抗議者への銃の使用が認められる
10月12日、ベラルーシ当局はアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の不正選挙に反対する抗議活動で新たに713人を逮捕したと発表した。
またベラルーシ内務省は、集会が組織化され、過激になっていると述べ、「必要に応じて抗議者への銃の使用を許可する」と脅迫した。
平和的な抗議者を拷問する暴力的なルカシェンコKGB部隊への抵抗が強まったため、当局はより厳しい制裁を科すと主張している。
一方、EUの外相も「ルカシェンコ大統領に制裁を科す準備は出来ている」と述べ、準備を急いでいる。
8月の不正選挙で当選を主張するルカシェンコ大統領および政権に対する抗議活動は、2か月以上経った今も一向に衰える気配を見せない。
当局は平和的な抗議者に対する暴力・虐待・拷問を世界から厳しく非難されてきた。
12日に首都ミンスクで開催された無許可の抗議活動に対し、当局はスタングレネードや催涙ガス弾を使用している。
当局の広報担当者は記者団に対し、「市民が攻撃性を示し始めたため、厳しい措置を取らざるを得ない」と暴力的な取り締まりの正当性を主張した。
ジェナディ・カザケビッチ第一副内務大臣は12日の抗議活動について、「主都ミンスクの活動が組織化され、過激になっている」と懸念を表明した。
ジェナディ・カザケビッチ第一副内務大臣
「一部の暴徒化した抗議者たちは石、瓶、ナイフを振り回した。さらに、不法なバリケードの設置、路上でのタイヤ燃焼まで行っている」
「これらの暴力的な抗議はいかなる理由があろうと決して許されない。私たちは平和的な抗議者だけでなく、過激派、過激な思想を持つアナキスト、フーリガンと対峙している」
「内務省は国民の安全と生命、そして法律を保証する。今後、警察と治安維持部隊は、必要に応じて特別な装備と殺傷能力の高い武器を使用する」
ルクセンブルグで開催されたEU外相会議の声明によると、「ルカシェンコ大統領への制裁措置を拡大する準備は出来ている」という。
今月初めのEU合意で40人のベラルーシ高官に対する制裁が決まったものの、ルカシェンコ大統領はそのリストに含まれていなかった。
・EUがルカシェンコ政権への制裁に合意
しかしEU外相たちは、危機から抜け出す手段として呼びかけた再選挙実施を大統領が拒否したため、制裁を科し行動を促す以外手はないと述べた。
EU外交政策責任者のジョセップ・ボレル氏は記者団に対し、「今回の制裁措置は、ベラルーシの情勢悪化を抑える手段のひとつである」と語った。
ジョセップ・ボレル氏:
「ベラルーシ当局に対話を行うよう呼び掛けたが、返答は一切なかった」
10月11日(日曜日)、抗議者たちは「ヨーロッパ最後の独裁者」に対する大規模抗議活動を9週連続で決行、10万人以上が集まった。
1994年以来権力を掌握しているルカシェンコ大統領の批評家によると、11日の取り締まりはこれまでとは明らかに異なり、非常に残忍かつ組織的だったという。
ルカシェンコKGB部隊はオレンジ色の塗料を含んだ放水砲とスタングレネードで抗議者を散開させ、警棒で袋叩きにした。
抗議者たちは無実の罪を着せられた政治家や野党関係者の解放と公正な選挙の再実施を求め、抗議を続けている。なお、EUを含む国際監視団は、「平和的に抗議活動が行われている」と主張、不当な弾圧は彼らの権利を著しく侵害すると警告した。
・ルカシェンコ大統領が収監中の政敵と会合を開く
アメリカ、EU、イギリスは、ルカシェンコ大統領の6期目就任を認めておらず、追いつめられたルカシェンコ大統領はロシアのプーチン大統領に支援を求めた。
8月末、プーチン大統領はルカシェンコ大統領が暴力的に弾劾された場合、「クレムリンの特殊部隊を送り込む準備は出来ている」と各国をけん制した。
・プーチン大統領がロシア軍投入の可能性を示唆
ベラルーシ、首都ミンスクでの反ルカシェンコ抗議者に対する暴力的な取り締まり