◎WHOは各国にワクチン接種を加速するよう強く呼びかけた。
世界保健機関(WHO)は29日、コロナ変異ウイルス「オミクロン株」が世界規模の感染拡大を引き起こすリスクは非常に高く、深刻な結果をもたらす可能性があると警告した。
WHOは先日、初期のデータに基づき、オミクロン株を「懸念される変異種」に指定し、それは他の変異株より「再感染のリスク」が高いことを示唆していると明らかにしたが、29日の声明でより強い懸念を表明し、世界にワクチン接種の加速と感染予防対策の徹底を呼びかけた。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は29日、貧しい国々にワクチンを提供するよう求める世界の指導者に加わった。「私たちは一緒に進んでいません。そして、コロナウイルスは私たちを待ってくれません...」
南アフリカはオミクロン株を最初に発見したことで世界から称賛されたが、同時に多くの渡航禁止令に見舞われ憤慨した。オミクロン株が南アフリカで誕生したという証拠は見つかっていない。
テドロス事務局長は声明の中で、「世界中の科学者が新しい変異株の感染力、再感染のリスク、ワクチンに対する耐性などを確認するために働いている」と関係当局を称賛し、オミクロン株はコロナの混乱が終わっていないことを私たちに思い出させたと述べた。
WHOと各国の保健機関によると、オミクロン株に感染し死亡した患者は今のところ確認されていないという。
オミクロン株はイギリス、オランダ、スペイン、ポルトガル、ベルギー、スコットランド、カナダ、香港、オーストラリア、そしてアフリカ南部などで感染が報告されている。ポルトガルでは、国内サッカーチーム「ベレネンセス」の選手やスタッフ13人がオミクロン株に感染した。
イスラエルは速やかに国境を封鎖し、日本もそれに続いた。G7で外国人の入国を原則禁止したのは日本のみ。オーストラリアは1年以上続いた国境封鎖を緩和したばかりだったが、29日に段階的な緩和を一時停止すると発表した。
イギリスと多くのEU加盟国もアフリカ南部に対する渡航禁止令を発効した。
WHOは手元のデータが限られていることを認めたうえで、「オミクロン株はかなりの不確実性を秘めている」と述べた。
しかし、初期データによると、オミクロン株は既存のワクチンに対する耐性を持ち、他の変異株より感染者から別の個人に感染する力が強い可能性が高いという。
WHOは声明の中で、「初期のデータに基づき、オミクロン株は感染拡大を引き起こし、深刻な結果をもたらす可能性が高いと推定できる」と述べ、「世界規模の感染拡大を引き起こすリスクは非常に高い」と警告した。
またWHOは各国にワクチン接種を加速するよう強く呼びかけた。
一方、米国のジョー・バイデン大統領は29日、国民にブースターを接種するよう強く促し、屋内でのマスク着用を呼びかけた。
またバイデン大統領は現時点で新たな渡航禁止令や封鎖を実行する予定はないと述べ、「パニックを起こすべきではない」と強調した。
米疾病予防管理センター(CDC)もオミクロン株に懸念を表明し、29日に18歳以上のブースターショットを強く推奨する勧告を出した。CDCは今月初めに18歳以上のブースターを解禁したが、推奨は50歳以上に限定していた。
EUを統括する欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は29日、南アフリカの怒りを抑える声明の中でシリル・ラマポーザ大統領を称賛した。「南アフリカの分析能力、透明性、そして結果の速やかな共有は世界の迅速な対応を促しました...」
フォン・デア・ライエン委員長は先週、EU加盟27カ国にアフリカ南部7カ国に対する渡航禁止令を発効するよう首尾よく促し、ラマポーザ大統領から批判されていた。
南アフリカの医療当局者によると、オミクロン株に感染した患者の大半が軽度もしくは無症状だという。しかし、一部の専門家は感染拡大の勢いに懸念を示した。
世界中の研究者がオミクロン株とデルタ株の競争に注目している。米国立衛生研究所のフランシスコ・コリンズ博士は28日、現時点でオミクロン株がデルタ株より「強い」という証拠は示されていないと述べた。
各国の保健当局のデータをまとめているデータベースによると、現在、世界で流行しているコロナウイルスの99%以上がデルタ株である。「最も警戒すべき変異株」に指定されているアルファ、ベータ、ガンマ、「注目すべき変異株」のミューとラムダもワクチンに対する耐性を持っていると懸念されたが、デルタ株に打ち負かされた。