東京オリンピックに登場する、もしくは登場する予定の超一流アスリートを紹介する。なお、個人的な主観で選んでいることをご理解いただきたい。日本代表の前に立ちはだかるであろう強豪国/選手たちは、国の威信をかけて金メダルを狙う。常人離れした実力は、真夏の東京をさらに熱く盛り上げるだろう。
※2020年3月25日、東京オリンピックおよびパラリンピックの1年延期が決定!
目次
1.アーチェリー
男子:キム・ウジン(韓国)
女子:キ・ボベ(韓国)
2.体操
女子:シモーネ・バイルズ(アメリカ)
3.ボクシング
男子:ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
女子:クラレッサ・シールズ(アメリカ)
4.カヌー
男子:セバスティアン・ブレンデル(ドイツ)
女子:ダヌタ・コザック(ハンガリー)
5.馬術
女子:シャーロット・デュジャルディン(イギリス)
6.フェンシング
男子:見延 和靖(日本)
7.ホッケー
オーストラリア代表
8.ボート
男子:マヘ・ドライスデール(ニュージーランド)
女子:ヘレン・グローバー(イギリス)
9.セーリング
男子:ベン・エインズリー(イギリス)
10.射撃
男子:ニッコロ・カンプリアーニ(イタリア)
男子:チン・ジョンオ(韓国)
11.スケートボード
男子:ナイジャ・ヒューストン(アメリカ)
女子:スカイ・ブラウン(イギリス)
12.スポーツクライミング
女子:ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)
13.サーフィン
男子:イタロ・フェレイラ(ブラジル)
女子:カリッサ・ムーア(アメリカ)
14.テコンドー
女子:ジョン・シューイン(中国)
15.トライアスロン
男子:ハビエル・ゴメス(スペイン)
男子:マリオ・モーラ(スペイン)
16.ウエイトリフティング
男子:ラシャ・タラハゼ(ジョージア)
女子:チェ・ヒョシム(北朝鮮)
アーチェリー(目次に戻る
オリンピック『アーチェリー』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | 韓国 | 23 | 9 | 7 | 39 |
2 | アメリカ | 14 | 11 | 9 | 34 |
3 | フランス | 6 | 11 | 7 | 24 |
4 | ベルギー | 11 | 5 | 4 | 20 |
5 | イギリス | 2 | 2 | 5 | 9 |
9 | 日本 | 0 | 3 | 2 | 5 |
アーチェリーがオリンピックの競技に採用されたのは1900年パリ大会から、競技者は弓を引き、70m先に設置された的を射抜く。弓は「リカーブ」「ベアボウ」「コンパウンド」の3種類に分けられる。なお、オリンピックで使用できる弓はリカーブのみ。パラリンピックではコンパウンドの使用も許可されている。
近年、同競技は韓国勢が上位を独占しており、特に女子は圧倒的な強さを誇る。同国の女子団体は1992年バルセロナ大会から2016年リオ大会まで7連覇を達成、東京大会でも金メダルの最有力候補だろう。またアメリカ、欧州勢も強豪選手が多く、日本代表はここ数年厳しい戦いを強いられている。
【種目】
・個人(男子/女子)
・団体(男子/女子/混成)
キム・ウジン(韓国)
韓国のアーチェリー代表は、国内の厳しい競争を勝ち抜いた猛者たちで構成される。オリンピックのメダリスト/実績のある選手が落選することも多く、代表入りは金メダルを獲る以上に難しいとまで言われている。ここで紹介する『キム・ウジン(金優鎮)』は、2016年リオ大会で金メダル、さらに世界選手権等の国際大会を複数回制した韓国代表のエースである。
韓国代表はオリンピックで輝かしい成績を収めてきたが、近年は欧州勢とアメリカも実力をつけており、金メダルの獲得は容易ではない。さらに、韓国国内からのプレッシャーも凄まじく、「勝って当然」の空気が選手たちを苦しめているようだ。2018年のアジア大会では8種目で4個の金メダルを獲得したものの、韓国代表に笑顔はなかった。
東京大会も韓国代表を中心に激しいメダル争いが繰り広げられるだろう。キム・ウジン、そして他の韓国選手たちに求められることは、どんな状況下にあっても平常心を保てるメンタルのみ。韓国国内からの猛烈なプレッシャーに打ち勝たねば、金メダル獲得は危うい。世界記録を3つ保持する天才アーチャーは、表彰台の真ん中に狙いをしぼり、矢を放つ。
<まとめ>
◎2016年リオ大会では金メダルを獲得、世界選手権等も複数回制している韓国アーチェリー界のエース。
◎キム・ウジンは東京大会アーチェリー個人男子の優勝候補。敵は韓国国内からのプレッシャーと自分自身の持つ記録。
選手名 | キム・ウジン (金優鎮) |
出場競技/種目 | 個人、団体 |
オリンピック出場実績 | 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/8個 銀メダル/1個 |
外部サイトへのリンク
<KBS 公式ホームページ>
キ・ボベ(韓国)
アーチェリー韓国女子代表は、男子以上に圧倒的な戦績を誇る。先に述べた通り、女子団体は1992年バルセロナ大会から7連覇中、個人戦でも金メダルをほぼ独占している状態である。韓国女子代表候補のひとり『キ・ボベ(奇甫倍)』は、2012年ロンドン大会で個人と団体の2冠、2016年リオ大会は団体で金、個人では銅メダルを獲得した非常に優秀な選手だ。
同選手の戦績は文句のつけようがなく、これまでに国際大会で16個もの金メダルを獲得している。しかし、2018年のアジア選手権国内選考会、キ・ボベはライバル選手との戦いに敗れ、代表入りを逃した。その翌年、出産のために休暇を取り、アーチェリー競技から一旦離れることになった。
2019年4月、出産休暇を取っていた同選手は競技への復帰を決めた。なお、オリンピックや国際大会で複数個のメダルを持っていても、代表争いに敗れれば東京大会に出場することはできない。韓国代表の選手層は厚く、キ・ボベにとっては、代表の一員に選ばれることが最初の試練になるだろう。なお、女児を出産した同選手の目標は、「ママになっても金メダル」とのこと。
<まとめ>
◎2012年ロンドン大会は個人と団体の2冠、2016年リオ大会では金メダルを獲得した女子代表のエース。
◎韓国国内の代表争いはハイレベル。まずは東京大会への出場権を獲得しなければならない。
選手名 | キ・ボベ (奇甫倍) |
出場競技/種目 | 個人、団体 |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/2冠 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/16個 銀メダル/1個 銀メダル/4個 |
外部サイトへのリンク
<産経デジタル 公式ホームページ>
体操(目次に戻る
オリンピック『体操』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | 日本 | 31 | 33 | 33 | 97 |
2 | ソビエト | 39 | 38 | 17 | 94 |
3 | アメリカ | 23 | 22 | 21 | 66 |
4 | スイス | 16 | 19 | 13 | 48 |
5 | 中国 | 20 | 12 | 8 | 40 |
6 | イタリア | 14 | 4 | 9 | 27 |
体操は、ドイツ(ベルリン)の郊外に設けられた体育場の施設(あん馬や平行棒など)がヨーロッパ中に広まり、少しずつ形を変え、現在の競技スタイルが確立された。オリンピックに採用されたのは第1回大会(1896年アテネ)から、当時は男子のみで種目数も少なかった。
女子競技が加わったのは1928年アムステルダム大会から、その後、トランポリンなどの種目も追加され現在に至る。採点方式については第1回大会から「10点満点方式」を採用していたものの、2006年に国際ルールが見直され、「上限なし方式」に変更された。日本代表のメダル獲得数は歴代最多の97個、2020年東京大会でも活躍が期待されている。
【種目】
・団体(男子/女子)
・個人総合(男子/女子)
・種目別ゆか(男子/女子)
・種目別あん馬(男子)
・種目別段違い平行棒(女子)
・種目別つり輪(男子)
・種目別平均台(女子)
・種目別跳馬(男子/女子)
・種目別平行棒(男子)
・種目別鉄棒(男子)
シモーネ・バイルズ(アメリカ)
近年の女子体操界は『シモーネ・バイルズ(Simone Arianne Biles)』の独壇場といっても過言ではない。同選手は1997年生まれの23歳、2016年リオ大会で4冠(一種目で銅)を達成し、東京大会でも金メダルの最有力候補と言われている。なお、2019年の世界選手権では出場した種目を完全制覇(5冠)、同選手権でのメダル獲得個数25個は、男女を通じて世界歴代最多である。
シモーネ・バイルズは、女子体操界史上初のアフリカ系アメリカ人チャンピオンである。天性のバネと身体能力、圧倒的な演技力は他者を寄せ付けず、歴史を塗り替え続けてきた。しかし、そんな天才アスリートでも、肌の色で偏見/差別を受け悩んだこともあるという。
同選手の実母はドラッグとアルコ―ル依存症だったため、幼い頃に祖父の養子となり、6歳から体操を始めた。競技を始めてからの成長ぶりは凄まじく、全米ジュニア選手権を制覇、15歳でシニアの全米代表に選ばれ現在に至る。
シモーネ・バイルズの武器は、物事をトコトン楽しむ明るい性格と、限界まで自分を追い詰める「ストイックさ」にあるという。天性のバネと身体能力は「天賦の才」、それにストイックさ(1日10時間超のトレーニング)が加われば、怪物が誕生することは想像に難くない。シモーネ・バイルズは東京大会で個人、団体の5冠に挑戦する。
<まとめ>
◎シモーネ・バイルズは女子体操史上初のアフリカ系アメリカ人チャンピオン。東京大会では個人、団体の5冠を狙う。
◎天賦の才と限界まで自分を追い詰めるストイックさが加われば、鬼に金棒である。
選手名 | シモーネ・バイルズ (Simone Arianne Biles) |
出場競技/種目 | 個人/団体 |
オリンピック出場実績 | 2016年リオ/4冠 |
主な戦績 | 世界選手権通算成績 金メダル/19個 銀メダル/3個 銅メダル/3個 ※世界歴代最多 |
外部サイトへのリンク
<シモーネ・バイルズ 公式webサイト>
ボクシング(目次に戻る
