デンマーク西部のミンク殺処分処理場で、浅い地面に埋葬されたミンクたちが地上に姿を現した。
デンマーク政府はミンクから確認された変異型のコロナウイルスに対処すべく、全国のミンク養殖場で飼育されているミンク、約1,700万匹の殺処分を行っている。
デンマーク獣医食品局のジャナイク・エルメギャアド氏はAP通信の取材に対し、「体内に溜まったガスの影響でミンクの身体が膨張し、浅い地面から姿を現したのだろう」と述べた。
殺処分されたミンクは、深さ約2.5m、幅3mほどの大きな穴に埋葬される。まずは処理したミンクを1mほど積み上げ、処理剤と土をかぶせ、さらに死骸を投棄する。
しかし、浮上ポイント周辺の土は柔らかい砂質土だったため、上段に投棄されたミンクの一部がペット・セメタリーになったという。
エルメギャアド氏は、「浮上したのは上層にあったミンクだと思う。それは自然なプロセスだ」と述べた。
ジャナイク・エルメギャアド氏:
「土が粘土質であれば、ミンクは浮上しなかっただろう」
地上に姿を現したミンクは違うエリアに埋葬された。なお、当局は浮上ポイント周辺に監視者を配置し、キツネや鳥を遠ざけているという。
デンマーク政府は、養殖場のミンクから検出された変異型のコロナウイルスに市民11人が感染したことを受け、ミンクの殺処分を決めた。
しかし、政府は健康な動物の処理を命じる法的根拠がないにも関わらず、殺処分を開始した。これは、コロナウイルスの変異型に焦った政府の失態であり、メッテ・フレデリクセン首相も「急いでいた」と過ちを認めている。
今月初め、議会は変異型ウイルスが確認された北部地域以外のミンクも全て殺処分する法案を賛成多数で承認した。なお、提案された法案には、2021年末までミンクの養殖を禁止する命令も含まれている。
ミンクのコロナウイルス感染はデンマークの他に、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、アメリカなどでも報告されている。
先週発表された最新の集計によると、デンマークでは合計373人が変異型のコロナウイルスに感染したという。
コロナウイルスに感染した猫や犬なども一部で報告されているが、動物から人間に再感染するかどうかについては、分かっていないことが多い。
フランス食品・環境・労働安全衛生庁によると、ミンクは狭いケージの中で飼育され、ウイルスに感染しやすいため、人間にうつす可能性が高くなるという。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)は変異型のウイルスについて、「他のウイルスより伝染しやすかったり、危険性が高いという事実は今のところ確認されていない」と述べた。
ただし、科学者たちは、ミンクから人に感染することで新しい変異を引き起こす可能性もあると警告している。