ロックダウンは動物園の動物たちにも深刻な影響を与えている

世界各国がロックダウンの延長を発表する中、休日には家族連れやカップルなどで混雑していた動物園が危機的状況に置かれている。ドイツ北部、ノイミュンスター動物園のヴェレーナ・カスパリ園長は、「動物園が生き残るためには、エサの量を制限する、もしくはエサをやる動物を選定しなければならない。最初に屠殺(とさつ)する動物たちのリストを作成した」と述べた。

園長は他の動物を生かすために一部の動物を殺すことは最終手段であり、絶対に避けたいと述べたが、まずは財政上の課題をクリアしなければならない。アザラシとペンギンは毎日新鮮な魚を大量に必要とする。動物たちが飢えれば、悲惨な事態(共食い、餓死)を招くであろう。「餓死させるのではなく、安楽死させねばならない」と園長は指摘した。

ノイミュンスター動物園は協会に属しており、中小企業向けに実施されている州の緊急基金対象から除外されている。今春の収入損失は175,000ユーロ(約2,000万円)を予測、厳しい戦いになると述べた。

ベルリン動物園には幼いパンダの双子がおり、日々の様子をオンライン上で公開している。広報担当者はDPA通信社に対し、「双子は本当に愛らしい。日々の様子をオンライン上で配信すれば、ファンも喜んでくれるだろう。しかし、我々は動物園が再開する日まで、双子の成長を望まない」と述べた。

DAPによると、ドイツの全国動物園協会(VdZ)は、約1億ユーロ(117億円)の政府援助を要請しているという。また同協会は、「他の業種とは異なり、動物園は休業状態に入ることができず、コストを削減できない」と主張。動物たちは毎日大量のエサを必要とする。ロックダウン状態が継続されれば、動物たちは餓死するだろう。

ウィーンの大人気動物園として知られるシェーンブルン動物園は、貯蓄を切り崩すことで当面の間は動物たちの食料を確保できると述べた。また、そこで働く約150名の派遣スタッフの雇用を保証したうえで、自宅待機させている。

動物園の飼育係は、一部の動物たちが入場者を見る、アプローチすることを楽しんでいると述べた。しかし、入場者がいなくなれば、多くの動物たちがこれまでとは全く異なる環境下に置かれる。子供たちの笑い声、視線、それらが失われることで、一部の動物が何かを失うのではないかと危惧されている。

ベルリン動物園のハック・マイスター氏は、「類人猿(ゴリラ、チンパンジー、マントヒヒなど)は人を見ることが大好きだ。また、アザラシやオウムも入場者とのやり取りを楽しみにしている。ロックダウンが始まり、多くの動物が退屈し、一部ストレス症状の見られるものもいる」と述べた。

モスクワの動物園で飼育されている二匹のジャイアントパンダは、囲いの前を通り過ぎる入場者に注目し、積極的にアプローチするようになった。言葉を喋れぬ動物たちは、行動で飼育係や園長に不満をぶつけているのかもしれない。

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