緩和は3段階に分けて実施、レストラン、ホテル、ショッピングセンター、礼拝所などが順次再開される

インド政府は2カ月以上におよぶ厳格なロックダウンの緩和計画を発表した。緩和は3段階に分けて実施、6月8日からレストラン、ホテル、ショッピングセンター、礼拝所などが再開される。

同国の新規感染者数はなかなか減少せず、依然高止まりしている状況だ。30日には約8,000人の新規感染者が報告され、24時間当たりの記録を更新した。しかし、世界一と言われる厳格なロックダウンを継続した成果も出ている。

同国の人口は約13億7,000万人、それに対し、確認されたコロナウイルス累計感染者数は約175,000人。5,000人以上が死亡したものの、アメリカや欧州諸国と比べると、被害を抑えることに成功したのは明らかである。

パンデミックが世界に広まった3月中旬。同国の貧困地域、人口過密状態、脆弱な医療体制を考慮すると、世界最大の震源地になることは避けられない、という考えが大勢を占めていた。しかし、厳格なロックダウンが想像以上の効果をもたらし、ラテンアメリカの貧困地域のように、死体が長期間放置されるような事態は避けられた。

政府は6月8日の緩和措置(1段階)実施後に再びパンデミックが発生した場合、再び封鎖に踏み切ると警告している。措置が問題なく進むようであれば、7月には小中高大学校の授業を再開する予定である。ただし、感染者の多いエリアでは、引き続きロックダウンを継続するという。

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段階的な緩和

24時間当たりの感染者数が数百件に達した3月23日。ナレンドラ・モディ首相は商店の閉鎖、外出および企業活動を禁じた。これにより、路上販売で生計を立てる個人経営者たちは仕事を失った。

また、都心部で働く者たちも一斉に仕事を失い、両親や家族に仕送りできなくなった者が実家(地元)を目指し大移動を開始した。数十万人がバスターミナルに集結し、超密集状態のエリアが街のあちこちに出現。パンデミックの発生は時間の問題と思われていた。

モディ政権の厳格過ぎるロックダウン措置に非難が殺到し、首相は「国を救うためには、痛みを伴う措置が必要である。しかし、貧しい者たちに苦痛と困難をもたらしてしまった」と謝罪した。

厳格なロックダウンが実行されていなければ、現時点での死者は37,000人~78,000人以上増加していた、と当局関係者は述べた。ただし、これにより経済は大きなダメージを受け、数百万人が仕事を失っている。

政府の発表した緩和計画およびそれに伴うガイドライン(一部抜粋)は以下の通り
●レストラン、ホテル、ショッピングセンター、礼拝所、その他の飲食店やサービス業は6月8日から営業を再開できる。
●社会的距離を確保するためのガイドラインを発表。なお、法的拘束力はない
●小中高校と大学は、各州で協議を行い、授業再開日を決める。
●海外旅行、地下鉄、映画館、スポーツイベント、ジムは第3段階で許可される予定だが、これの実施は6月8日以降の感染状況に依存する。
●夜間外出禁止令は継続。ただし、現在の19:00~07:00から「21:00~05:00」に短縮される。
●ロックダウンを継続する地域への立ち入りは厳しく制限される。ただし、緩和を開始した州間の移動および旅行(国内限定)制限は解除

感染の深刻な地域もしくは緩和を許可できないと州知事が判断した地域においては、パンデミックが問題ないと判断できるレベルまで低下しない限り、これらの計画が適用されることはない。

マハーラーシュトラ州ムンバイ市は、比較的医療体制の整っている地域である。しかし、新規感染者の大量流入により、医療機関、病院はパンク寸前の状態だという。

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