オリンピック『ボクシング』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | アメリカ | 50 | 24 | 40 | 114 |
2 | キューバ | 37 | 19 | 17 | 73 |
3 | イギリス | 18 | 13 | 25 | 56 |
4 | ソビエト | 14 | 19 | 18 | 51 |
5 | イタリア | 15 | 15 | 17 | 47 |
41 | 日本 | 2 | 0 | 3 | 5 |
ボクシング(拳闘)は1904年セントルイス大会からオリンピックに採用された。女子が採用されたのは2012年ロンドン大会からである。メダル獲得数はアメリカが突出して多いものの、近年はキューバ代表が台頭しており、各階級の上位争いは混沌としている。なお、2016年リオ大会からプロ選手の参加が解禁された。
プロ選手の参加が解禁されたといっても、当面はどの階級もアマチュア選手たちによるメダル争いになると予想されている。プロとアマチュアでは試合の間隔、調整方法が全く異なるためだ。オリンピックでは連日体調および体重管理に務めねばならず、大金を稼ぐプロ選手がリスクを犯してまで参戦する可能性は低いだろう。
【種目】
男子
・フライ級(48kg~52kg)
・フェザー級(52kg~57kg)
・ライト級(57kg~63kg)
・ウェルター級(63kg~69kg)
・ミドル級(69kg~75kg)
・ライトヘビー級(75kg~81kg)
・ヘビー級(81kg~91kg)
・スーパーヘビー級(91kg超)
女子
・フライ級(48kg~51kg)
・フェザー級(54kg~57kg)
・ライト級(57kg~60kg)
・ウェルター級(64kg~69kg)
・ミドル級(69kg~75kg)
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
先に述べた通り、オリンピックボクシングへの出場要件が緩和され、2016年リオ大会からプロ選手の参加が認められている。ここで紹介する『ワシル・ロマチェンコ(Vasyl Anatoliyovich Lomachenko)』は、2008年北京大会および2012年ロンドン大会(共にライト級)で金メダルを獲得し、プロに転向した怪物ボクサーだ。
アマチュア時代の戦績(397戦396勝1敗)も素晴らしいが、プロに転向してからの活躍はさらに凄まじい。史上最速での3階級制覇、さらに「パウンド・フォー・パウンド(階級を無視したランキング)」でも世界のトップ3に入り、名実ともに世界のトップボクサーの仲間入りを果たした。
ワシル・ロマチェンコは、機械のように正確無比なコンビネーションとテクニックで対戦相手を追い詰める。なお、プロ転向2戦目で2階級王者に挑戦し判定で敗れたものの、それ以降は13連勝と圧倒的な強さを披露、次の狙いはライト級の4団体統一王者だという。
残念ながら同選手が東京オリンピックに出場する確率は限りなくゼロに近いだろう。数億、数十億円のファイトマネー、スポンサー料を貰える世界王者が、ケガのリスクを冒してまでオリンピックに参加するとは到底思えない。なお、パウンド・フォー・パウンド最強のボクサーが合意したスポンサー契約のひとつは、5年11試合で410億円とのこと。トップボクサーの住む世界は、まさに異次元である。
<まとめ>
◎2008年北京大会、2012年ロンドン大会の金メダリスト。戦績は他の追随を許さない。
◎同選手が東京大会に出場する確率は限りなくゼロに近い。
選手名 | ワシル・ロマチェンコ (Vasyl Anatoliyovich Lomachenko) |
出場競技/種目 | 男子ライト級 |
オリンピック出場実績 | 2008年北京/金メダル 2012年ロンドン/金メダル |
主な戦績 | アマチュア戦績397戦396勝1敗 プロ戦績15戦14勝1敗 世界最速3階級制覇 |
外部サイトへのリンク
<ワシル・ロマチェンコ 公式webサイト>
クラレッサ・シールズ(アメリカ)
『クラレッサ・シールズ(Claressa Shields)』はアフリカ系アメリカ人の女性ボクサーである。2012年ロンドン大会女子ミドル級で金メダルを獲得、そして2016年リオ大会で同階級を連覇した。しかし、輝かしい実績からは想像できないほど厳しく苦しい経験も体験しており、2歳の時には父親が刑務所に収監されるなど、家庭環境も決して良くなかった。
中学時代にボクシングを始めると、恵まれた体格(178cm、70kg超)を活かしメキメキ成長、2012年ロンドン大会に出場した時は17歳だった。その後も学業とボクシングを両立させ、アメリカ国内のタイトルを数えきれないほど獲得し、オリンピックを連覇したことでプロに転向、現在に至る。
プロ転向後の戦績も素晴らしく、僅か4戦目で女子スーパーミドル級世界王者になり、翌年には女子ミドル級の世界王者を撃破、2階級制覇を達成する。さらに2019年には女子ミドル級の4団体(WBA、WBC、WBO、IBF)を統一し、名実ともに一流ボクサーの仲間入りを果たした。
クラレッサ・シールズの家族で高校を卒業した者はおらず、厳しい環境で育ったことは先に述べた通りだ。しかし、家族の助けを借り、同選手は高校を無事卒業、オリンピック連覇を達成し、プロの世界に飛び込んだ。東京オリンピックに出場するか否かは不明だが、エントリーされれば、女子ミドル級3連覇という偉業に挑戦する権利を得る。天才女子ボクサーの活躍と今後の動向に注目したい。
<まとめ>
◎2012年ロンドン大会、2016年リオ大会女子ミドル級で金メダルを獲得。
◎東京オリンピックへの出場は未定。エントリーされれば同階級3連覇という偉業に挑戦する権利を得る。
選手名 | クラレッサ・シールズ (Claressa Shields) |
出場競技/種目 | 女子ミドル級 |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/金メダル 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 現女子世界ミドル王者 4団体統一成功 |
外部サイトへのリンク
<TEAM USA 公式ホームページ>
カヌー(目次に戻る
オリンピック『カヌー』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | ハンガリー | 25 | 29 | 26 | 80 |
2 | ドイツ | 32 | 18 | 20 | 70 |
3 | ソビエト | 29 | 13 | 9 | 51 |
4 | フランス | 8 | 9 | 19 | 36 |
5 | ルーマニア | 10 | 10 | 14 | 34 |
44 | 日本 | 0 | 0 | 1 | 1 |
2020年東京大会のカヌー競技場は「海の森水上競技場」と「カヌー・スラロームセンター」の2か所。前者では複数の出場国が同時にスタート、順位を競う「スプリント(フラットウォーター)」、後者は急流を模したコースでタイムを競う「スラローム」が行われる。
同競技は欧州勢の活躍が特に目立ち、その中でもハンガリーとドイツの強さが際立っている。また、体力やパワーだけでなく「経験」が勝敗に大きく左右する競技と言えるだろう。経験豊富なメダリストたちは長年の経験と勘、スキルを駆使し、世代交代を狙う若手選手たちは、若さと体力でベテランに対抗するのだ。なお、日本代表のメダル獲得実績は2016年リオ大会の銅メダルのみ。
【種目】
スラローム
・カヤック(シングル)(男子/女子)
・カナディアンシングル(男子/女子)
スプリント
・カヤックシングル 200m(男子/女子)
・カヤックシングル 1,000m(男子)
・カヤックシングル 500m(女子)
・カヤックペア 1,000m(男子)
・カヤックペア 500m(女子)
・カヤックファア 500m(男子/女子)
・カナディアンシングル 1,000m(男子)
・カナディアンシングル 200m(女子)
・カナディアンペア 1,000m(男子)
・カナディアンペア 500m(女子)
セバスティアン・ブレンデル(ドイツ)
カヌー大国ドイツのエース『セバスティアン・ブレンデル(Sebastian Brendel)』は、2007年から国際大会に参戦、2012年ロンドン大会の「カナディアンシングル 1,000m(男子)」で金メダルを獲得した。さらに4年後のリオ大会では1,000mと2,000mの2冠を達成、2020年東京大会でもメダルの筆頭候補に挙げられている。
セバスティアン・ブレンデルの戦績は圧倒的で、ドイツ史上最高のカヌー選手と言っても過言ではない。国際大会で獲得したメダルの数は計38個、うち28個は金メダルというから驚きだ。同選手最大の武器は、巨体から繰り出される豪快な「フォワードストローク(パドルで漕ぐ)」である。
パドルを1本しか使わないカナディアンシングルでは、身長が高くリーチの長い選手ほど「ひと漕ぎ」に力を加えやすい。基礎体力や技術ももちろん必要だが、高身長は大きなアドバンテージになるのだ。同選手は日頃の鍛錬に加えて、192cm92kgの巨体をフルに活かし、パドルを漕ぐ。31歳になった今でも世界のトップレベルを維持しており、ライバルは国内のチームメートおよび、欧州にいる数名の強敵のみである。
オリンピックのカヌー競技で同一種目を3連覇した選手は僅か1名、セバスティアン・スレンデルは2020年東京大会で偉大な先人と肩を並べるべく、調整を進めている。カヌー大国を牽引し続ける英雄は、東京でも常人離れしたフォワードストロークを見せてくれるだろう。
<まとめ>
◎同選手は国際大会で38個のメダルを獲得し、ドイツの英雄と呼ばれている。
◎東京大会では同一種目3連覇の偉業がかかる。常人離れしたフォワードストロークに期待。
選手名 | セバスティアン・ブレンデル (Sebastian Brendel) |
出場競技/種目 | カナディアンシングル 1,000m(男子)他 |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/金メダル 2016年リオ/2冠 |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/28個 銀メダル/9個 銅メダル7個 |
外部サイトへのリンク
<セバスティアン・ブレンデル 公式webサイト>
ダヌタ・コザック(ハンガリー)
