◎ドイツに拠点を置く世界ウイグル会議は北京2022冬季五輪を「ジェノサイド(大量虐殺)オリンピック」と呼んでいる。
4月7日、中国政府はバイデン政権が北京2022冬季五輪のボイコットを示唆したことについて、「政治はスポーツの祭典に介入すべきではない」と非難した。
中国共産党のスポークスマン、趙立堅(ちょう りっけん)氏は7日の記者会見で、新疆ウイグル自治区のイスラム系少数民族ウイグル人に対する大量虐殺、強姦、拷問、強制労働、強制不妊手術などの告発を却下し、ボイコットには強力な制裁で対抗すると警告した。「スポーツの政治化はオリンピック憲章の精神と全ての国のアスリートの利益を損なうでしょう。米国オリンピック委員会(USOPC)を含む国際社会の全ての機関はボイコットを受け入れません」
ドイツに拠点を置く世界ウイグル会議は今年2月、北京2022に参加しないよう180を超える団体に呼びかけていた。当局者は声明の中で、「ジェノサイド(大量虐殺)オリンピックに参加することは大きな間違いです」と述べた。
米国務省は6日の記者会見で北京2022のボイコットの可能性を示唆したが、その後、「ボイコットは議論されていない」とコメントを訂正した。一方、国際オリンピック委員会(IOC)とUSOPCは以前、ボイコットに反対すると述べていた。
USOPCのスザンヌ・ライオンズ議長は7日の声明で、北京2022のボイコットに反対すると繰り返した。「USOPCは、アスリートが政治の犠牲になることを懸念しています。世界的な問題に対処しなかった結果をアスリートになすりつけるべきではありません。USOPCは北京2022のボイコットに反対します」
「政府高官はこれらの懸念に対処する準備を整えていると確信しています。アスリートを政治の駒として利用しないでください」
ライオンズ議長は国務省のボイコット示唆がアスリートとスポーツイベントに財政支援を提供する企業スポンサーに不当な圧力をかけていると主張した。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は7日の定例会見で、「オリンピックに対する立場は変わっていない」と強調した。「アメリカは同盟国やパートナーと共同ボイコットについて話し合っていません。アメリカはあらゆるレベルの同盟国やパートナーと緊密に協議して共通の懸念を共有し、共通のアプローチを確立しますが、アメリカの要請で北京2022の計画の変更について議論しているという事実はありません」
中国共産党のウイグル人に対する暴力は世界から非難されており、トランプ前大統領は一連の行動を「民族大量虐殺」に認定した。
一方、IOCに最も長く奉仕しているカナダのディック・パウンド委員は2月のインタビューで、「ウイグル人に対する攻撃はイベントに何の影響も及ぼさないだろう」と述べた。「ウイグルに対する抗議でオリンピックをボイコットすれば、世界は残念に思うでしょう。私たちは1980年(モスクワ)と1984年(ロサンゼルス)を知っています」