◎アフリカ大陸のワクチン接種は極めて順調に進んでおらず、総接種数は約8,700万回、少なくとも1回接種した人は人口の約4%、接種を終えた人は約2%にとどまっている。
8月19日、世界保健機関(WHO)のアフリカ局長はコロナワクチンブースターショット(3回目接種)を開始もしくは検討している先進国を非難し、アフリカ大陸を含む貧しい地域で生活する国民の大多数はまだワクチンを接種できていないと訴えた。
WHOのマチディソ・モエティ局長とアフリカ疾病管理予防センター(Africa CDC)を含む保健当局者は、約13億人が生活するアフリカ大陸のワクチン接種はほとんど進んでいないと警告し、「一部の豊かな国はワクチンを蓄え、公平という理念を嘲笑している」と非難した。
アフリカ大陸のワクチン接種は極めて順調に進んでおらず、総接種数は約8,700万回、少なくとも1回接種した人は人口の約4%、接種を終えた人は約2%にとどまっている。なお、世界のワクチン総接種数はまもなく50億回に到達する。
モエティ局長はアフリカ大陸のワクチンスピードは横ばいであり、状況が改善される見通しは立っておらず、アメリカを含む豊かな先進国がブースターショットの展開を決めたことで「貧しい国々は逆風にさらされる」と主張した。
また、アフリカ大陸の54ヵ国のほとんどがコロナウイルスに対して脆弱なままであり、さらに地域内のウイルスは感染力の強いデルタ株に置きかわりつつあるため、感染状況はさらに悪化すると警告した。
アフリカ大陸で確認された感染者数は730万件以上、死亡者は18万人を超えた。しかし、医療専門家たちはこの数字をほとんど信用しておらず、実際の感染者数と死亡者数ははるかに多いと信じている。
米国保健社会福祉省(HHS)は18日、デルタ株の感染拡大とワクチンの有効性が時間の経過とともに低下している兆候を受け、全ての米国民にブースターショットを提供する計画を発表した。
モエティ局長は19日の記者会見で、「アメリカがブースターショットに充てる線量がアフリカ大陸に寄付するものでないことを願っている」と述べた。「ジョー・バイデン大統領は貧しい国にワクチンを寄付すると約束しました。アフリカに寄付する予定だったワクチンが米国内で使用されることはないと信じています...」
AP通信によると、米国務省は「アフリカ向けのワクチンをブースターショットに充てるのか?」という質問に答えなかったという。
モエティ局長はワクチン供給における世界的な不公平を是正し、遅れをとっているアフリカ大陸の展開に重点を置くよう求めた。WHOによると、先進国では100人あたり平均103回以上のワクチンを接種しているが、アフリカでは100人あたり6回にとどまっているという。
モエティ局長は声明の中で、「総人口以上のワクチンを確保している裕福な国々にアフリカへの寄付を増やすよう要請している」と述べた。またアフリカ大陸で製造されているワクチンの一部がヨーロッパに輸出されていることも明らかにした。「ヨーロッパは南アフリカで製造されたワクチンの一部を買い取っています...」
WHOのテドロス・アダノム事務局長は今週初めの記者会見で、「非常に多くの人々がコロナウイルスに対して無防備なままであることを考えると、ブースターショットは良心的ではない」と述べた。
ソーシャルメディアにはブースターショットを開始または開始を検討している豊かな国への批判が相次いで寄せられた。
あるツイッターユーザーは、「とても豊かな先進国の人々はアフリカやアフガニスタンのような貧しい国をかわいそうと言いながら、自国の政府にワクチン展開を急げと促しています」と投稿した。
別のユーザーは、「公平性の問題は永遠に解消されない」と嘆いた。「ワクチンだけではありません。豊かな国の人々は政府の食品ロスを非難し、対策を急げと言いながらご飯を残します。アフガンの女性を助けろと言いながらSNSで女性を差別し、セックスワーカーを購入する人もいます...」
G7は6月、コロナ対策に苦労している低所得国などに少なくともワクチン10億回分を寄付すると発表した。