コロナウイルス
昨年末、中国武漢で誕生したコロナウイルスがSNSなどで話題になり、世界の一部メディアは中国国内でパンデミックが発生したと報じた。
数か月後、それは地球上のほぼ全ての国と地域に拡散された。
コロナウイルスは人々に不平等という現実を突き付けながら拡大、猛烈な勢いで経済を破壊し、世界のリーダーを病院に送った。
2020年9月末、パンデミックは収束の兆しを見せていない。
【関連トピック】
・ワクチン完成前に200万人が死亡する
・アメリカ国民が200,000人の死から学んだこと
中国で原因不明のウイルス性肺炎が・・・当局はSARS否定(20/01/06)
2020年1月11日:最初の死者
2020年1月は世界を騒然とさせた月だった。
アメリカがイランの将軍を暗殺、オーストラリアで山火事が頻発。NBAの歴史に名を刻んだコービー・ブライアント氏がヘリコプターの事故で死去した。
そして、最大の話題は中国武漢から世界に発信された。イギリスのBBCニュースが武漢市を起源とする「謎のウイルス性肺炎」を最初に大きく取り上げ、その注目度は一気に上昇する。
1月11日、中国当局は謎のウイルス性肺炎で最初の死亡が確認されたと発表。61歳、男性、現地居住者だった。
その後、中国の科学者は、謎のウイルス性肺炎をコロナウイルスの一種と特定。これは、一般的な風邪からSARS(重症急性呼吸器症候群)のような重い病気を引き起こすものと認識されていた。
中国での感染拡大を受け、シンガポールと香港は武漢市からの旅行者の体調チェックを行うと発表した。
この頃、旧正月を迎える中国では何億もの人々が旅行の準備を進めていた。これに対し世界は、ウイルスが急拡大するかもしれないと懸念しつつ、武漢市と他の周辺都市の様子を見守った。
なお当時、ウイルスがどのように広まったかはまだ分かっておらず、中国の保健当局は人から人への伝染は確認されていないと発表した。
世界保健機関(WHO)も同様の認識を示し、中国政府と連絡を密にとり、感染状況を注意深く監視すると述べるに留めた。
【ジョンズ・ホプキンズ大学まとめ】
・2020年1月21日 世界の累計感染者数:282人
1月28日:死者数100人
2020年1月末に公式死者数は100人を超え、中国国内の感染は急速に拡大した。
コロナウイルスは武漢市を超えて中国の他の地域と16ヵ国に広まり、世界を騒然とさせた。
一部の国は、自国民を非難させるために武漢市へチャーター便を送り始めた。一方、アメリカは人々に対し、「中国への旅行を再考」するよう促すだけに留めている。
1月末時点で武漢市と湖北省は事実上封鎖され、地域内外への移動は当局によって厳しく制限された。また一部の都市は、公共の場でのマスク着用を義務付けた。
震源地(武漢市)外で最初に死亡したのは、首都北京から旅行で武漢市を訪れた50歳の男性である。
1月30日、WHOは緊急事態(パンデミック)を宣言した。
【ジョンズ・ホプキンズ大学まとめ】
・2020年1月21日 世界の累計感染者数:9,826人
2月10日:死者数1,000人
WHOの緊急事態宣言から2週間後、世界の死者数は1,000人を突破、多くの国で感染が確認され始めた。なお、世界の注目はまだ中国に注がれていた。
この頃、WHOは1日あたりの死者数が100人近くに達しつつあると報告している。
当時、WHOのテドロス事務局長は、中国での新規症例数を「安定している」と述べつつ、「ウイルスがピークに達したどうかを判断することは時期尚早である」と警告していた。
コロナウイルスは27か国に拡大した。しかし、中国本土以外での死者数はわずか2人に過ぎなかった。
日本に乗船したダイヤモンド・プリンセス号で多くの感染者が確認され、2月下旬までに数百人が病院に搬送された。この事件は中国以外の国で発生した初の大量集団感染(パンデミック)である。
世界は人口1億人超の日本が次の震源地になると予想した。
2月下旬、北海道が日本初となる緊急事態を宣言。学校は閉鎖され、大規模な集会も中止が決まった。道知事は政府より早く行動し、確固たる決意でコロナウイルスの追跡を開始した。
【ジョンズ・ホプキンズ大学まとめ】
・2020年2月29日 世界の累計感染者数:85,403人
