コロナウイルス／世界保健機関は欧州の厳しい制限の必要性を強調

第二波と戦うためには、厳しい制限が必要

世界保健機関（WHO）はヨーロッパの首都や他の都市に広まりつつあるコロナウイルス第二波との戦いについて、「厳しい制限が絶対に必要である」と警告した。

現在、各国の都市で生活する何百万もの人々が、新たに発出された厳格な制限の中で生活を始めている。

ロンドンでは10月17日（土曜日）から屋内での社交が禁止され、フランスの9つの都市では夜間外出禁止令が課される。
・第二波と戦うフランスが非常事態を宣言

ポーランドは首都ワルシャワの学校と体育館をコロナウイルス指定避難所に指名。チェコ共和国も患者用の臨時病床を建設すると発表した。

ナポリ市を含むイタリア南部カンパニア地域の学校は、24時間あたりの新規陽性数が記録的に増加したため、2週間閉鎖される予定である。

WHOヨーロッパディレクターのハンス・クルーゲ博士は記者団に対し、「毎日約1,000人のヨーロッパ人が亡くなっている」と述べた。

ハンス・クルーゲ博士：
「ステップアップする時がきた。政府のメッセージは、第一波で経験した痛みを避けるためのものだ。感染予防対策を徹底し、不要な行動は控えなければならない」

一方、欧州委員会（EC）は各国に準備の強化と、ワクチン配備計画の調整を進めるよう助言した。

欧州保健食品安全委員会のステラ・キリヤキデス氏は「時間がない。ウイルスは自分の目の前にいると考え、常に警戒すべきだ」と述べた。

15日、ECのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、事務所の職員が陽性と診断されたため、自己隔離に入ると発表した。なお、ライエン委員長はPCR検査で陰性を確認済み、予防策として実施するものだという。

ヨーロッパの感染状況は悪化している

WHOのハンス・クルーゲ博士は現状の死者数について、3月から4月に経験した「第一波の5分の1」と述べた。

ハンス・クルーゲ博士：
「若者の患者が増加し、死亡率は低く抑えられている。また、各国の検査体制が確立され、無症状患者を発見しやすくなった」

しかしクルーゲ博士は、「楽観できる状況には到底ない」と断言した。

欧州政府が今、規制を緩和した場合、死亡率は2021年1月までに「2020年春の4倍から5倍に達する可能性がある」とクルーゲ博士は警告した。

ただし、95％の人々がマスクを着用し、社会的距離のルール等を遵守すれば、2021年2月までに約300,000人の死亡を回避できるという。

クルーゲ博士はBBCニュースの取材に対し、「政府はメンタルヘルスと家庭内暴力を考慮し、学校を開いたままにするために可能な限りの措置を取らねばならない」と強調した。

コロナウイルスの拡散は8月から9月に始まり、わずか数週間でヨーロッパ全体に広がった。

ドイツでは15日の24時間あたりの新規陽性数が過去最高を記録。

ロシアの1日あたりの死者数は過去最高の286人を記録、首都モスクワは厳戒態勢に入っている。

欧州の制限

イギリス：17日からロンドン、ヨーク、エセックス、その他の地域の警戒レベルが引き上げられる。これにより、居住者は屋内での社交を禁じられ、屋外行動は6人以下に制限される。

フランス：17日から首都パリを含む9つの都市で夜間外出禁止令が発効。21:00から翌6:00の間は屋内退避を求められる。なお、期間は4週間の予定。

チェコ共和国：学校やバーなどを閉鎖。政府は国外で働く医師に帰国を呼びかけた。同国の感染率は欧州で一番高い。

ポーランド：高齢者に自宅待機を呼びかけている。

ドイツ：高リスク地域のバーやレストランの営業時間が制限された。

ポルトガル：5日から集会の人数を5人以下に制限。結婚式や洗礼には最大50人まで出席できる。

スペインカタルーニャ地方：レストランは閉鎖、テイクアウトのみ許可されている。ジムや文化施設は収容数50％以下、ショッピングセンターは30％以下に制限しなければならない。

オランダ：14日から全国のバー、レストラン、カフェが閉鎖、テイクアウトのみ許可されている。

ロシア：首都モスクワの学校（13歳～18歳）が19日から閉鎖する。

【欧州の感染状況／10月16日時点】