◎スコット・モリソン首相は記者団に対し、「次の優先事項は外国人観光客ではなく熟練の移民労働者と留学生である」と述べた。
10月5日、オーストラリアのスコット・モリソン首相は、少なくとも来年まで外国人観光客はオーストラリアに戻っても歓迎されないと述べ、当面はコロナウイルスの感染拡大を抑えるために課した厳格な制限の多くを維持すると約束した。
モリソン政権は国境開放に向けた準備を進めており、国内の16歳以上のワクチン接種率が80%を終えた時点で海外の熟練移民労働者と留学生の受け入れを再開する予定。保健当局のデータによると、今週中には80%を超える見込み。
モリソン首相は先週、11月に国境封鎖を段階的に解除し、ワクチン接種を終えた市民および永住者の入国と旅行を許可すると発表していた。
<AUS国境再開の要点>
・オーストラリアで承認されたワクチン、または治療製品局(TGA)によって承認されたワクチンを完全にした市民および永住者は、11月以降、入国時に7日間の自宅隔離を求められる。
・オーストラリアで承認されたワクチン、または治療製品局(TGA)によって承認されたワクチンを接種していない市民および永住者は、11月以降も入国時の14日間の強制検疫が必要。
・ニュージーランドのように安全を確保できる国との往来再開は、今後順次進められていく予定。
厳格なロックダウンは移民労働者の労働力に依存している一部の企業と、留学生の授業料で収益を上げている大学に深刻な影響を与えた。地元メディアによると、大学は特に打撃を受けており、専門家は「数カ月封鎖が延長されれば、オーストラリアへの留学を希望している多くの学生が他国に流れるだろう」と警告した。
モリソン首相は記者団に対し、「次の優先事項は外国人観光客ではなく熟練の移民労働者と留学生である」と述べたが、受け入れを再開する時期は明らかにしなかった。「オーストラリアは移民労働者と留学生を受け入れるでしょう。外国人観光客は来年には帰ってくると信じています...」
オーストラリアの観光産業を統括する観光輸出評議会は、来年3月までに外国人観光客の受け入れが再開されることを望んでいる。
オーストラリアの観光事業者は国境封鎖だけでなく、デルタ株の感染拡大による州の封鎖にも苦しめられており、国内観光や旅行の再開時期を明言しない政府に不満を抱いている。最大都市シドニー、メルボルン、首都キャンベラは現在封鎖されており、州外の住民は原則立ち入りを禁じられている。
クイーンズランド州観光産業評議会のダニエル・グシュウィンドCEOは地元メディアの取材に対し、「外国人観光客の受け入れが最優先事項ではないことを理解しているが、問題が解決される時期だけでも示してほしい」と語った。「観光事業者は崖っぷちに立たされています...」
グシュウィンドCEOは迅速なテスト、マスク着用などの基本ルール、ワクチンパスポート、自己隔離などの対策を組み合わせることでコロナの感染リスクを抑えることが重要だと述べた。
オーストラリアの渡航禁止令はいくつかの例外を設けているが、入国を許可された人は必ず14日間の強制検疫下に置かれるため、観光客の受け入れを再開したとしても、検疫体制が維持されれば観光業は影響を受け続けると予想されている。
オーストラリアとニュージーランドは今年4月に検疫なしの往来を再開した。しかし、6月にシドニーの空港でデルタ株が確認され、NZLはAUSに対する検疫を再開した。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は10月4日の会見で「ゼロコロナ戦略」を見直すと発表し、デルタ株を完全に取り除くことはできないと初めて認めた。
ビクトリア州の5日の新規陽性者数は過去最高の1,763件、死亡者は4人。シドニーを含むニューサウスウェールズ州の感染率は9月中頃のピークから減少しつつある。累計感染者数は約11万件、死亡者は4日時点で約1,346人。