3月20日:死者数10,000人
3月20日、世界の累計死者数は10,000人を突破。懸念は現実になり、コロナウイルスはヨーロッパを席巻した。
この時点で新たな震源地、ヨーロッパの死者数は世界の約半数を占めている。
当時、最悪の状況にあったのはイタリアだった。北部ロンバルディア地方で感染が急拡大し、死者数は4,000人を突破。政府は都市封鎖(ロックダウン)を決断する。
3月19日、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、今後2週間で「流れを変える」ことができると信じていると述べた。同国の死者数は300人を超え、3月24日にロックダウンが発出された。
同日、北海道は緊急事態宣言を解除した。
【ジョンズ・ホプキンズ大学まとめ】
・2020年3月31日 世界の累計感染者数:750,867人
北海道「緊急事態宣言」 住民に驚きや戸惑いの声(20/02/29)
4月9日:死者数100,000人
4月9日、世界の情勢は一変し、当たり前と思っていた日常は消え失せてしまった。
ドナルド・トランプ大統領は、「今後、国内の死者数は10万人を超えるかもしれない」と警告。それは現実になり、大統領は初期対応の遅さを厳しく非難されている。
4月10日、世界の中心、ニューヨーク州がコロナウイルスに飲み込まれ、他国を圧倒する新規症例数を記録した。
同じ頃、ヨーロッパの国々はイースターをロックダウン下で過ごすべく、準備を進めていた。
3月末に罹患したジョンソン首相は、4月9日に集中治療室から一般病棟に移動、九死に一生を得た。なお、イギリスの死者数は9,000人以上、累計感染者数も70,000人を超え、首都ロンドンはヨーロッパの震源地のひとつと呼ばれた。
4月7日、安部総理大臣が緊急事態宣言を発出した。
【ジョンズ・ホプキンズ大学まとめ】
・2020年4月30日 世界の累計感染者数:3,090,445人
安倍首相、「緊急事態宣言」発表
6月29日:死者数500,000人
パンデミックは急加速し、最初の死者が確認されてから半年も経たぬうちに世界の累計死者数は50万人を突破した。
この頃、世界の一部地域ではロックダウンが徐々に緩和され、北半球で生活する人々は夏休みの過ごし方に注意を向けていた。
EUはコロナウイルスを一定水準まで抑え込むことに成功したオーストラリアやカナダなどとの国境開放を発表、アメリカは除外された。
6月初め、世界の累計感染者数の約半数はアメリカとヨーロッパで記録されていた。その後、アメリカ大陸の感染は急激に悪化、南アジアとアフリカも影響を受けた。
WHOのテドロス事務局長は記者団に対し、「最悪の事態はまだ来ていない可能性が極めて高い」と警告し、各国に適切な対応を求めた。
【ジョンズ・ホプキンズ大学まとめ】
・2020年6月30日 世界の累計感染者数:10,185,374人
9月28日:死者数1,000,000人
9月28日、世界の累計死者数は100万人を突破した。
ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、アメリカ、ブラジル、インドの3か国だけで死者数の約半数を占めているという。
なお、各国の死者数のカウント方法にはバラつきがあり、正確な実態は把握できていない。
WHOの統計責任者は、世界で1日約5,000人が死亡していると述べ、このペースが維持されれば200万人に達する日はそう遠くないと警告した。
世界はコロナウイルスについて多くのことを学び、ワクチンや治療薬の開発が急ピッチで進められている。
メルボルンのグローバルヘルス大学で責任者を務める疫学者のナンシー・バクスター氏はBBCニュースの取材に対し、「死亡率低下の兆候は見られない」と語った。
ナンシー・バクスター氏:
「3月18日以来、世界中で1日あたり1,000人以上が死亡し続けている。コロナウイルスの制圧に失敗し、他のエリアへの拡散を許せば、コントロールすることは非常に難しい」
「ワクチン配布開始までの間、感染予防対策を常に徹底しなければならない。死者数は間違いなく200万人を突破するだろう」
【ジョンズ・ホプキンズ大学まとめ】
・2020年9月30日 世界の累計感染者数:約33,500,000人