ドイツと並ぶカヌー大国ハンガリーで女傑の異名を持つ『ダヌタ・コザック(Kozák Danuta)』。2012年ロンドン大会では「カヤックシングル 500m(女子)」他1種目を制し2冠を達成。さらに2016年リオ大会ではカヤックシングル、ペア、フォアの3種目で金メダルを獲得し、同年ハンガリー勲章を授与した。
同選手は世界選手権で14個、ヨーロッパ選手権では16個、そしてオリンピックで5個、計35個の金メダルを獲得しており、圧倒的な強さで女子カヌー界を引っ張って来た。しかし、2019年の世界選手権ではまさかの無冠に終わり、2020年東京大会に向けた国内の代表争いは混迷の様相を呈している。
先に述べた通り、ハンガリーはカヌーで最も成功を収めた国のひとつであり、国内の競技レベルは非常に高い。さらに世界の競技レベルも年々向上し、有望な若手選手が次々に現れる。ダヌタ・コザックは現在33歳、1児の母でもあるママさんアスリートは、2019年の世界選手権の反省を活かし、東京大会を目指すと明言した。
カヌー競技(特にシングル)では体力と腕力が勝敗を大きく左右する。ペアとフォアであればチームワークで補うことも可能だが、体力と腕力があって困ることはない。若手の有望選手たちは若さを全面に押し出したフォワードストロークでレースを支配するのだ。ダヌタ・コザックは、他の追随を許さない圧倒的な経験値を武器に、東京大会を目指しパドルを漕ぐ。
<まとめ>
◎2012年ロンドン大会は2冠、2016年リオ大会では3冠を達成した女傑。
◎33歳のママさんアスリートは、己の限界を決めず、東京大会を狙う。
選手名 | ダヌタ・コザック (Kozák Danuta) |
出場競技/種目 | カヤックシングル 500m(女子)他 |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/2冠 2016年リオ/3冠 |
主な戦績 | 世界選手権通算14勝 ヨーロッパ選手権通算16勝 ママさんアスリート |
外部サイトへのリンク
<ダヌタ・コザック フェイスブック>
馬術(目次に戻る
オリンピック『馬術』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | アメリカ | 10 | 22 | 20 | 52 |
2 | ドイツ | 26 | 12 | 10 | 48 |
3 | スウェーデン | 17 | 11 | 15 | 43 |
4 | フランス | 14 | 13 | 10 | 37 |
5 | イギリス | 11 | 11 | 13 | 35 |
27 | 日本 | 1 | 0 | 0 | 1 |
乗馬の正確な起源、発祥の地は分かっていないが、競技としての馬術が確立されたのは18世紀のヨーロッパと言われている。オリンピックに採用されたのは1900年パリ大会から、種目は「馬場馬術」「障害馬術」「総合馬術」の三つに分類される。三つに共通している点は、人と馬の信頼関係の強さが順位に直結することだろう。
同競技の強豪国は、「ウエスタン馬術(カウボーイ乗馬)」発症の地アメリカ、そして「ブリティッシュ馬術」の欧州勢だ。また、先に述べた3種目は全て「男女混成」で争われる。馬術で必要とされるものは、騎手の体力や腕力ではなく、「愛馬との信頼関係」そして「愛馬を的確に操る能力」である。日本代表は1932年ロサンゼルス大会以来のメダルを狙う。
【種目】
馬場馬術
・個人
・団体
総合馬術
・個人
・団体
障害馬術
・個人
・団体
シャーロット・デュジャルディン(イギリス)
男女混成で行われる馬術競技は、人馬のチームワーク、信頼関係が問われるスポーツである。優秀な騎手でも馬との信頼関係が構築されていなければ、まともに競技を行うことはできない。ここで紹介する『シャーロット・デュジャルディン(Charlotte Dujardin)』は欧州の強豪国イギリスを代表する騎手である。
同選手は「馬場馬術」を主戦場としており、2012年ロンドン大会は個人、団体の2冠、2016年リオ大会でも個人で金メダルを獲得した。なお、2016年までは愛馬「バレグロ」と共に競技を行い、以降は新たなパートナー「マウントセントジョンフリースタイル」と国際大会に出場している。
馬場馬術は、長方形のアリーナ内で決められた演技を行う「規定演技」と「自由演技」の2種目に分けられ、10の項目を「10点満点方式」で審査/採点する。同選手とバレグロは2016年リオ大会個人決勝で「93.857%(点)」、その他の国際大会でも90%(点)台を連発する圧倒的な強さを見せた。なお、日本国内およびアジア選手権の優勝ラインは75~77%である。
バレグロは2016年で引退、同選手は新しいパートナーに選んだマウントセントジョンフリースタイルとも良好な関係を築きつつある。先述の通り、馬場馬術では人馬の信頼関係が勝敗を左右する。シャーロット・デュジャルディンほどの優秀な騎手であっても、新しいパートナーと信頼関係を構築するには時間を要するようだ。なお、同選手は2020年東京大会への出場を明言している。人馬が一体となる美しい演技に注目したい。
<まとめ>
◎同選手は馬場馬術のニューヒロイン。東京大会では個人3連覇の偉業を狙う。
◎馬場馬術では人馬の信頼関係が何よりも大切。どちらか一方が優秀でも、信頼関係が構築されていなければ、まともに競技を行うことはできない。
選手名 | シャーロット・デュジャルディン (Charlotte Dujardin) |
出場競技/種目 | 馬場馬術 |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/2冠 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/12個 銀メダル/3個 銅メダル/3個 |
外部サイトへのリンク
<シャーロット・デュジャルディン 公式webサイト>
フェンシング(目次に戻る
オリンピック『フェンシング』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | イタリア | 49 | 43 | 33 | 125 |
2 | フランス | 42 | 41 | 35 | 118 |
3 | ハンガリー | 37 | 23 | 27 | 87 |
4 | ソビエト | 18 | 15 | 16 | 49 |
5 | ロシア | 13 | 5 | 7 | 25 |
25 | 日本 | 0 | 2 | 0 | 2 |
フェンシングは欧州発祥の剣を用いた競技、二人の選手は定められたスペースに向かい合って立ち、剣を使って相手の身体を突く、もしくは斬り、ポイントを争う。オリンピックに採用されたのは第1回大会(1896年アテネ)から、女子は1924年パリ大会から行われている。同競技は「フルーレ」「エペ」「サーブル」に分類され、種目ごとに扱う剣やルール、剣撃の有効部位などが異なる。
フェンシングは欧州勢が圧倒的に強く、特にイタリアとフランスの戦績は突出している。2020年東京大会でも欧州勢の激しいメダル争いが繰り広げられるだろう。なお、日本代表も近年実力をつけており、個人、団体で素晴らしい結果を残している。目指すは同競技初の金メダルだ。
【種目】
・フルーレ個人(男子/女子)
・エペ個人(男子/女子)
・サーブル個人(男子/女子)
・フルーレ団体(男子/女子)
・エペ団体(男子/女子)
・サーブル団体(男子/女子)
見延 和靖(日本)
先述の通り、フェンシングは欧州勢が圧倒的に強く、国際大会の上位/メダルを独占してきた。しかし、近年では中国、韓国、そして日本も実力をつけており、オリンピックや世界選手権、W杯で優勝争いを演じ、メダルを複数個獲得することも珍しくない。日本フェンシング界の貴公子『見延 和靖』も欧州と互角以上に渡り合う天才剣士のひとりである。
同選手は2016年リオ大会でオリンピック初出場、エペ個人で6位入賞を果たす。なお、日本代表はエペ個人および団体でメダルを獲得したことがない。メダルは夢のまた夢と思われていた種目で上位争いを演じたことは大きな成果だった。しかし、この成績に満足せず見延はさらに高みを目指し厳しいトレーニングに明け暮れた。
見延はリオ大会以降メキメキと実力をつけ、欧州の強豪選手といくつもの国際大会で優勝争いを演じる。国際大会で獲得したメダル数は10個、同競技の日本人歴代最多記録を更新した。そして2019年、フェンシングの世界一を決めるグランプリのエペ個人で初の金メダルを獲得、世界ランキングでも首位に立った。
エペ個人は欧州勢だけでなく、中国、韓国の選手も強い。上位勢の実力は拮抗しており、東京大会のメダル争いは混迷を極めるだろう。しかし、見延が金メダル最有力候補であることは間違いない。素晴らしい活躍と成長を見せる天才剣士は、日本フェンシング界初の金メダルに狙いを定め、剣を振るう。
<まとめ>
◎2016年リオ大会は6位入賞、その後メキメキと実力をつけ、国際大会で複数個の金メダルを獲得した。
◎フェンシングで金メダルを獲得すれば、日本初の快挙。
選手名 | 見延 和靖 (みのべ かずやす) |
出場競技/種目 | エペ個人、団体 |
オリンピック出場実績 | 2016年リオ/6位 |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/7個 銀メダル/1個 銅メダル/2個 |
外部サイトへのリンク
<見延 和靖 公式webサイト>
ホッケー(目次に戻る
オリンピック『ホッケー』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | オランダ | 5 | 6 | 6 | 17 |
2 | オーストラリア | 4 | 3 | 5 | 12 |
3 | イギリス | 4 | 2 | 6 | 12 |
4 | インド | 8 | 1 | 2 | 11 |
5 | ドイツ | 4 | 2 | 4 | 10 |
18 | 日本 | 0 | 1 | 0 | 1 |
ホッケーがオリンピックに採用されたのは1908年ロンドン大会から。オリンピックでは芝のコート、11人制で争われる。拳サイズのボールには、選手が手に持った「スティック」以外で触ることは認められず、相手のゴール目掛けてシュートを打てるスペースも決まっているため、ロングシュートという概念が存在しない。
ホッケーとよく似た競技「クリケット」の盛んなインドが歴代最多8個の金メダルを獲得しているものの、近年は欧州勢、オーストリアやアルゼンチンの活躍が目立っている。同競技でメダルを獲得するためには、「チームワーク」と「選手個々の能力」が求められる。日本代表は1932年ロサンゼルス大会以来のメダルを狙う。
