野党党首スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ
ロシア内務省によると、クレムリンはベラルーシの野党党首スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏を「刑事告発」の指名手配リストに加えたという。
ツィハノウスカヤ氏は、8月のベラルーシ不正大統領選挙に「ヨーロッパ最後の独裁者」アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の対立候補として出馬、敗れた。
不正選挙で勝利したルカシェンコ大統領に抵抗する抗議活動は2か月を超えた。なお、ロシアのウラジミール・プーチン大統領はルカシェンコ大統領を支持しており、力づくで彼を追放すればロシアの治安維持部隊をベラルーシに送ると脅迫している。
ルカシェンコ大統領は野党およびツィハノウスカヤ氏を「西側の操り人形」と批判し、誰にも支持されぬまま大統領就任式を強行した。
・茶番劇に主演したルカシェンコが大統領就任を宣言
現在、ツィハノウスカヤ氏はアンゲラ・メルケル首相や関係者とベラルーシの危機について話し合うためにベルリンを訪れている。
10月1日に可決されたEUの制裁は、ルカシェンコ大統領を除く40人のベラルーシ高官、当局関係者を対象としている。
・EUがルカシェンコ政権への制裁に合意
ロシア内務省は、ツィハノウスカヤ氏に対する刑事告発内容の詳細を明らかにしなかった。
一方、ロシアのタス通信社は、ツィハノウスカヤ氏はベラルーシの指名手配リストに載っており、両国間の合意に従いクレムリンもそれに追加したとレポートしている。
情報筋はタス通信社に対し、「ツィハノウスカヤ氏は国際指名手配リストには乗っていない」と語ったという。
ツィハノウスカヤ氏は不正大統領選挙後に当局から脅迫を受け、リトアニアへの亡命を余儀なくされた。
活動家として大統領選挙に出馬する予定だった夫のシャルヘイ・ツィハノウスキー氏が逮捕、刑務所に送られ、彼女は選挙への挑戦を決断。ルカシェンコ大統領と治安維持部隊から悪質な嫌がらせを受けることになった。
ツィハノウスカヤ氏は交渉による民主的な移行を望み、国際社会にルカシェンコ政権への圧力を強めるよう繰り返し訴えている。
・野党リーダーが国連の行動を促す
7日、クレムリンの報道官、ドミトリー・ペスコフ氏は記者団に対し、次のように述べた。
ドミトリー・ペスコフ報道官:
「プーチン大統領はツィハノウスカヤ氏に会う予定はない。計画も連絡もしてない。彼女はベラルーシにおらず、同国の政治や国民活動に関わっているとは言い難い」
「ツィハノウスカヤ氏はベラルーシの現職大統領を排除するために、欧州の政府首脳と会談している」
選挙結果に反対する反政府デモは、全国の都市の路上で発生。首都ミンスクでは毎週末10万人以上が集まり、ルカシェンコ大統領と政権の退陣、そして公正な選挙を求めている。
これに対し治安維持部隊はガス弾や放水砲などで応戦、多くの野党活動家が殴打され、これまでに数千人が逮捕された。
ツィハノウスカヤ氏の支持者や関係者は、今もベラルーシの安全を脅かし反政府活動を主導した罪で拘留されている。
ツィハノウスカヤ氏を保護したリトアニアの外務省は、ドイツを含む4つのEU加盟国がリトアニアとポーランドと連帯してベラルーシの駐在大使を呼び戻していると述べた。
一方、ベラルーシは、リトアニアとポーランドがツィハノウスカヤ氏や他の野党勢力を受け入れ、大統領選挙の結果を一方的に拒否することで内政に干渉していると非難した。
10月2日、ベラルーシはリトアニアとポーランドの駐在大使を呼び戻し、首都ミンスクの大使館スタッフを減らすよう両国に求めている。
野党党首スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