◎ファウチ博士はABCニュースのインタビューの中で、昨年末に経験した感染爆発を避けるためにはワクチンの接種率を上げることが最も重要であり、現時点で新たな封鎖措置が課されるとは思っていないと述べた。
2021年4月15日/ワシントンD.C.議会議事堂、下院小委員会の公聴会、アンソニー・ファウチ博士(プール/ロイター通信)

米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は1日、コロナウイルスの感染再拡大に懸念を表明し、ワクチン未接種者に速やかなワクチン接種を呼びかけたうえで、「より多くの痛みと苦しみが間近に迫っている」と警告した。

ファウチ博士はABCニュースのインタビューの中で、昨年末に経験した感染爆発を避けるためにはワクチンの接種率を上げることが最も重要であり、現時点で新たな封鎖措置が課されるとは思っていないと述べた。しかし、現在のワクチン接種率でデルタ株の拡大を抑えることはできないと強調し、国民にワクチンを接種するよう懇願した。

疾病予防管理センター(CDC)は先日、ワクチン接種を終えた人もデルタ株の感染拡大に貢献する可能性があると警告し、ワクチン接種の有無にかかわらず一部の屋内施設ではマスクを着用するようガイドラインを見直した。

アメリカの現在の新規陽性者数の大半はワクチン未接種者だが、デルタ株はワクチンの防御を突破するだけでなく、デルタ株に感染した被接種者はワクチン未接種者とほぼ同じ量のコロナウイルスを周囲に拡散することがマサチューセッツ州プロビンスタウンの研究で示された。

デルタ株に感染した被接種者の症状の大半は無症状または軽症だが、接種の有無にかかわらずウイルスを周囲に拡散するという研究結果が示されたことで、「不用意にマスクを外せばワクチンを接種していても感染し、新たな感染爆発につながる」という懸念が世界に広がった。

ファウチ博士はインタビューの中で、「私たちは封鎖を望んでいないが、症例の急増に直面しており、今後いくつかの痛みと苦しみを経験することになるだろう」と述べた。「解決策はワクチンを接種することです。ワクチンを接種し、その日が来るまでマスクは外さないでください」

CDCのデータによると、アメリカ国内でワクチン接種を終えた人の割合は12歳以上の人口の約58%、総人口の50%にまもなく到達するという。

しかしファウチ博士は、「デルタ株の脅威を全国民と共有し、ワクチン接種を加速させなければ、感染拡大を抑えることはできない」と強調した。

国立衛生研究のフランシス・コリンズ所長によると、過去14日間の全米のワクチン接種数はその前の14日間から約56%増加したという。コリンズ所長はCNNニュースのインタビューの中で、「接種数が最も顕著に増加した地域はルイジアナ州で、約3倍に増えた」と述べた。

また、デルタ株の感染拡大が顕著な地域のワクチン接種率は低く、住民にワクチンを速やかに接種するよう促した。「接種率の低い地域で発生したパンデミックは別の地域に広がり、より大きな波を引き起こす可能性があります...」

コリンズ所長はデルタ株が蔓延したとしても、コロナワクチンは非常にうまく機能しており、被接種者の重症化や中等症による入院のリスクは未接種者の「25分の1」に減少すると述べた。「CDCのマスク着用推奨はワクチン未接種者を保護することを目的としています。ワクチンを接種すれば、命の危機にさらされる可能性は大きく減少するでしょう」

CDCはガイドラインの中で、感染拡大の続く一部地域と、全国の学校のすべての教師、関係者、学生、訪問者はワクチン接種の有無にかかわらず屋内ではマスクを着用するよう推奨した。

しかし、共和党主導の州はガイドライン見直しに強く反発しており、ドナルド・トランプ前大統領は7月27日の声明で、「私たちは後戻りしない」と誓った。

2021年5月26日/ワシントンD.C.議会議事堂で開催された上院歳出委員会の公聴会、アンソニー・ファウチ博士(Stefani Reynolds/Pool/AP通信)
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