働きたい?勘違いするな!収入がないと生活が成り立たない、飢え死したくないんだ

19日、抗議者(デモ参加者)たちは全米各州の路上に立ち、コロナウイルスによって閉鎖された街、経済活動の再開を要求した。

アリゾナ州、コロラド州、モンタナ州、ワシントン州でのデモ集会は、6州以上で行われた抗議活動に続き、荒々しく盛大に実施された。コロナウィルスとの戦いが激しさを増す中、ロックダウンの解除、経済活動再開へのリスクが議論されているにも関わらず、措置の緩和、解除要求が各地で噴出している。

同日、ドナルド・トランプ大統領は抗議活動への支持を表明した。アメリカはコロナウイルス危機の震源地である。感染者は735,000人を超え、これまでに約40,000人が亡くなった。しかし、一部の州ではコロナウイルスの感染率がピークを越え低下している兆候が現れている。

感染のピークを越えたと主張する一部の州知事たちは、経済活動再開の議論を開始し始めている。しかし、全ての州、地域、町でコロナウイルスが終息し始めているわけではない。

3月19日、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事は、全米で初となるロックダウンを発動、アメリカ最大の都市は閉鎖された。隣接する西海岸の各州もこれに続き、3月23日以降、約1,150万人の住民に対してロックダウンが発動され、現在も措置は継続中である。

今週、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事は、5月15日までロックダウンを延長すると発表。19日のブリーフィング後に記者会見し、感染防止対策の徹底を促した。

経済活動再開は慎重に判断しなければならない。今、ロックダウンを解除すべきと主張する人たちは、自分のことしか考えていないように見える。ニューヨークの惨状を見れば、コロナウイルスとの戦いが終息しつつある、と考えることなどできない。

トランプ大統領は、ミネソタ州、ミシガン州、バージニア州で実施されたコロナウイルス対策を「厳しすぎる」と非難した。国民を守るべき大統領が、ロックダウン、厳格な封鎖措置に対する抗議を表明したことで、共和党支持者たちは一斉に動き出した。

ワシントン州のジェイ・インスリー州知事は、トランプ大統領のデモ活動者への「支持」は危険極まりない行為であり、州法への「反抗」を奨励することと同じだ、と非難した。

さらに、「アメリカ大統領が法を犯すことを奨励するなどあり得ない。そのような場面に出くわしたことがないし、歴史上初ではないのか?」とABCニュースキャスターに語った。

下院民主党議長のナンシー・ペロシ議員は、一部の州で発生したデモ集会を危険な行為と一蹴。デモ集会の擁護に回ったトランプ大統領を非難したうえで、「適切な検査、治療、感染者の追跡、検疫を早急に実施しなかった自分の過ちを隠したいだけ。大統領は自分の失態を受け入れることができず、気を紛らわしたいのだろう」と述べた。

リバタリアニズム(個人的な自由)を主張するグループが大規模な抗議活動を実施することはある程度予想されていた。コロラド州デンバーと、アリゾナ州フェニックスの州議会議事堂前に集まったリバタリアンたちは、プラカードを手に「働かせろ」と激しく主張した。

デンバーではおよそ200人が国旗やプラカード、「自由を」と書かれた旗などを振り回した。数十台の車が州議会議事堂を一周、芝生広場にはマスクも社会的距離も一切気にせず、巨大な人だかりができた。20日にもデモ集会の実施が予想されており、州関係者は警戒を強めている。

デモ集会に参加する者たちは、働きたい、自由をよこせと主張する。彼らは働かねば生きてゆけない。アメリカ国内で餓死者が出るとは思えない(思いたくない)が、あり得ない話ではないだろう。金がなければ食糧は買えない、結果、暴動に発展し、スーパーや商店が襲撃されたという事案が各地で頻発している。

トランプ大統領の熱烈な支持者たちが、11月の大統領選挙のために行動を開始した、という意見も出ている。確かにそういう考えの人たちもいるかもしれない。しかし、大半が自分の生活、人生を守るために行動している(はずだ)。仕事がなければ生活できない。この問題を解決せねば、ロックダウンを無視する者たちは増え続け、さらなる悲劇を生むだろう。

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