【種目】
・ホッケー(男子/女子)
オーストラリア代表
ホッケーはマイナー競技というイメージが強い。しかし、欧州やオセアニア、インドや中東地域などでは高い人気を誇る。ここで紹介する『オーストラリア代表』は、オリンピックで通算12個のメダル(うち金4個)を獲得、世界ランキングでも上位を争うホッケー強豪国だ。
同代表の男子は2004年北京大会、女子は1988年ソウル他3大会で金メダルを獲得し、世界ランキングでは宿敵オランダと1位を争っている。なお、ドイツ、イギリスもそれぞれ4個ずつ金メダルを獲得している強豪国だ。さらに2016年リオ大会では、南米の雄アルゼンチン男子が初優勝を果たし、強豪国の実力は拮抗、東京大会でも激しいメダル争いが予想されている。
女子代表のライバルは、オランダとイギリス、そして近年一気に実力をつけたアルゼンチンと中国だろう。特にアルゼンチンは安定した強さで2000年シドニー大会から4大会連続メダルを獲得した実績を持つ。女子の世界ランキングはオランダ代表が首位を快走、オーストラリアは2位につけており、既に東京大会の出場権も確保している。
2019年、世界ランキングの上位国は順当に各大陸予選を勝ち上がり東京大会への出場権を確保、男女各12か国が確定した。ホッケーはフィジカルとチームワークが重要視されるスポーツである。選手同士の激突は当たり前、強靭なフィジカルがなければ、ボールをコントロールすることはできない。チームワークが重要なことは言うまでもないだろう。東京大会の勝者は男女ともに予測不能、目の離せない激しい試合展開に期待したい。
<まとめ>
◎オーストラリア代表は男女ともに世界トップレベルの実力を有している。
◎東京大会の出場国は確定。欧州勢、アルゼンチン、そしてオーストラリア代表が金メダル候補。
チーム名 | オーストラリア代表 |
出場競技/種目 | ホッケー |
オリンピック出場実績 | 14回 |
主な戦績 | オリンピック通算成績 金メダル/4個 銀メダル/3個 銅メダル/5個 |
外部サイトへのリンク
<オーストラリアホッケー 公式ホームページ>
ボート(目次に戻る
オリンピック『ボート』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | アメリカ | 33 | 32 | 24 | 89 |
2 | イギリス | 31 | 24 | 13 | 68 |
3 | ドイツ | 23 | 13 | 15 | 51 |
4 | 東ドイツ | 33 | 7 | 8 | 48 |
5 | ソビエト | 12 | 20 | 10 | 42 |
- | 日本 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ボートは、選手一人ひとりが大きいオール(水かき)を持つ「スウィーブ」と、小さいオールを一人二本ずつ持つ「スカル」に分類される。なお、「エイト(8人)」のみ、艇のかじを取る「舵手(だしゅ)」が乗船する。ボートでメダルを獲るためには、シングルであれば「体力」と「気力」、それ以外の種目では「チームワーク」が特に重要だ。
同競技の強豪国はアメリカと欧州勢、近年ではニュージーランドとオーストラリアの活躍も目立つ。筋骨隆々の選手たちが国の威信をかけてボートをフルスピードで漕ぐ様はまさに圧巻の一言である。日本代表はメダルの獲得実績がなく、まずは上位入賞を目標にしたいところだ。なお、コースは幅広な河川を使い、「直線2,000m」で争われる。
【種目】
スカル
・シングルスカル(男子/女子)
・舵手なしペア(男子/女子)
・ダブルスカル(男子/女子)
・舵手なしフォア(男子/女子)
・クオドルプルスカル(男子/女子)
・軽量級ダブルスカル(男子/女子)
スウィーブ
・エイト(男子/女子)
マヘ・ドライスデール(ニュージーランド)
『マヘ・ドライスデール(Mahé Drysdale)』は、ボートのニュージーランド代表として4大会連続となるオリンピック出場を果たし、2012年ロンドン、2016年リオ大会「シングルスカル(男子)」で金メダルを獲得した。同競技は長年欧州勢とアメリカが上位を独占してきたものの、近年はオーストラリアとニュージーランド代表が台頭、上位の実力差は縮まり、非常に見ごたえのあるレースが展開されている。
同選手が始めてオリンピックに出場したのは25歳の頃、2004年アテネ大会でのメダル獲得はならなかったが、以降の活躍は申し分ない。そして2016年リオ大会を制した時は37歳、中堅/ベテランの部類に入る年だ。シングルスカルは個人の技量、体力、腕力がものをいう種目である。マヘ・ドライスデールが中堅/ベテラン選手になっても勝てる理由は、誰よりも厳しいトレーニングを行っているためだ。
同選手は練習の鬼として知られ、さらに恵まれた体躯(身長200cm体重100kg)で過酷なトレーニングを乗り切ってきた。ボート競技では、身長/リーチが長いほどパドルを漕ぐ力は強くなる。これに体重と腕力、体力が加われば、「鬼に金棒」であることは言うまでもない。
マヘ・ドライスデールは2020年東京大会への出場を明言している。なお、シングルスカル(男子)の実力者たちは20代後半の選手が多く、40代の同選手は大ベテランの部類に入る。オリンピックボート競技で同一種目を3連覇すれば、偉大な先人たちの仲間入りを果たすことができる。練習の鬼が繰り出す強靭なパドルさばきに注目しよう。
<まとめ>
◎2012年ロンドン、2016年リオで金メダルを獲得、世界選手権も5度制したベテラン選手。
◎同選手は過酷なトレーニングを行ってきた練習の鬼。東京大会ではシングルスカル(男子)3連覇を狙う。
選手名 | マヘ・ドライスデール (Mahé Drysdale) |
出場競技/種目 | シングルスカル(男子) |
オリンピック出場実績 | 2004年アテネ/5位 2008年北京/銅メダル 2012年ロンドン/金メダル 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 世界選手権通算成績 金メダル/5個 銀メダル/3個 |
外部サイトへのリンク
<マヘ・ドライスデール 公式webサイト>
ヘレン・グローバー(イギリス)
アメリカに次ぐボートの強豪国イギリスには、有望な選手が多い。国内の代表争いも非常に激しく、チームメイトも優秀な選手、すなわちライバルばかりである。素晴らしい実績を持つ選手でも、代表選考レースで敗れれば、オリンピックへの道は閉ざされてしまうのだ。ここで紹介するイギリス代表のひとり『ヘレン・グローバー(Helen Glover)』は、「舵手なしペア(女子)」でオリンピックを連覇した実績を持つ。
同選手は世界選手権で5勝、ヨーロッパ選手権3勝、ボートのW杯5勝、オリンピックを含めると、通算15個の金メダルを獲得している。しかし、2016年リオ大会以降は国際大会への参加を控えており、2018年には男児、さらに2020年には双子(男の子と女の子)を出産、残念ながらボート競技/一線からは退いたと思われていた。
2020年1月、ヘレン・グローバーは東京大会への出場は「まだ分からない」と発言し、世間の注目を集めた。さらに、出産後もトレーニングは継続しており、長年ペアを務めた「ヘザー・スタニング(Heather Stanning)」と一緒に調整を進めているという。
オリンピックボート競技(女子)において、同一種目3連覇を成し遂げた先人は数名/数組のみ。ヘレン・グローバーペアの東京大会出場は未定だが、挑戦することになればイギリス代表の大きな戦力になるだろう。しかし、まずは優秀な若手選手たちと代表権を争い、勝利しなければならない。3児の母は、16個目の金メダルを視野に入れつつ、着実に歩を進めている。
<まとめ>
◎国際大会での金メダル獲得数は15個。ヘレン・グローバーはイギリスを代表するボート選手。
◎2018年男児、2020年には双子を出産した3児の母。東京大会への出場は未定。
選手名 | ヘレン・グローバー (Helen Glover) |
出場競技/種目 | 舵手なしペア(女子) |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/金メダル 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 国際大会通算成績 世界選手権/5勝 ヨーロッパ選手権/3勝 ワールドカップ/5勝 |
外部サイトへのリンク
<ヘレン・グローバー 公式webサイト>
Loved lending a hand to the celebrities taking part in Clash of the Channels Sport Relief race for #SportRelief. Also got to boss about @SteveBackshall in the stroke seat 👍 Tune in on Friday 13th 📺 pic.twitter.com/aTYNC5qvH4
— Helen Glover (@Helenglovergb) February 26, 2020
セーリング(目次に戻る
オリンピック『セーリング』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | アメリカ | 19 | 23 | 18 | 60 |
2 | イギリス | 28 | 19 | 11 | 58 |
3 | フランス | 12 | 9 | 14 | 35 |
4 | スウェーデン | 10 | 12 | 13 | 35 |
5 | ノルウェー | 17 | 11 | 3 | 31 |
36 | 日本 | 0 | 1 | 1 | 2 |
海上で争われるセーリングの勝敗は、自然環境に大きく左右される。帆を操る腕力や体力も必要だが、「波の動き」「風の向き」「ライバル艇の動き」などを読む力が非常に重要で、何も考えずに最短コースを走るだけの単純な競技ではない。陽に焼けた男女の姿は「ワイルドさ」が際立つものの、選手たちは身体以上に頭脳をフル活用し、頂点を目指し艇を操るのだ。
セーリングは「艇の性能/性質」で細かく種目分けされている。強豪国はアメリカとイギリス、欧州勢は特に安定した強さを誇る。なお、「RS:X(ウィンドサーフィン)」は2008年北京大会から採用された。日本代表はなかなか上位に入ることができなかったものの、1996年アトランタ大会で銀、2004年アテネ大会では銅メダルを獲得し、世界レベルの実力を持つ選手が確実に育っている。
