世界の最大の毛皮生産国のひとつであるデンマークは、コロナウイルスに感染したミンクから人間に広がる可能性のある突然変異種が確認されたため、一部地域を封鎖し、国内で飼育しているミンクを殺処分すると発表した。
政府によると、これまでに変異種に感染した患者は12人。開発中のワクチンが効かない可能性もあると警告した。
封鎖の対象地域は北ユランの7つの自治体。期間は11月6日から12月3日まで。
・期間中、バー、レストラン、公共交通機関、全ての公共屋内スポーツ施設が閉鎖。
・10人以上の集会は禁止。地域住民は自治体内にとどまり、検査を受けるよう促された。
政府は国内の農場で飼育しているミンク、約1,700万匹を殺処分すると述べた。
スカンジナビア半島は、世界最大のミンク毛皮生産地域である。コロナウイルスに感染したミンクの処分は先月末から始まった。
世界保健機関(WHO)は11月5日の記者会見の中で、「デンマーク政府は大きな経済的影響が出ると理解しながらも、勇気と決意を持って行動を開始した」と述べた。
これまでにデンマーク、ユトランド半島の207のミンク養殖場で症例を確認し、少なくとも5つの新しいウイルス株が発見されたという。
マグナス・ヒューニッケ保健相は、デンマーク北部で確認された783件の症例の約半分がミンク養殖場のウイルス株に関連していると述べた。
メッテ・フレデリクセン首相は記者会見で、「私たちは突然変異したウイルスを封じ込め、それ以上広がらないようにできる限りのことをする」と語った。
メッテ・フレデリクセン首相:
「変異したコロナウイルスに感染すると、体内の抗体形成能力が弱まることが分かった」
変異種は現在開発中のワクチンを無効にする可能性がある。
デンマーク、突然変異種の影響で最大1700万匹のミンクを淘汰する
ミンクのコロナウイルス感染は、オランダとスペインの養殖場でも確認されている。
スペインはアラゴン州の養殖場で感染を確認し、7月に10万匹を殺処分した。
オランダの養殖場でも数万匹を処分している。
ミンクの感染経路、人間に広がる可能性などについては、現在研究が進められているという。
スタテンズ血清研究所、感染症対策部門の責任者、カレ・モルバク氏はワシントン・ポスト紙の取材に対し、「最悪のシナリオとして」デンマークから新たなパンデミックが発生する可能性もあると警告した。
一方、別の科学者たちは、変異種のデータが公表されていないため、無用な混乱を招かないよう注意を促している。