◎多くの市民がゼロコロナ政策に不満を表明している。
中国のメディアは30日、アップル社のアイフォンを組み立てる工場でコロナウイルスの感染者が確認されたことを受け、多くの労働者がこの工場から逃げ出したと報じた。
この工場は中国最大のアイフォン組み立て工場で、中部の鄭州市にあり、アップル社のサプライヤーのひとつであるフォックスコン・テクノロジー(鴻準精密工業股分有限公司)が所有している。
この工場の従業員数は数十万人と伝えられている。
フォックスコンは今月19日、工場の食堂を閉鎖し、職員に自室で食事をとるよう求めたと発表した。また同社はアイフォンの最新モデルの生産を強化しているため、「通常の生産体制を維持している」と報告していた。
SNSで共有された動画には、この工場の労働者とみられる人々がフェンスを乗り越え逃走するところが映っていた。
史上初となる3期目をスタートさせた習近平(Xi Jinping)国家主席は厳格なゼロコロナ政策を維持している。
この工場で感染者が何人確認されたかは明らかになっていない。
AP通信によると、鄭州市では先週、新規陽性が少なくとも167人確認され、先々週の97人から増加した。当局は感染が拡大しつつあるとして、人口約1000万人の都市の部分封鎖を決めている。
フォックスコンは感染者の数を明らかにしていないが、30日の声明で「労働者の移動を妨げるつもりはない」と主張した。
しかし、中国版ツイッターのWeiboで共有された動画には、大急ぎで工場敷地から逃げ出す労働者が映っている。
ある労働者は英フィナンシャル・タイムズ紙に、「寮は大混乱だ」と説明した。「プラスチック製のフェンスや金属フェンスを乗り越えました」
別の男性は「寮の入り口に突然フェンスが設置された」と証言している。
この工場で働いているというWeiboユーザーは、「工場は何日も前に封鎖され、陽性の従業員は当局の監視下に置かれている」と投稿している。
フォックスコンは30日の声明で、「政府は従業員の生活の利便性と満足度を向上させるために、食堂の再開を許可した」と述べている。
また同社は帰宅を希望する人のために車両と要員を配備するとしている。
中国共産党はゼロコロナ政策に基づき、コロナが確認された地域や建物を封鎖し、一斉PCR検査を行う。
多くの市民がゼロコロナ政策に不満を表明している。
しかし、習主席は先日の党大会でこれを維持すると表明した。