17日、デンマーク政府は、議会の過半数がコロナウイルスの突然変異に対応する「養殖ミンク1,700万匹の淘汰法案」を支持したと発表した。
政府は健康な動物の殺害を命じる法的根拠がないにも関わらず、殺処分を実行した。これは、ウイルスの変異種誕生に焦った政府の大失態であり、メッテ・フレデリクセン首相も「急いでいた」と過ちを認めている。
・ミンクの殺処分、揺れるデンマークと養殖農家
与党の社会民主党は、感染が確認された北部養殖場以外のミンクの殺処分を可能にする法案を成立させるために、4つの左派および中央党と16日遅くに会談した。
この法案にはミンクの養殖禁止命令(2021年末まで)も含まれている。
農業大臣のモーゲンス・イェンセン氏は議会で、「ミンクの処理計画は支持されている。ミンクブリーダーに法的根拠なく行動したことを謝罪したい」と述べた。
議会の投票日は不明。近いうちに行われるものと思われる。
ミンクから確認された変異型のコロナウイルスは人間に感染する可能性がある。しかし、「ワクチンが効かない」「耐性を持っている」という証拠は今のところ示されていない。当局者は、11月初めに11人が変異型に感染したと報告した。
ミンクの処理と感染状況(政府発表16日時点)
・ミンクの感染を確認した養殖場:283カ所
・殺処分を終えた養殖場:265カ所
・感染者を出した養殖場(企業):6社
・変異型の陽性者数:200人以上
政府は先月から養殖ミンクの処理を開始し、法的根拠を提示することなく全国の養殖ミンク約1,700万匹を淘汰すると発表した。
17日に行われた別の会合で、フレデリクセン首相はあらためて謝罪した。
首相は法的根拠がないことに気づいていなかったと強調し、「法律を無視するつもりはない」と述べた。
一方、反対派の中央右派は、法的権利がないと気づいた時に、なぜ殺処分を停止しなかったのかと尋ねた。最大野党の自由党党首、ヤコブ・エレマン・ジェンセン議員は法的根拠の欠如を「スキャンダル」と呼び、政府は「故意に信号を無視した」と述べた。
業界関係者によると、デンマークには1,139のミンク養殖場があり、約6,000人の従業員を雇用しているという。
デンマークは世界最大のミンク毛皮輸出国である。(世界シェアの40%を占める)
議会はミンクブリーダーへの補償について、まだ合意に達していない。
16日、北部の農場と野鳥の個体からH5N8鳥インフルエンザが検出され、政府は養鶏25,000羽の殺処分を命じた。
これにより、EU加盟国以外へのデンマークの家禽および卵の輸出は、少なくとも3か月間停止する。