【種目】
セーリング
・レーザー級(男子)
・レーザーラジアル級(女子)
・フィン級(男子)
・470級(男子/女子)
・49er(男子)
・49erFX級(女子)
・フォイリングナクラ17級(混合)
ウィンドサーフィン
・RS:X(男子/女子)
ベン・エインズリー(イギリス)
「騎士(Sir)」の称号を持つ『ベン・エインズリー(Sir Ben Ainslie)』は、イギリスを代表するセーリング選手である。同競技でもっとも歴史の古い種目「フィン級」を主戦場とし、オリンピック初出場を果たした1996年アトランタ大会「レーザー級」で銀メダル、2000年シドニー大会は金メダル、2008年北京大会からはフィン級に出場し、同一種目3連覇という偉業を成し遂げた。
オリンピック以外の戦績も申し分なく、世界チャンピオン通算11回、欧州チャンピオン9回は全て世界歴代最多記録である。さらに、オリンピック以上の規模を誇る「アメリカズカップ」も3度制覇し、先に述べた通り、騎士(Sir)の称号をエリザベス女王から与えられた。
2016年、ベン・エインズリーはオリンピック(2016年リオ大会)よりアメリカズカップを優先させると発表。世界最高の「セーラー」はオリンピック競技から引退したものと考えられた。しかし、正式に引退を明言した訳ではないため、東京大会に出場する可能性はゼロではない。
セーリングは体力や腕力以上に、技術、経験、波の強さや風の向きなどを計算/予測する力を求められる。なお、同選手は現在43歳、バリバリの中堅選手であり、現在も変わらず世界の頂点に君臨している。東京大会に出場すれば、金メダル最有力候補になることは間違いないだろう。2020年、騎士(Sir)の動向に注目が集まる。
<まとめ>
◎ベン・エインズリーは騎士(Sir)の称号を持つセーリング界の帝王。
◎オリンピックよりアメリカズカップを優先すれば、東京大会への出場は難しい。
選手名 | ベン・エインズリー (Sir Ben Ainslie) |
出場競技/種目 | レーザー級、フィン級 |
オリンピック出場実績 | 1996年アトランタ/銀メダル 2000年シドニー/金メダル 2004年北京/金メダル 2008年北京/金メダル 2012年ロンドン/金メダル |
主な戦績 | 世界チャンピオン通算11回 欧州チャンピオン通算9回 |
外部サイトへのリンク
<ベン・エインズリー 公式webサイト>
射撃(目次に戻る
オリンピック『射撃』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | アメリカ | 54 | 29 | 26 | 109 |
2 | スウェーデン | 15 | 24 | 18 | 57 |
3 | 中国 | 22 | 15 | 19 | 56 |
4 | ソビエト | 17 | 15 | 17 | 49 |
5 | イギリス | 13 | 15 | 18 | 46 |
33 | 日本 | 1 | 2 | 3 | 6 |
射撃がオリンピックに採用されたのは1896年アテネ大会、女子は1968年メキシコシティ―大会からである。同競技は扱う銃の種類によって種目分けされ、エアライフルとエアピストルのみ実弾を使用しない。なお、「50mライフル」のみ三つの姿勢(伏射、膝射、立射)で争われ、その他は競技ごとに決められた姿勢で射撃を行うことになる。
射撃の大会には年齢制限が設けられておらず、70歳超でメダルを獲得したベテランガンマンも存在する。他の選手たちと並んで的/ターゲットを狙う際に必要とされるものは、「集中力」と「精神力」のみ。緊張や焦りによる僅かな手の動き/ブレが勝敗を左右するため、体力や腕力に劣るベテラン選手でも結果を残せるのだろう。強豪国は銃大国アメリカ、近年は韓国や中国勢の活躍も目立つ。
【種目】
・50mライフル 3姿勢個人(男子/女子)
・10mエアライフル(男子/女子/混合)
・25mピストル個人(女子)
・10mエアピストル(男子/女子/混合)
・トラップ(男子/女子/混合)
・スキート(男子/女子)
ニッコロ・カンプリアーニ(イタリア)
『ニッコロ・カンプリアーニ(Niccolò Campriani)』はイタリア射撃界のエースシューターである。2012年ロンドン大会で金メダル、2016年リオ大会では2冠を達成、世界選手権や欧州選手権などを含む国際大会のメダル獲得数は36個(うち金14個)を数え、射撃界にその名を刻んだ。
射撃はメンタルを求められるスポーツである。そのため、40代や50代の選手はザラ、60歳超でメダルを獲得した選手も数名おり、腕力や体力ではなく集中力、そして精神力が勝敗を左右することはよく知られている。しかし、2016年リオ大会終了後、当時29歳だったニッコロ・カンブリアーニは現役引退を発表、その決断は射撃界に衝撃を与えた。
ニッコロ・カンブリア―は、全く別の手段で2020年東京大会への扉を開こうとしている。同選手が臨むもの、それはアフリカや中東の紛争地域/地帯から逃れた「難民アスリート」のオリンピック出場である。射撃に初めて挑戦した数名の選手候補は、東京大会予選に向けて訓練を行っており、同選手がコーチを務めている。
2018年、ニッコロ・カンブリアーニは射撃場に戻りトレーニングを再開した。しかし、現役復帰したわけではなく、コーチとして難民アスリートたちに指導を行うため、すなわち、自分の持つ技術やスキルを伝えるためだ。命を守るために母国を脱出し、貧しい生活を強いられている難民たちを一人でも多く支援すべく、同選手は活動を続けている。難民アスリートたちが東京大会で活躍すれば、同じ境遇/立場にある者たちの希望の星になるだろう。
<まとめ>
◎ニッコロ・カンブリアーノは2016年に現役を引退。現在は難民支援事業に携わっている。
◎難民でも実力のある選手はオリンピックに参加すべき。同選手の旅はまだまだ終わらない。
選手名 | ニッコロ・カンプリアーニ (Niccolò Campriani) |
出場競技/種目 | 10mエアライフル(男子)他 |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/金メダル 2016年リオ/2冠 |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/14個 銀メダル/15個 銅メダル/7個 |
外部サイトへのリンク
<国際オリンピック委員会 公式ホームページ>
チン・ジョンオ(韓国)
『チン・ジョンオ(秦鍾午)』は、2004年アテネ大会「50mピストル個人(男子)」で銀メダル、2008年アテネ大会で金、2012年ロンドン大会は2冠、そして2016年リオ大会で金メダルを獲得した韓国射撃界のエースである。なお、同種目は2020年東京大会では実施されず、チン・ジュンオの得意とする種目は「10mエアピストル(男子)」のみとなった。
オリンピック射撃競技で同一種目3連覇を達成した選手はチン・ジュンオのみ。射撃は選手生命の長い競技であり、強豪選手が長期間現役を続けることができる。すなわち、射撃競技において、ひとつの種目で世界のトップを守り続けることは非常に難しいのだ。なお、同選手は10mエアピストルおよび50mピストルの世界記録を保持、現在も記録を更新し続けている。
先に述べた通り、射撃には「集中力」と「精神力」が求められる。いくら練習で正確に的を撃てても、大会本番で緊張し本来の力を発揮できなければ、メダルなどの夢のまた夢である。さらに、オリンピックでは観衆の視線を一身に浴びる。しかし、チン・ジュンオは正確に的を撃ち抜く技術と、プレッシャーに打ち勝つ強靭なメンタルを併せ持ち、素晴らしい戦績を残し続けてきた。
同選手は韓国国内からも「勝って当然」というプレッシャーを受け続けている。2017年には疲労で国際大会の代表から外れたこともあり、4大会連続の金メダルがかかる東京オリンピックは試練の一戦になるだろう。まずは強豪選手揃いの韓国国内で代表権を勝ち取らなければならない。「射撃の神様」の異名を持つ男は、誰も成し遂げたことのない偉業に挑戦する。
<まとめ>
◎オリンピック射撃競技で同一種目3連覇を達成した選手はチン・ジュンオのみ。
◎射撃の神様は、東京オリンピックで韓国史上初の4大会連続金メダルを狙う。
選手名 | チン・ジョンオ (秦鍾午) |
出場競技/種目 | 10mエアピストル個人(男子) |
オリンピック出場実績 | 2004年アテネ/銀メダル 2008年北京/金メダル 2012年ロンドン/2冠 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 10mエアピストル世界記録保持者 50mピストル世界記録保持者 |
外部サイトへのリンク
<WOW!Korea 公式ホームページ>
スケートボード(目次に戻る
『スケートボード』ストリートおよびパークの世界ランキング(抜粋)は以下の通りである。
ストリート/男子 | ストリート/女子 | ||||
順位 | 名前 | 国/地域 | 順位 | 名前 | 国/地域 |
1 | Nyjah HUSTON | アメリカ | 1 | Pamela ROSA | ブラジル |
2 | Yuto HORIGOME | 日本 | 2 | Rayssa LEAL | ブラジル |
3 | Gustavo RIBEIRO | ポルトガル | 3 | Aori NISHIMURA | 日本 |
4 | Sora SHIRAI | 日本 | 4 | Leticia BUFONI | ブラジル |
5 | Kelvin HOEFLER | ブラジル | 5 | Candy JACOBS | オランダ |
パーク/男子 | パーク/女子 | ||||
順位 | 名前 | 国/地域 | 順位 | 名前 | 国/地域 |
1 | Heimana REYNOLDS | アメリカ | 1 | Misugu OKAMOTO | 日本 |
2 | Luiz FRANCISCO | ブラジル | 2 | Sakura YOSOZUMI | 日本 |
3 | Cory JUNEAU | アメリカ | 3 | Sky BROWN | イギリス |
4 | Pedro BARROS | ブラジル | 4 | Poppy STARR OLSEN | オーストラリア |
5 | Keegan PALMER | オーストラリア | 5 | Lizzie ARMANTO | フィンランド |
