イギリス Getty Images/マスクの着用を促す標識と女性

コロナウイルスの第二波に対処するための規制・制限がヨーロッパ全土で導入されている。

なお、その多くは、春のパンデミック時に発出されたロックダウン制限を緩和したものがほとんどである。

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スペイン:マドリードの封鎖

マドリード当局の課した首都の一部および周辺地域に対する新たな措置は、百万人の生活に影響を及ぼしている。

住民たちは、仕事、学校、医療機関を受診する際のみ地域外に出ることができる。また、集会は6人未満、公園は閉鎖、バーやクラブなどを含む全ビジネスの営業時間は22時までに制限された。

10月1日、スペイン政府は「マドリード全域」にロックダウンを命じた。ただし、政府にそれを強制する権限はなく、実施するかどうかは地方自治体に委ねられている。

マドリード当局が政府の要請を認めた場合、地域外に出ることは原則できなくなる。また、地域外の者は市内への立ち入りを禁じられる

現在、あらゆる形態の公共交通機関、屋内の公共スペース、そして屋外でのマスク着用が義務化されている。なお、6歳未満、医師から基礎疾患等により着用困難と証明された者は免除される。

スペイン ロイター通信/マドリードでは屋外であってもマスクを着用しなければならない

オランダ:主要都市に制限が課される

オランダでは24時間あたりの新規感染者数が右肩上がりで増加している。それに伴い、政府は9月29日から新たな制限を導入した。

主要都市の”屋内施設”では必ずマスクを着用しなければならない。
・レストランやバーの営業時間は22時まで。
・懇親会は3人以下まで。
・プロスポーツを含むスポーツイベントは全て無観客。

また、レストランやバーなどを含む全ての企業は、来訪者の情報(連絡先など)を記録する必要があり、政府は在宅勤務を推奨している。

この制限は少なくとも3週間継続される予定である。

公共交通機関でのマスク着用はこれまで通り「必須」。地方自治体は感染状況によって独自の制限を課すことができる。

オランダ ロイター通信/屋外でのマスク着用は強制されない。ただし、政府は社会的距離の確保を強く求めている

フランス:飲食店の営業時間を制限

パリを含む11の都市では、バーやレストランの営業時間が22時までに制限された。

マルセイユ当局は感染状況が急激に悪化していることを考慮し、飲食店を15日間ロックダウンすると発表した(10月中旬終了予定)。

集会は10人以下まで。結婚式、パーティー、その他、ありとあらゆる集会が厳しい制限下におかれている。

フランス政府は公共スペースでのマスク着用(屋内のみ)を義務化している。また、パリとその周辺地域では、屋内外を問わず11歳以上の者は必ずマスクを着用しなければならない。

なお、屋内外でのマスク着用義務化は、トゥールーズ、ニース、リール、リヨンなどを含む多くの地方自治体でも採用されている。

フランス EPA/一部の地方自治体は屋内外でのマルク着用を義務化

ドイツ:入国制限

ドイツ政府は、観客を動員するスポーツイベント、コンサートなどの禁止措置を年末まで延長した。

ブンデスリーガの2021年シーズンも昨シーズンと同じく無観客で実施される。

空港での検査はリスクの高い国から入国する人々に義務付けられており、10月1日から現在の規則に「14日間の自己隔離」が追加された。

屋内施設、公共交通機関でマスクを着用しなかった者には、罰金50ユーロ(約6,200円)が科せられる。

ドイツ当局は感染率の高い地域でさらなる制限を導入することに合意した。

・公の集会は50人以下まで。
・私的な集まりは25人以下まで。
バーやレストランを利用した者は、連絡先などを必ず開示する。なお、正しい情報を報告しなかった者には罰金が科される。

