」、パンデミックを長引かせる可能性があると警告した。
WHOのヨーロッパ地域ディレクター、ハンス・クルーゲ博士は声明の中で、「ワクチンは困難から抜け出す最善の方法」と強調した。欧州疾病予防管理センター(ECDC)などのまとめによると、ヨーロッパの人口の約10%が1回目を接種し、約4%が2回目の接種を終えたという。
クルーゲ博士は展開が遅れるほど感染再拡大のリスクも増すと述べた。「展開の遅れによる感染再拡大のリスクを抑えるためには、これまでと同じように感染予防対策を徹底する必要があります。ワクチンの製造を強化し、ワクチンに関する諸問題を解決し、手元にある在庫がなくなる勢いで接種を進めてください」
専門家によると、ヨーロッパの接種率は順調に接種を進めているイギリスなどのEU非加盟国の数値が大きく引き上げており、EUの接種率は極めて低いという。EUで1回目の接種を終えた人は3月末時点で約5.6%、イギリスは約46%だった。
クルーゲ博士はワクチン接種キャンペーンが「市民に誤った安心感を与えている」と各国の政府に警告した。「ヨーロッパは現在、深刻な感染再拡大に直面しています。感染者と死亡者はほとんどの国で高い水準を保っており、変異種も拡大し続けています」
WHOの報告によると、ヨーロッパの感染者数は80歳以上を除くすべての年代で増加し、ワクチンの展開の遅れが感染再拡大に大きく貢献しているという。WHOは報告の中で、「接種率が低い場合はコロナの拡散を抑えるために、新たな行動を早期にとらなければならない」と述べた。
ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、先週7日間のヨーロッパ地域の新規陽性者数は約160万人、死亡者数は約24,000人、EU27ヵ国の累計死亡者数は3月末時点で約61万人、イギリスやロシアなどを加えた欧州諸国の累計死亡者数は間もなく93万人を超えるという。
WHOはペサハ(過越祭)、イースター休暇、ラマダンなどの宗教行事による移動と集会がさらなる感染拡大の要因になる可能性があると警告した。
EUはアストラゼネカワクチンとの契約交渉で大きく遅れを取り、接種開始後も副反応問題で一時接種を停止し、政治的混乱を引き起こした。また、ファイザーとモデルナワクチンに関しても、生産と流通の問題に直面した。
一部のEU加盟国は欧州委員会のワクチン展開に不満を表明し、独自に中国やロシアのワクチンを確保している。ハンガリーは中国のシノファームやロシアのスプートニクVなど、計7種の緊急使用を許可した。
人口約700万人のセルビアは中国のシノファーム社と契約し、3月末時点で200万人以上にワクチンを提供した。また、近隣諸国も積極的にワクチンを展開している。
【欧州の感染状況/2021年4月1日時点】
累計感染者 | 累計死亡者 | 新規感染者 (直近) | |
世界 | 1.29億人 | 282万人 | - |
フランス | 470万人 | 95,948人 | 59,038人 |
ドイツ | 284万人 | 76,589人 | 25,014人 |
ベルギー | 88.2万人 | 23,016人 | 5,611人 |
ハンガリー | 65.2万人 | 20,737人 | 6,700人 |
チェコ | 153万人 | 26,421人 | 8,664人 |
スペイン | 329万人 | 75,541人 | 3,573人 |
オーストリア | 54.6万人 | 9,339人 | 3,687人 |