スケートボードは2020年東京大会から採用される新競技である。世界で唯一のプロリーグ「Street League Skateboarding(通称SLS)」は、10代から20代の選手で構成されており、東京大会でも若手選手の活躍が期待されている。同競技は1960年代にアメリカで誕生、若者たちの支持を集め、競技人口は右肩上がりで増加した。
東京大会では「ストリート」と「パーク」の二種目でメダルが争われる。前者は街を模した人口コースを、後者はすり鉢状のコースをスケートボードで滑走し、トリックの難易度や精度、美しさなどを競う。東京大会の出場権を得るには、世界ランキングのTOP20に入らねばならず、開催国枠はない。なお、同ランキング女子パークの1位「岡本 碧優(みすぐ)」は、2007年生まれの13歳である。
【種目】
・パーク(男子/女子)
・ストリート(男子/女子)
ナイジャ・ヒューストン(アメリカ)
『ナイジャ・ヒューストン(Nyjah Huston)』は、東京大会「ストリート(男子)」の金メダル最有力候補である。国際大会、SLSの運営する「World Skateboarding Championship(世界一決定戦)」の戦績は他の追随を許さない。なお、同選手が大会等で稼ぎ出す年間賞金は5億~10億円、スポンサー料も含めると、年収は50億円超と言われている。
圧倒的な強さを誇るナイジャ・ヒューストンは「スケートボード界のアイコン」であり、東京オリンピックでも注目を一身に浴びるだろう。2020年1月時点の世界ランキング(ストリート男子)は1位、オリンピックに出場できる選手はTOP20までだが、ケガでもしない限り、出場権を逃すことはあり得ない状態だ。
スケートボードの世界は「選手の入れ替わり」が激しく、10代前半の天才が突然あらわることも珍しくない。同選手は現在25歳、SLSの頂点に立ったのは2011年であり、実に9年ものあいだ世界一を守り続けている、というから驚きだ。しかし、天才スケートボーダーの人生は、最初からバラ色だったわけではない。両親は離婚を巡るトラブルで2年以上法廷闘争を続け、幼かった4人兄弟は危うく離散しかけたという。
同選手は5歳でスケートボードを始め、7歳でスポンサーを獲得し、家族の生活費を養った。学校に通いながら練習に明け暮れ、努力は実を結んだのだ。己の努力でアメリカンドリームをつかんだナイジャ・ヒューストンは、東京大会ストリート部門を制し、同競技初のオリンピックメダリストとして歴史に名を刻む。
<まとめ>
◎同選手は東京大会スケートボード(ストリート男子)の金メダル最有力候補。
◎スケートボード界のアイコンは、同競技初のオリンピックメダリストとして歴史に名を刻む。
選手名 | ナイジャ・ヒューストン (Nyjah Huston) |
出場競技/種目 | ストリート(男子) |
オリンピック出場実績 | なし |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/16個 銀メダル/6個 銅メダル/2個 |
外部サイトへのリンク
<ナイジャ・ヒューストン 公式webサイト>
スカイ・ブラウン(イギリス)
先述の通り、スケートボード界では10代の選手が当たり前のように大活躍している。ここで紹介する『スカイ・ブラウン(Sky Brown)』がスケートボードを始めたのは2歳の頃、遊び半分で始めたにも関わらず、気がつくと大人顔負けのトリックを披露していたという。9歳時点で複数社のスポンサーがつき、あっという間にプロデビュー、世界で唯一のプロリーグSLSへの参戦を果たした。
同選手は現在11歳、2020年1月時点の世界ランキング(パーク女子)では3位につけており、東京オリンピックの出場はほぼ当確。イギリス代表の夏季オリンピック最年少出場記録は13歳と43日なので、こちらの更新もほぼ間違いない。なお、現役小学生のティーンエイジャーがSLSで獲得した賞金額は1億円を軽々と超えている。
スカイ・ブラウンは、東京大会の出場権を狙うこと、そして、金メダルの獲得とイギリス代表選手としての最年少出場記録更新を目標に掲げた。さらに、出場までの過程を楽しみ、世界中の同級生をインスパイアしたいと明言している。
同選手が主戦場とするパーク(女子)には、同年代のライバルが複数人存在する。13歳の「岡本 碧優(みすぐ)」は世界ランキング1位を独走、東京大会の金メダル最有力候補と言われている。10代前半のティーンエイジャーたちが世界の頂点を争う女子スケートボード界。なお、スカイ・ブラウンが東京大会で金メダルを獲得すれば、オリンピックの最年少金メダル獲得記録を1年以上更新することになる。
<まとめ>
◎同選手の世界ランキング(パーク女子)は現在3位。東京大会出場はほぼ当確である。
◎女子スケートボード界は、10代前半のティーンエイジャーたちが席巻している。
選手名 | スカイ・ブラウン (Sky Brown) |
出場競技/種目 | パーク(女子) |
オリンピック出場実績 | なし |
主な戦績 | 世界ランキンク(パーク女子)3位 |
外部サイトへのリンク
<スカイ・ブラウン 公式webサイト>
スポーツクライミング(目次に戻る
『スポーツクライミング』世界選手権の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
IFSCクライミング世界選手権 | |||||
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | ロシア | 16 | 12 | 24 | 52 |
2 | アメリカ | 12 | 14 | 16 | 42 |
3 | オーストリア | 11 | 6 | 8 | 25 |
4 | ウクライナ | 10 | 7 | 4 | 21 |
5 | チェコ | 6 | 10 | 4 | 20 |
7 | 日本 | 4 | 8 | 6 | 18 |
スポーツクライミングは、山岳/岩山などを登る「フリークライミング」がスポーツ競技に進化したもので、人口の壁に設けられた突起に手や足をかけ、登る早さや正確さを競う。2020年東京大会からの新種目のひとつで、日本国内でも高い人気を誇るスポーツだ。
種目は「スピード」「ボルダリング」「リード」の三つに分類。スピードのみ二人の選手が同時に競技を開始し、頂上に早くたどり着いた方が勝利となる。スポーツクライミングには腕力と柔軟性、全身のバネと失敗を恐れぬ度胸が求められる。なお、日本のトップ選手は世界の強豪と互角に渡り合えことを証明しており、東京大会でもメダルの有力候補に挙げられている。
【種目】
・スピード個人(男子/女子)
・ボルダリング/女子)
・リード個人(男子/女子)
ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)
『ヤンヤ・ガンブレット(Janja Garnbret)』はプロのロッククライマー(登山家)兼スポーツ選手である。趣味は登山、ロッククライミング、トレーニング。驚異的な身体能力を持つ20歳は、「弛まぬ努力」でスポーツクライミング界の頂点を快走し続けている。
同選手がスポーツクライミングの国際大会に初参戦したのは8歳の頃、当時はボルダリングを主戦場に選んでいたが、他の種目にも挑戦することになった。16歳で「国際スポーツクライミング連盟(IFSC)」が主催するW杯への出場権を獲得し、現在に至る。これまでに国際大会で獲得したメダルの数は48個(うち金32個)、東京大会でも全種目に出場し、個人3冠を狙うと明言している。
先に述べた通り、ヤンヤ・ガンブレットは弛まぬ努力で世界の頂点に立った。しかし、幼い頃に登山を始めたため、同級生と遊ぶ、思い出を作る時間は少なかったという。プロのスポーツ選手は、皆何かを犠牲にして戦っている。同選手は登山が好き、トレーニングが大好きという生粋のロッククライマーである。
20歳のロッククライマーは、驚異的な勢いで壁を「駆け上がる」。さらに、登頂不可能と思われるような配置/角度の壁もお構いなし、自分の限界を決めず、天性の身体能力/才能を過信せず、誰よりも厳しいトレーニングを継続する女王に死角はない。
<まとめ>
◎ヤンヤ・ガンブレットは東京大会スポーツクライミングの金メダル最有力候補。
◎自分の限界を決めず、誰よりも厳しいトレーニングを継続する女王に死角はない。
選手名 | ヤンヤ・ガンブレット (Janja Garnbret) |
出場競技/種目 | ボルダリング個人(女子) |
オリンピック出場実績 | なし |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/32個 銀メダル/11個 銅メダル/5個 |
外部サイトへのリンク
<国際スポーツクライミング連盟 公式ホームページ>
サーフィン(目次に戻る
『サーフィン』の世界ランキング(抜粋)は以下の通りである。
チャンピオンシップツアーランキング/男子 | チャンピオンシップツアーランキング/女子 | ||||
順位 | 名前 | 国/地域 | 順位 | 名前 | 国/地域 |
1 | イタロ・フェレイラ | ブラジル | 1 | カリッサ・ムーア | アメリカ |
2 | ガブリエル・メディナ | ブラジル | 2 | キャロライン・マークス | アメリカ |
3 | ジョーディ・スミス | 南アフリカ | 3 | レイキー・ピーターソン | アメリカ |
4 | フィリッペ・トレド | ブラジル | 4 | ステファニー・ギルモア | オーストラリア |
5 | コロヘ・アンディーノ | アメリカ | 5 | サリー・フィッツギボンズ | オーストラリア |
サーフィンも2020年東京大会から採用される新競技だ。なお、大会への出場権を得られるのは、世界最高峰のプロサーフィンツアー「チャンピオンシップツアー(通称CT)」の上位選手のみである。同競技で扱うサーフボード/種目は、「ロングボート」と「ショートボード」の二つに分類され、東京大会では後者のみが採用されることになった。
サーフィンの強豪選手は、気候の温暖な国/地域の出身者が多い。男子はブラジル、女子はアメリカ(ハワイ)やオーストラリアの選手がCTの上位を独占しており、メダルの最有力候補と言われている。なお、日本代表に内定している「五十嵐 カノア」はアメリカのカリフォルニア州出身、温暖な気候と海/波に恵まれた地域で金メダルを目指しトレーニングを行っている。
【種目】
