抗議者たちが議会を襲撃
10月5日、キルギスタン議会選挙の結果に反対する抗議者たちが首都ビシュケクで警察と衝突。これまでに数百名の負傷者が確認されている。
開票速報を伝えた地元メディアは、「支配階級のエリートと関係の深い政党が過半数を獲得した」と報じた。
地元メディアによると、首都ビシュケクでの抗議活動会参加者は5,000人以上。他の都市でも小規模な抗議活動が開催されたという。
ビシュケクの様子を映した動画のひとつには、議会と大統領府の門を突破しようとする若い男性グループの姿が映っていた。
これに対し警察は、放水砲、催涙ガス、フラッシュバン手榴弾などで群衆の散開と撤退を狙い、複数名の負傷者を出した。
当局が5日夜に発表した開票結果によると、票を得た16党のうち議席を獲得したのはわずか5党だけだったという。
与党と見なされているビリムディック党は26%以上、元税関職員と関係のあるメケニムキルギスタン党は24%以上の票を獲得した。さらに3つの政党が議席を獲得できる最低ライン(7%)を超えた。
欧州安全保障協力機構(OSCE)の選挙監視機関が提出した報告書によると、「基本的権利と自由が全体的に尊重されたものの、投票や管理には深刻な懸念がある」という。
地元メディアは、12の政党が選挙結果を無効と主張し、「再選挙を行うよう当局に要請した」と報じた。
レフォルマ野党のリーダー、クララ・スロンクロワ氏はABCニュースの取材に応じ、次のように述べた。
クララ・スロンクロワ氏;
「私たちは、昨日の選挙運動と投票所などで真の無法状態を目撃した。有権者への脅迫、暴行、買収、与党の行為は常軌を逸している」
アタメケン野党の議員、ズハナー・アケーエブ氏は、「私たちは全ての野党と話し合い、野党連合を結成した。現在、調整評議会を準備しており、中央選挙委員会には24時間以内に選挙結果を取り消すよう要求した」と語り、「選挙は不正と詐欺、そして暴力に支配されている」と強調した。
ズハナー・アケーエブ氏:
「中央選挙管理委員会には再選挙の実施も合わせて要求する。キルギスタンは1カ月以内に再選挙を行わなければならない」
野党議員のひとり、リスケルディ・モンベコフ氏は、集まった数千人の抗議者に対し、「大統領は正直な選挙を監督すると約束した。しかし、約束は守られなかった」と声を張り上げた。
地元メディアの報道によると、首都ビシュケクの混乱は夜遅くまで続いたという。
5日深夜、ビリムディック党は再選挙に参加する準備ができていると表明。中央選挙管理委員会が決定を下した場合、他の政党も従うべきと促した。
6日、ソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領は、16党の指導者との会談を呼びかけた。
10月6日、保健省によると、抗議者と警察の衝突で民間人1人が死亡、600人近くが負傷したという。
ジェーンベコフ大統領は「特定の政治勢力」が不法に権力を掌握しようとしたと声明を発表、秩序の回復を訴えた。
なお、議席獲得ラインを通過した3党はジェーンベコフ大統領と密な関係にある。
大統領に近いグループは、「票の購入と投票者への脅迫・暴力は常套手段であり、OSCEの”深刻な懸念”の原因になっている」と語った。
抗議者たちはジェーンベコフ大統領の辞任も要求している。
OSCEの選挙監視機関責任者を務めるトーマス・ボセルップ氏は記者団に対し、次のように述べた。
トーマス・ボセルップ氏:
「選挙は概ねよく組織されていた。しかし、票の購入などの不正行為については、深刻な懸念を表明する」