◎オミクロンに関する世界保健機関(WHO)の警告は世界に波及し、株価急落とパニック帰国を引き起こした。
2021年11月26日/南アフリカ、首都ヨハネスブルグの国際空港、パリ行きの便を待つ人々(Jerome Delay/AP通信)

11月26日、世界保健機関(WHO)は南アフリカで初めて検出された新しいコロナウイルス変異株を「懸念される変異株」に指定し、「オミクロン」と名付けた。

WHOは声明の中で、オミクロンは世界で猛威を振るっているデルタ株以上のリスクをもたらす可能性があると警告した。

WHOはデルタ株を含む4つの変異を「懸念される変異株」に指定していた。

<懸念される変異株>
・アルファ(B.1.1.7)
・ベータ(B.1.351)
・ガンマ(P.1)
・デルタ(B.1.617.2)
・オミクロン(B.1.1.529)New!

<注目すべき変異株>
・ラムダ(C.37)
・ミュー(B.1.621)

<監視すべき変異種>
・イプシロン(B.1.427/B.1.429)
・イータ(B.1.525)
・イオタ(B.1.526)
・カッパ(B.1.617.1)

WHOによると、初期のデータはオミクロンが他の変異株より「再感染のリスク」が高いことを示唆しているという。

米国とカナダは26日、EUと他の関係国の列に加わり、アフリカ南部からの渡航者を制限すると発表した。オミクロンはボツワナ、香港、ベルギー、イスラエルでも確認された。これらの感染者は南アフリカから帰国した個人と伝えられている。

ホワイトハウスは26日の声明で、南アフリカを含む南部7カ国の渡航者を制限すると述べたが、米国市民および永住者は帰国可能。隔離、検査、ワクチン接種チェックなどの詳細はまだ明らかにされていない。

WHOの警告は世界に波及し、株価急落とパニック帰国を引き起こした。ヨハネスブルグの国際空港には帰国希望者が大挙して押し寄せ、混雑した。

ダウ工業株は一時1,000ドル以上値下がりした。

S&P500は2.3%下落した。

ニューヨーク取引所の原油先物価格は約13%急落し、気候活動家の怒りを引き起こした。

ドイツのイェンス・シュパーン保険相はオミクロンの「侵入」に深刻な懸念を表明した。「私たちはそれが国内に持ち込まれることを懸念しています...」

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も強い危機感を示し、「新たな変異株の危険性が明らかになるまで、フライトを停止する必要がある」と強調した。「感染地域から入国する人々を厳格な検疫規則の対象に加えるべきです...」

フォン・デア・ライエン委員長は、オミクロンは全世界に拡散し、さらに新たな変異株を生み出す可能性があると警告した。

一方、EUで初めてオミクロンを確認したベルギーの保健相は各国の渡航制限を尊重したうえで、「オミクロンが本当に危険かどうかは誰にも分からず、やみくもに騒ぎ立てるべきではない」と述べた。

米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士はCNNニュースのインタビューの中で、「初期のデータは、オミクロンの感染力は強く、ワクチンに対する耐性を持っていると示唆しているが、現時点では何も分からない」と語った。

ジョー・バイデン大統領はオミクロンについて、「パンデミックが終わらない理由を明らかにする必要がある」と述べ、さらなる調査を求めた。また、ワクチンの製造会社に知的財産保護を放棄し、世界中でワクチンを製造できるようにしてほしいと求めた。

ファイザーワクチンの展開に成功したイスラエル政府は26日、マラウイから帰国した旅行者1人からオミクロンを検出したと発表した。この旅行者と濃厚接触者2人は隔離された。政府によると、3人はワクチン接種済みだという。

南アフリカのケープタウンからオランダの首都に飛んだ旅行者は、当局の特別な検査を受けるまで約4時間待機させられたと伝えられている。

2021年10月21日/南アフリカ、首都ヨハネスブルグの医療機関(Denis Farrell/AP通信)

今年初めに確認されたベータ株は当時、最も懸念すべき変異株として多くの懸念と混乱を引き起こしたが、爆発したのはデルタ株だった。ミュー株とラムダ株もワクチンに対する耐性を持っていると懸念されたが、デルタ株の勢いに完全に飲み込まれた。

各国の保健当局のデータをまとめているデータベースによると、現在、世界で流行しているコロナウイルスの99%以上がデルタ株だという。

一部の専門家は、「オミクロンの混乱」が先進国のワクチン確保を加速させ、発展途上国の接種遅れにつながり、パンデミックを長引かせる可能性があると懸念を表明した。アフリカ大陸のワクチン完全接種率は6%に届いていない。

英サウサンプトン大学のマイケル・ヘッド上級研究員はAP通信に、「オミクロンの混乱はワクチンの不平等がもたらした結果のひとつであり、豊かな国に対するコロナの反発です」と語った。「アフリカ大陸を放置した結果、オミクロンが生まれました。それが強いかどうかはまだ分かりません。しかし、それが世界を混乱させたことは間違いありません」

ウォール街の投資家は株を放り投げた。あるアナリストはソーシャルメディアに、「投資家はまず株を放り投げ、その後情報を収集する」と投稿した。

アフリカ疾病予防管理センターは26日、オミクロンを確認した国に対する渡航禁止令を思いとどまるよう世界に呼びかけた。アフリカCDCは声明の中で、「過去の渡航禁止令は結果をもたらさなかったと示唆している」と述べた。

米国は南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、ナミビア、レソト、エスワティニ、モザンビーク、マラウイの訪問者に対する制限を発効した。

イギリスは南アフリカを含む6カ国からの入国を禁じ、これらの国から最近到着した個人にPCR検査を命じると発表した。

カナダは過去14日の間にアフリカ南部に旅行した外国人の入国を禁止した。

日本は南アフリカ、エスワティニ、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、レソトから帰国した個人を専用施設で10日間隔離すると発表した。

ロシアは28日に渡航禁止令を発効する。

WHOの委員会は26日の声明で、「欧州の陽性者は世界で唯一増加しており、先週から11%急増した」と明らかにした。アフリカ大陸の陽性者は比較的落ち着いている。

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