・ショートボード個人(男子/女子)
イタロ・フェレイラ(ブラジル)
海上をボードひとつで疾走するサーフィンは、オリンピック史上最もクールなスポーツと言っても過言ではない。2024年パリ大会以降の継続実施も確実視されており、サーフィン人口(世界3,500万人)のさらなる増加につながることが期待されている。
ここで紹介する『イタロ・フェレイラ(Italo Ferreira)』は、世界最高峰のプロサーフィンツアー(通称CT)で活躍するプロサーファーである。同選手がCTに初参戦したのは2015年、同年のルーキーイヤー賞を受賞し、トップサーファーの仲間入りを果たした。
2019年、イタロ・フェレイラはCTのワールド(年間)チャンピオンに輝いた。他を寄せ付けぬ圧倒的な技術は、ライバルたちすら引きつけ、観客を虜にしている。世界ランキングでも首位に立ち、追う者から追われる者になった同選手を支えるもの、それは海と自然を心から愛し敬い、サーフィンを楽しむことだという。
同選手は、大きな波に「立ち向かう」のではなく、自然の恵みに感謝し「楽しむ」ことを意識している。さらに、楽しむだけでなく、順位を争っていることすら忘れてしまうという。そうすることで肩の力が抜け、緊張や焦りも無くなるのだろう。しかし、他を寄せ付けぬ圧倒的な技術は厳しいトレーニングで修得したものだ。世界の頂点に立つ怪物サーファーは、東京大会/日本の海でも華麗な波乗りを披露してくれるだろう。
<まとめ>
◎イタロ・フェレイラは2019年CTのワールドチャンピオン、世界ランキングでも首位を快走する。
◎海と自然を愛し敬い、サーフィンを楽しむ怪物サーファーは、東京大会の金メダル最有力候補。
選手名 | イタロ・フェレイラ (Italo Ferreira) |
出場競技/種目 | ショートボード個人(男子) |
オリンピック出場実績 | なし |
主な戦績 | 2019年サーフィンワールドチャンピオン 世界ランキング1位 |
外部サイトへのリンク
<イタロ・フェレイラ フェイスブック>
カリッサ・ムーア(アメリカ)
東京オリンピックサーフィン競技の出場権は、先に述べたCT(チャンピオンシップツアー)を主催する「世界プロサーフィン連盟(WSL)」から発表される世界ランキングの上位が優先される。なお、日本は開催国枠を男女それぞれ1枠ずつ確保しているため、残り38枠(男女19枠ずつ)を世界のトップサーファーが争うことになる。
女子サーフィン界の頂点に立つ『カリッサ・ムーア(Carissa Moore)』は、東京大会の出場権を獲得、アメリカ代表内定済みである。2020年1月時点の世界ランキングは1位、通算4度のワールドチャンピオン(女子の部)獲得は歴代最多、史上最高/最強の女子サーファーとの呼び声も高い。
2009年、17歳だったカリッサ・ムーアはCTへの参加資格を獲得、いきなり2つの大会を制し、同年のルーキーイヤー賞を受賞。翌2011年には初のワールドチャンピオンに輝いた。同選手の卓越した技術は、5歳の頃から続けている厳しいトレーニングと、明るく前向きに物事を考える性格にあるという。
大会で結果を出すことも大切だが、そこにたどり着くまでの「過程」を何より大事にしたいと同選手は言う。日々の生活、トレーニング、友人と過ごす時間、家族、全てをバランスよく楽しめれば、たとえ結果が伴わなくても次につながると明るく前向きに考えることができるのだろう。2020年東京大会、女子サーフィン界のチャンピオンは日本の海でも明るく前向きに金メダルを目指す。
<まとめ>
◎同選手は女子サーフィン界のチャンピオン、史上最高/最強との呼び声も高い。
◎東京大会でも明るく前向きに金メダルを目指す。
選手名 | カリッサ・ムーア (Carissa Moore) |
出場競技/種目 | ショートボード個人(女子) |
オリンピック出場実績 | なし |
主な戦績 | サーフィンワールドチャンピオン通算4回 世界ランキング1位 |
外部サイトへのリンク
<カリッサ・ムーア 公式webサイト>
テコンドー(目次に戻る
オリンピック『テコンドー』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | 韓国 | 12 | 2 | 5 | 19 |
2 | 中国 | 7 | 1 | 2 | 10 |
3 | アメリカ | 2 | 2 | 5 | 9 |
4 | 台湾 | 2 | 1 | 5 | 8 |
5 | メキシコ | 2 | 2 | 3 | 7 |
35 | 日本 | 0 | 0 | 1 | 1 |
韓国発祥の武道、テコンドーがオリンピックの正式競技になったのは2000年シドニー大会から。テコンドーは日本を代表する武道「空手」から派生、1940年代に競技として確立された。試合は1対1(2分×3ラウンド)、攻撃は胴体への突き、胴体もしくは頭部への蹴りのみ有効で、ひねりや回転を加えた蹴り技には追加ポイントが加算される。
テコンドーは韓国のお家芸であり、2000年シドニー大会からメダルを独占してきた。しかし、近年は中国や欧州も選手の育成に力を入れており、上位勢の実力は拮抗している。なお、プロテクターとヘッドギアの着用は必須、胴体および頭以外への攻撃は認められず、顔面への突きは禁止されている。テコンドー日本代表が獲得したメダルは、2000年シドニー大会「岡本 依子」の銅のみ。
【種目】
・58kg級(男子)
・68kg級(男子)
・80kg級(男子)
・80kg超級(男子)
・49kg級(女子)
・57kg級(女子)
・67kg級(女子)
・67kg超級(女子)
ジョン・シューイン(中国)
『ジョン・シューイン(鄭姝音)』は、2016年リオ大会、女子67kg超級の金メダリストである。スポーツ大国中国は、テコンドー選手の育成にも力を入れており、近年の大会では韓国を上回る成績を収めている。同選手も中国代表のエース格として知られ、オリンピックの他に世界選手権、W杯などの国際大会でも素晴らしい成績を残してきた。
2019年、イギリスで開催されたテコンドー世界選手権において、「疑惑の判定」と指摘/非難される試合があった。同選手は女子67kg超級に参加、順調に勝ち残り、決勝でイギリスの強豪選手と対戦。ポイントではジョン・シューインが圧倒的にリードしていたものの、10回超の反則を取られ、「反則負け」を喫してしまったのだ。
テコンドーでは反則(警告と減点)を取られる項目が非常に多い。わざと倒れる、消極的、相手をホールドする、頭突き、膝蹴りなど、気がつくとあっという間に反則点がたまり、反則負けという最悪の事態を招くことになるのだ。同大会後、中国テコンドー協会は審判を非難、「国際オリンピック委員会(IOC)」に異議申し立てを行った。
ジョン・シューインが反則負けを喫した試合は、イギリスの審判が採点を行っている。しかし、同国の選手をひいきした事実は認められず、中国の申し立ては却下された。同選手は公平なジャッジをしてほしいと涙を流し懇願したものの、映像が残されているので言い逃れはできないだろう。なお、ジョン・シューインは東京大会中国代表に内定済みである。東京大会では正々堂々と戦い金メダルを狙ってほしい。
<まとめ>
◎同選手は2016年リオ大会で金メダルを獲得。中国テコンドー界のエース格である。
◎2019年の世界選手権では反則負けを喫し、審判に対する異議申し立ても却下された。
選手名 | ジョン・シューイン (鄭姝音) |
出場競技/種目 | 67kg超級(女子) |
オリンピック出場実績 | 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 2019年世界選手権/銀メダル |
外部サイトへのリンク
<ジョン・シューイン Wikipedia>
トライアスロン(目次に戻る
オリンピック『トライアスロン』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | イギリス | 2 | 1 | 2 | 5 |
1 | スイス | 2 | 1 | 2 | 5 |
3 | オーストラリア | 1 | 2 | 2 | 5 |
4 | ニュージーランド | 1 | 1 | 1 | 3 |
5 | カナダ | 1 | 1 | 0 | 2 |
- | 日本 | 0 | 0 | 0 | 0 |
トライアスロンは、「スイム(競泳)」「バイク(自転車)」「ラン(長距離走)」を一人の選手が連続で行い順位を争う競技である。トライアスロンが誕生したのは1974年、オリンピックに採用されたのは2000年シドニー大会と、比較的歴史の浅いスポーツと言える。東京大会ではスイム1.5km、バイク40km、ラン10kmの個人戦と、団体戦(ラン0.3km、バイク7.4km、ラン2km×4名のリレー方式)の2種目でメダルが争われる。
強豪選手の実力は拮抗しており、その中でも欧州、欧米勢、オーストラリアやニュージーランドの選手はタフネス揃いだ。なお、競技を行う上で重要視されることは、体力、気力、そしてライバルの動き/調子を読み、スパートのタイミングを的確に判断できるメンタルである。日本代表は自国開催という地の利を活かし、オリンピックおよび世界選手権初のメダルを目指してほしい
【種目】
・個人(男子/女子)
・団体線(混合リレー)
ハビエル・ゴメス(スペイン)
トライアスロンは歴史の浅いスポーツではあるものの、競技人口は年々増加、日本でも近年の健康ブームの影響を受け、あちこちで市民大会が開催されている。ここで紹介する『ハビエル・ゴメス(Javier Gómez)』は、トライアスロン界の頂点を決める「世界トライアスロン選手権」で5度の総合優勝を誇るスペインのスター選手だ。
2012年ロンドン大会、ハビエル・ゴメスは優勝候補の一人として出場し銀メダルを獲得、2016年リオ大会には出場せず、世界トライアスロン選手権などを主戦場とし、素晴らしい戦績を残してきた。なお、同選手は現在36歳、体力を必要とするトライアスロン界の中ではベテラン選手に分類されるが、2020年1月時点の世界ランキングは3位につけており、20代前半の若手選手に負けない活躍を見せている。
トライアスロンやマラソンに年齢制限はなく、老若男女誰でも楽しむことができる。しかし、世界のトップレベルを維持するとなると話は別だ。世界ランキングの上位は20代前半から中盤の選手が占めており、若さと溢れる体力でベテラン選手を圧倒する泳ぎと走りを見せる。同選手が「弛まぬ努力」で世界ランキングTOP3を維持していることは想像に難くないだろう。
