国民の怒りは収まらず、市議会議員にまで飛び火した

ミネアポリス市議会の過半数が「地元警察を解体、改革する」と約束した。これは、先月25日に発生したジョージ・フロイド氏の死により引き起こされた全国的な抗議の流れによって結論づけられたものである。

13人の市議(評議員)うち9人が、「警察の新しいモデルを作る。よって、今の人種差別に毒された法執行機関は解体される」と語った。この計画に反対していたジェイコブ・フレイ同市長は、群衆から盛大なブーイングを浴びた。

ミネアポリス警察の解体と改革を望んでいた活動家たちは、市議会の発表を「転換点」と呼び、歓迎した。

不当な拘束によるフロイド氏の死は、人種差別と警察の残虐行為を決定づけるものだった。結果、大規模な抗議活動が全米はおろか世界中に飛び火したのである。

同氏の葬儀は、故郷のテキサス州ヒューストンで9日に執り行われる予定。その様子を見るために何千人もの人々が集まると予想されている。

同氏を殺害した元警察官「デレク・ショービン容疑者」は、第二級殺人罪で起訴された。8日月曜日が初公判の予定である。また、殺人現場に立ち会いながら、それを止めなかった三人の警察官も第二級殺人幇助の罪で追起訴された。

ミネアポリス市議の9人は、何百人もの抗議者の前で声明を読み上げた。「ミネアポリスと全米中の警察、警察官、そして警察幹部たちが私たちのコミュニティを危険にさらし、警察組織としての任務を果たしていないことは明らかである。私たちは警察組織の改革に失敗し続けてきた」

声明を読み上げたリサ・ベンダー市議は、警察機構の全面的な見直しが必要であると述べ、ミネアポリス警察の予算をカットすると発表した。

また、同じく市議会議員のアロンドラ・カノ氏は、市議会の過半数が既存の警察システムをゼロに戻し、改革することに同意した、とツイートした。

先週、ミネソタ州当局は、ミネアポリス警察の公民権調査を開始、ティム・ウォルツ州知事は「何世代にも渡るDNAに染みついた体系的な人種差別を根絶したい」と述べた。

同警察の解体、改革計画は、長く複雑かつ慎重な議論を必要とし、時間をかけて行わねばならないだろう。ただし、同計画においては、フレイ市長が反対の立場を表明しており、実行に移せるかは不透明な情勢である。

同じくニューヨーク市のビル・デブラシオ市長も、市警察の予算をカットし、社会福祉サービスに回すと公表した。

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馬鹿につける薬はないのか?

ミネソタ州のウォルツ州知事の考えは正しい。誰もが、何世代にも渡る体系的な人種差別を根絶したいと考えているはずだ。しかし、警察の予算をいきなりカットし、「black lives matter活動」に賛成する姿勢をアピールする愚行は、馬鹿の極みと言っても過言ではない。

ミネアポリス市議は警察を解体し、改革すると約束した。これは警察内部に巣くう人種差別の問題を根絶するための手段であり、慎重かつ迅速に行ってほしいと思う。しかし、予算のカットは全く別の次元の話である。

もし同警察がギリギリの予算で署員と仕事をやりくりしていれば、予算カットは業務に甚大な影響を与える。人種差別に反対する大多数のまともな(普通の)警察官が職務を遂行できなくなるだろう。これでは、街の治安を守ることなど到底できない。

予算をカットするのであれば、それ相当の理由が必要である。これまで不当に高い予算を要求、承認されていたのであれば、”適切な額”に減額すべきだ。しかし、「ジョージ・フロイド氏を殺したから、そのお返しに予算をカットしてやる」では話にならない。

「やられたらやり返す」で人種差別問題が解決したら、誰も苦労しない。また、「警察を解体する」というツイートも最悪である。既に述べた通り、ミネアポリス警察で働く大多数が人種差別に反対するまともな(普通の)警察官である。

真面目に職務を遂行していたまともな警察官たちは、いきなり「警察を解体してやる、覚悟しろ」と言われてどんな気分になるだろうか。恐らく普通の精神状態ではいられないはずだ。一部の市議の過激なツイートは、辛い境遇にいる警察官たちを追い詰める愚行、職権乱用、ただのイジメである。

トランプ大統領は、やられたら10倍にして返す危険な思想の持主である。中国が強硬な姿勢、行動に踏み切れば、それをはるかに超える一撃が炸裂する。これに耐えられない場合、中国は強硬姿勢を崩し、和解に踏み切るしかない。

ミネアポリス市議とニューヨークのデブラシオ市長の予算カット措置は、トランプ大統領のやり方と全く同じである。「フロイド氏を殺したお返しに予算カットしてやる。いやなら私の考えに従え」では、警察の反感を招き、下手をすれば別の抗議活動や事件を助長しかねない。

人種差別の考えは、祖先から脈々と受け継がれ、身体の奥深くに刻み込まれている。この誤った考えを取り払うには、恐ろしいパワーを必要とするだろう。しかし、”難しいから後回しにしよう”と今まで放置してきた結果が今のアメリカである。

ウォルツ州知事の提案の実現は、アメリカ国民だけでなく世界が望んでいる。体系的な人種差別を根絶できれば、ネグロイド、ヒスパニック、ユダヤ人、インディアン、アイヌ、あらゆる差別を世界から消し去ることができるかもしれない。

フロイド氏の死に対し、力(予算カット)で攻撃を加えても、体系的な人種差別は100%根絶できない。それどころか、警察の反感を買い、それを支持する者に武器をとらせ、さらなる混乱を招くだけである。

トランプ大統領は人種差別と闘わなければならない。しかし、それを根絶する道は長く険しい。アメリカをひとつにすべく、全国民が一丸となって話し合い、最善の道を見つける。結果、必要と思われる部門の予算をカットし、改革を行えばよい。

ミネアポリス市議およびデブラシオ市長の予算カット案が採用されれば、事態はさらに悪化し、警察どころかアメリカ自体がバラバラに解体されるだろう。

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