ドイツ EPA/10月1日から入国時の検疫が強化された

イタリア:ナイトクラブは閉鎖

イタリア当局は、全てのダンス会場およびナイトクラブの閉鎖を命じた。

また、社会的距離を保つことのできない公共スペースでは、必ずマスクを着用しなければならない。なお、18:00~翌6:00の間は不要

学校は対面授業を継続。ただし、校舎内でのマスク着用を義務化している。

イタリア ロイター通信/美術館やギャラリーなどでは、社会的距離のルール遵守とマスク着用が義務付けられている

デンマーク:バーの営業時間制限

デンマークは、ヨーロッパで最も早く学校を再開した国のひとつである。

しかし、8月下旬から症例が増加し始め、新たな制限が導入された。

政府は公共交通機関でのマスク着用義務化を決め、感染拡大の続くコペンハーゲンとその周辺地域では、バー、レストラン、ナイトクラブの営業時間を22時までに制限した。

なお、集会や結婚式後のイベントなども22時までに終了させなければならない。また、レストラン、バー、カフェでもマスク着用が義務付けられている

デンマーク EPA/公共交通機関でのマスク着用が義務化された

ベルギー:社会的距離の確保を強く推奨

首都ブリュッセルでは、10月1日から全ての公共エリアで「マスク着用義務化ルールが解除」される。

ただし政府は、1.5m以上の社会的距離を確保できない場合、「マスク着用を推奨する」と強調した。

一方、ブリュッセルの地方当局は新たな制限を導入している。カフェやバーの営業時間は23時、その他の飲食店は22時までに閉店しなければならない。また、ストリートマーケットでの食事は禁止されている。

ナイトクラブの閉鎖は継続。フェスティバルなどのイベントも許可されていない。

サッカーファンはスタジアムに戻ることを許可されたが、観戦時は必ずマスクを着用しなければならず、収容人数も厳しく制限される。

ベルギー ロイター通信/政府は慎重に制限を緩和しつつある

ポルトガル:イベントの制限

ポルトガルでは対面授業が始まり、労働者も職場に戻っている。しかし、一部地域で感染拡大が見られるため、9月15日から新たな制限を発出した。

政府は商業施設の営業時間を23時までとし、10人以上の集会を制限すると発表。今後の感染状況次第では、対策が強化される可能性もあると警告した。

ギリシャ:アテネの制限が強化

現在、ギリシャの全公共屋内スペースおよび公共交通機関ではマスク着用が義務付けられている。

9月、首都アテネを含むアッティキ地域の制限が強化。職場や人の集まる屋外スペースでのマスク着用が義務化された。

また他の地域や離島でも新たな制限が導入されており、指定された地域から本土へ移動してきた人はPCR検査(無料)を受ける必要がある。

ギリシャ COSTAS BALTAS/人の集まる屋外スペースでのマスク着用が義務化

アイルランド共和国:屋内レストランが閉鎖

首都ダブリンでは感染者の急増に伴い、9月19日から3週間、屋内レストランが閉鎖されている。

政府は私的な集まりの制限を発表。親戚や友人を自宅に招く場合は3世帯まで、人数は6人以下を遵守しなければならない。また、屋外での集まりも15人以下に制限された。

企業に対しては、在宅勤務を強く推奨している。

地方自治体は感染状況に応じて独自に制限を設けており、キルデア州のロックダウンは9月末まで延長された。

スウェーデン:特になし

スウェーデン政府は新たな制限を特に課していない

ただし、国民は政府の助言に従い、自主的に社会的距離を尊重し、可能な者は在宅勤務を行うようになった。

なお、感染状況の増加に伴い、政府は50人以上の集会や集まりを禁止したが、レストラン、バー、ジムはオープンしたままだった。

現在、感染状況は少しずつ増加しているものの、スペイン、フランス、イギリスなどに比べると曲線は緩やかである。

当局は「感染状況が著しく悪化すれば新たな制限を課す可能性もある」と警告している。ただし、企業は変わらず活動し、マスク着用も推奨されていない。

【欧州の感染状況/10月2日時点】

累計感染者累計死者新規感染者
(直近)
イギリス46万人42,202人7,108人
スペイン77.9万人31,973人9,419人
オランダ12.4万人6,419人2,989人
フランス57.8万人32,019人13,970人
ドイツ29.6万人9,586人1,798人
イタリア31.7万人35,918人2,548人
デンマーク28,475人650人538人
ベルギー12.1万人10,023人1,337人
ポルトガル76,396人1,977人854人
アイルランド36,597人1,806人442人
スウェーデン93,615人5,893人450人
スウェーデン Getty Images/9月の日差しを楽しむストックホルムの人々

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