ハビエル・ゴメスは東京大会への出場を明言していない。ただし、「世界ランキング(男女)TOP26」に入っている選手は自動的に出場/参加が認められる(各国最大2名まで)ことになっており、同選手は要件を余裕で満たしている。現在も国際大会で素晴らしい戦績を収めているため、出場を決めればメダル争いに加わることは間違いないだろう。続報を待ちたい。
<まとめ>
◎ハビエル・ゴメスは、世界トライアスロン選手権で5度の総合優勝を誇るスペインのスター選手。
◎2020年1月時点の世界ランキングは3位。東京大会への出場要件を満たすことは間違いないだろう。
選手名 | ハビエル・ゴメス (Javier Gómez) |
出場競技/種目 | 個人(男子) |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/銀メダル |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/8個 銀メダル/4個 銅メダル/1個 |
外部サイトへのリンク
<ハビエル・ゴメス 公式webサイト>
Diversión esta mañana, compartiendo equipo con @mariomola y @lucasmola92 en un relajo de @SuperLeagueTri Con compañeros de equipo así, ganar es un poco más fácil! 📷@JaviTheilacker pic.twitter.com/6W6nrxayZk
— Javi Gomez Noya (@Jgomeznoya) November 3, 2018
マリオ・モーラ(スペイン)
『マリオ・モーラ(Mario Mola)』は、先に述べたハビエル・ゴメスと双璧を成すスペインのトライアスロン選手である。16歳でスペイン代表に選ばれ、2012年ロンドン大会でオリンピック初出場を果たした。結果は19位と振るわなかったものの、世界トライアスロン選手権などで結果を残し、順調にキャリアを積み重ねた。
2016年リオ大会、同選手は優勝候補の一角としてレースに臨むも結果は8位。メダルを期待されていたレースで結果を出せなかったことで、マリオ・モーラはさらに厳しいトレーニングを積むようになったという。その結果、同年の世界トライアスロン選手権で初の総合優勝を果たした。さらに翌2017年には同選手権2連覇、2018年は2位に圧倒的なポイント差をつけ3連覇を達成した。
29歳のマリオ・モーラは「大器晩成型」の選手と言われている。若干16歳でスペイン代表に抜擢されたものの、当時はチームメートのハビエル・ゴメスが圧倒的な強さを誇っており、2番手に甘んじることが多かったためだ。しかし、26歳で迎えたリオ大会以降に能力が開花、東京大会でも金メダルの最有力候補に挙げられている。
同選手は現在世界ランキング2位、フランス代表「バンサン・ルイ(Vincent Luis」に1位を奪取されたが、世界トライアスロン選手権4連覇をかけて、現在も激しい戦いを繰り広げている。なお、マリオ・モーラも東京オリンピック出場はほぼ当確、金メダル争いは混迷を極めるだろう。
<まとめ>
◎2012年ロンドン大会、2016年リオ大会ではメダルなし。東京大会はメダルをかけたリベンジのレースになる。
◎世界トライアスロン選手権3連覇はハビエル・ゴメスに並ぶ大記録。4連覇を達成すれば史上初の快挙。
選手名 | マリオ・モーラ (Mario Mola) |
出場競技/種目 | 個人(男子) |
オリンピック出場実績 | 2012年ロンドン/19位 2016年リオ/8位 |
主な戦績 | 国際大会通算成績 金メダル/3個 銀メダル/2個 銅メダル/1個 |
外部サイトへのリンク
<マリオ・モーラ 公式webサイト>
ウエイトリフティング(目次に戻る
オリンピック『ウエイトリフティング』の国別メダル獲得数(抜粋)は以下の通りである。
順位 | 国/地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
1 | ソビエト | 39 | 21 | 2 | 62 |
2 | 中国 | 34 | 15 | 8 | 57 |
3 | アメリカ | 16 | 16 | 11 | 43 |
4 | ブルガリア | 12 | 16 | 8 | 36 |
5 | ポーランド | 5 | 6 | 21 | 32 |
16 | 日本 | 2 | 3 | 9 | 14 |
ウエイトリフティングは、「スナッチ」と「クリーン&ジャーク」の二つに分類される。前者は地面に置いたバーベルを両手に持ち、一気に頭上まで引き上げ、立ち上がる。後者はバーベルを一度肩まで持ち上げ立ち上がり(クリーン)、その後全身の反動を使って頭上まで差し上げる(ジャーク)。腕力、気力、そして一瞬のうちにパワーを爆発させる集中力が揃わなければ、重たいバーベルを持ち上げることはできないだろう。
ウエイトリフティングは1896年アテネ大会から正式競技として実施され、各階級の記録は年を追うごとに更新されている。クリーン&ジャークでは体重の3倍近い重量を持ち上げる選手もおり、筋骨隆々の男女が争う姿は圧巻の一言に尽きる。なお、日本代表男子は1976年モントリオール大会以来メダルを獲得できていない。奮起に期待しよう。
【種目】
・61kg級(男子)
・67kg級(男子)
・73kg級(男子)
・81kg級(男子)
・96kg級(男子)
・109kg級(男子)
・+109kg級(男子)
・49kg級(女子)
・55kg級(女子)
・59kg級(女子)
・64kg級(女子)
・76kg級(女子)
・87kg級(女子)
・+87kg級(女子)
ラシャ・タラハゼ(ジョージア)
ウエイトリフティング子109kg超級は、世界一の力持ち決定戦である。ここで紹介する『ラシャ・タラハゼ(Lasha Talakhadze)』は身長197cm、体重169kg、「熊かよ」とツッコみたくなる巨体でバーベルを持ち上げるジョージア代表のパワーリフターである。
ラシャ・タラハゼは2016年リオ大会で金メダル、世界選手権は2017年から3連覇中、欧州選手権は4連覇中という圧倒的な強さとパワーを誇る。なお、「同選手の記録=人間の限界」と言われており、2019年の世界選手権では「スナッチ」220kg、「クリーン&ジャーク」で264kg、計484kgを持ち上げ、自身の持つ世界記録をさらに更新した。
同競技の限界点(スナッチ、クリーン&ジャークの合計)は500kgと言われており、それ以上は人間の身体/骨が持たないと言われている。しかし、同選手は自身の持つ世界記録を更新し続けており、500kg超えは不可能ではないかもしれない。なお、2019年の世界選手権を制した時点で東京大会への出場は確定、金メダルの最有力候補に挙げられている。
力自慢が揃う男子109kg超級は、同選手を筆頭に怪力が揃う。筋肉からほとばしる汗、マッチョマンたちの雄叫び、そして500kgへの挑戦。競技時間は数秒と非常に短いが、見ごたえ十分な激しく熱い戦いが展開されるだろう。2020年東京大会、ラシャ・タラハゼの世界記録更新に期待したい。
<まとめ>
◎ウエイトリフティング男子109kg超級は、世界一の力持ち決定戦。
◎ラシャ・タラハゼは2016年リオ大会、同階級の金メダリスト。自身の持つ世界記録は484kg。
選手名 | ラシャ・タラハゼ (Lasha Talakhadze) |
出場競技/種目 | +109kg級(男子) |
オリンピック出場実績 | 2016年リオ/金メダル |
主な戦績 | 世界選手権3連覇中 欧州選手権4連覇中 重量挙げ世界記録484kg |
外部サイトへのリンク
<TOKYO2020 公式ホームページ>
チェ・ヒョシム(北朝鮮)
最後に北朝鮮のウエイトリフティング代表候補のひとり『チェ・ヒョシム(Choe Hyo-sim)』を紹介しよう。なお、同国は東京オリンピックへの参加を正式に表明していない。しかし、近年の大会では40名程度の選手団を派遣、30個近いメダルを獲得しており、東京大会へも恐らく参加するものと思われる。
チェ・ヒョシムは2016年リオ大会、女子55kg級で銀メダルを獲得、国際大会でも素晴らしい戦績を残しており、2019年の世界選手権では同階級の世界記録(スナッチ107kg)を更新した。なお、東京大会の出場枠/出場権を獲得するには、世界ランキングの上位に入り、さらに国際大会で結果を残さねばならない。同選手は女子55kgの世界ランキング2位、先に述べた通り銀メダルも獲得しており、出場枠/出場権の確保はほぼ間違いないだろう。
政治上のいさかいで優秀な選手がオリンピックに出場できない事態だけは避けてほしい。北朝鮮が東京大会への参加を正式に表明すれば、チェ・ヒョシムの代表入りは当確であろう。なお、同国はスポーツ選手育成に力を入れており、代表候補たちはオリンピックなどの国際大会に向けて厳しいトレーニングを行っているという。
北朝鮮のウエイトリフティング代表は強豪選手が揃っている。女子75kg級でオリンピック2連覇を達成した「ム・ジョン・シム(Rim Jong-sim)」は、2019年の世界選手権に出場し金メダルを獲得、さらに世界記録も更新した。チェ・ヒョシムたちの努力が報われることを願う。
<まとめ>
◎チェ・ヒョシムは女子55kgの有力選手。2016年リオ大会、2019年の世界選手権でそれぞれ銀メダルを獲得した。
◎北朝鮮のウエイトリフティング代表は強豪選手揃い。
選手名 | チェ・ヒョシム (Choe Hyo-sim) |
出場競技/種目 | 55kg級(女子) |
オリンピック出場実績 | 2016年リオ/銀メダル |
主な戦績 | 2019年世界選手権/銀メダル |
外部サイトへのリンク
<国際ウエイトリフティング連盟 公式ホームページ>
まとめ
今回は東京オリンピックに登場する、もしくは登場する予定の超一流アスリートを紹介した。なお、私の個人的な主観で選んでいることをご理解いただきたい。
世界の超一流アスリートたちは、頂点を極めるために、皆何かを犠牲にしている。厳しいトレーニングに時間を割けば、日常生活は大きく制限される。家族や友人と過ごす時間も減るだろう。しかし、それでも努力/トレーニングを惜しまず、オリンピックや世界選手権等での金メダルを目指しているのだ。
東京オリンピック開幕まであと半年。世界最高レベルの戦い、超一流アスリートの神技、そして日本代表の活躍を楽しみに待とう。最後までお読みいただきありがとうございました。