◎ブリュッセルの中心部に集まった抗議者たちは新たな制限に強く反対し、「自由」「権利」「ワクチンはいらない」などと書かれた旗や看板を掲げEU本部に向かって行進した。
12月5日、ベルギーの首都ブリュッセルで政府のコロナウイルス対策に反対する抗議デモが開催され、数千人が市中心部を行進した。
現地メディアによると、デモの大半は平和的に行われたが、一部の抗議者が暴徒化し警察と衝突したという。警察は放水砲と催涙ガス弾を使って暴動を解散させた。
アレクサンダー・デ・クロー首相は3日、デルタ株の感染拡大が急速に進んでいることを受け、制限を強化すると発表した。政府は11月末にも対策を強化したが、新規陽性者は増え続けており、今回さらに新たな制限を設けた。
現地メディアによると、ナイトクラブの営業は禁止、飲食店の営業時間は22時に制限されたという。デ・クロー首相は営業可能時間を20時にすると噂されていたが、報道によると、議会と閣僚の一部に強く反対され22時に落ち着いたという。
また、国内の学校は少なくとも1週間休校し、6歳以上のマスク着用が義務付けられた。学校でのマスクチェックは教師に委ねられる。
保健当局のまとめによると、直近1週間の新規陽性者数は1日あたり約18,000件、死亡者は約50人。10月初旬の陽性者は1日あたり約2,000件だったが、この2カ月で大幅に増加した。ベルギーの人口は約1,160万人。
ブリュッセルの中心部に集まった抗議者たちは新たな制限に強く反対し、「自由」「権利」「ワクチンはいらない」などと書かれた旗や看板を掲げEU本部に向かって行進した。
一部の団体はEUを統括する欧州委員会がワクチン接種の義務化に向けた取り組みを進めつつあることに反対した。
欧州委員会は先週、加盟27カ国と義務化に向けた協議を開始すると発表した。一部の加盟国は義務化の準備を開始しているが、ベルギー政府はまだ方針を明らかにしていない。
警察はEU本部への接近を防ぐためにバリケードと放水車を配置した。現地メディアによると、抗議者の大半は警察の許可を得たルートを行進したが、約100人がルートを外れたという。
ルートを外れた抗議者たちは機動隊とにらみ合ったのち、ゴミや石を投げつけ、バリケードに突進した。一部の抗議者は爆竹と花火を投げ込んだと伝えられている。
機動隊は放水砲と催涙ガス弾でこれに応戦し、抗議者を解散させた。報道によると、ケガ人は確認されていないという。
地元メディアの取材に応じた女性は、「私たちの権利、私たちの自由、そして私たちの子供を守るために行動しました」と語った。「国民は閉鎖にウンザリし、ワクチン義務化に反対しています。デ・クローはベルギーから出ていきなさい」
ベルギーのワクチン完全接種率は12月4日時点で人口の約75%、EU平均より7%以上高い。累計感染者数は183万件、累計死亡者は27,000人を超えた。