当局は香港国内の治安維持を図るべく、国家安全法の導入を検討

世界中の政治家や著名人が、当局の計画する香港に対する「国家安全法(治安維持法)」導入計画に懸念を表明し、非難のコメントを発表している。それに伴い、元香港知事のクリストファー・パッテン氏と元イギリス外務大臣のマルコム・リフキンド氏によって声明書が起草され、23か国186人の政策立案者、政治家がそれに署名した。

当局の計画は、「香港の自由、法の下の平等、基本的人権を侵す侵略行為」と報じられ、欧州、アジア、北アメリカ、オセアニア地域などで反発が相次いでいる。

これに対し当局は、「中国の領土における反逆、離脱、扇動、国家転覆行為を禁止するためのものである」と主張し、速やかに法律を通過させたい考えだという。

今週初め、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、香港に対する国家安全法計画を非難。破滅(死)を告げる愚かな行為と表現し、同国の自由と権利は奪えないと述べた。また、イギリス、オーストラリア、カナダ政府も当局の計画に”深い懸念”を表明した。

中国共産党を支持する香港の行政長官、「林鄭月娥(りんていげつが)氏」は、「提案された法律を全面的に支持する」と表明し、市の自由は国家安全法の下にあっても保障されると述べた。

香港の中国外務省支部は、国家安全法が外国の投資家たちに害を及ぼす、という懸念を否定。また、他国の内政干渉を厳しく非難した

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国家安全法(治安維持法)

パッテン氏とリフキンド氏が起草した声明文には、香港国内における当局の情報機関設置および自由を侵害する無慈悲な治安維持行為を否定し、また、同国が1997年に独立した際の「中英合同宣言」に違反する行為、といったことなどが記載されている。

署名者たちは、「国際社会は、香港に対する当局の干渉が正しく行われないと確信している。そして、香港と香港市民には、自由と法の下の平等を求める権利がある」と述べた。

署名者の中には、アメリカの議員17名も含まれている。情報委員会議長を務める共和党上院のマルコ・ルビオ議員、同じく共和党上院のテッド・クルス議員。上院外交委員会の最上級員を務める民主党のロバート・メネンデス議員なども非難のコメントをSNSなどに投稿した。

さらに、下院外交委員会の委員長を務める民主党のエリオット・エンゲル議員。下院情報委員会の委員長、民主党のアダム・シフ議員。イギリス外務委員会のトマス・タジェンダット議長を含む44名の英国議会議員および貴族院(上院)8名が署名した。

ワシントンと北京の関係は、貿易戦争、コロナウイルス、パンデミックの震源地などを巡る問題によって、悪化の一途をたどっている。

アメリカは、香港に対する「優先取引および投資特権」拡大を行うか否かの検討を行っている最中である。トランプ大統領は、「治安維持法(国家安全法)が成立すれば、我々は強く反応する」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。

昨年香港市民は、犯罪者の中国本土への引き渡しを許可する法案に対し猛烈に反発。抗議活動は数カ月におよんだ。当局はこのような抗議活動を「防止・停止・処罰」するための法律(国家安全法)が必要であると主張。林鄭月娥氏もこの考えに同意し、法律の施行に同意すると述べている。

当局および林鄭月娥氏は、9月の「香港議会選挙」での”敗北”を恐れている。昨年の地方選挙で民主化を推進する党が圧勝したため、同じ事態は絶対に防がねばならないと考えているのだろう。民主化を推進する党が香港議会の過半数を占めた場合、当局の”指示”する法律が拒否される可能性もある。

先日始まった「全国人民代表大会(NPC)」の草案の中には、「香港の安全保障を改善しなければならない」「必要に応じて、法律に基づき香港の安全保障を保護、香港政府の代理を務める機関を設置する」と記された文書が含まれている。

NPCは5月28日(最終日)に法案への投票を行う。その後、国家安全法を含むそれは中国の最高議会にあたるNPC常任委員会に移され、6月末までに最終決定、施行される予定である。

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