◎ロシアオリンピック委員会(ROC)は政府後援のドーピングスキャンダルに対する制裁下に置かれていたが、金メダル20個を含む計71個のメダルを獲得し、2016年リオ大会の56個を軽々と上回った。
2021年7月30日/日本、東京2020五輪、ロシアオリンピック委員会のエフゲニー・リロフ選手は競泳男子200m背泳ぎで金メダルを獲得した(Getty Images/AFP通信)

東京2020五輪に出場したロシアのアスリートたちは国旗、国歌、そしてロシア代表として出場することを禁止されたにもかかわらず、2004年以来最も多くのメダルを獲得した。

ロシアオリンピック委員会(ROC)は政府後援のドーピングスキャンダルに対する制裁下に置かれていたが、金メダル20個を含む計71個のメダルを獲得し、2016年リオ大会の56個を軽々と上回った。

<東京2020五輪 メダル獲得TOP5>
1位 アメリカ 113個(金:39個、銀:41個、銅:33個)
2位 中国 88個(金:38個、銀:32個、銅:18個)
3位 日本 58個(金:27個、銀:14個、銅:17個)
4位 イギリス 65個(金:22個、銀:42個、銅:22個)
5位 ROC 71個(金:20個、銀:28個、銅:23個)

ロシアは昨年、スポーツ仲裁裁判所での法廷闘争の末、国旗や国歌なしで東京大会に出場することが決まった。世界アンチ・ドーピング機関はモスクワの研究所のドーピングデータ改ざんを厳しく非難したが、ロシア当局は不正を否定している。

ロシアの一部の当局者はドーピング制裁を却下し、仲裁裁判所の判決は大きな間違いと非難した。

一方、スポーツ界の批評家や専門家は、「ロシアの選手はナショナルカラーのユニフォームで競争しており、制裁は十分に機能していない」と主張した。

ROCのスタニスラフ・ポズドニャコフ会長は代表選手の活躍を称賛し、「制裁はスポーツの観点で見ると、選手に何の影響も与えなかった」と語った。

また、「大会期間中のドーピング検査で陽性を示した選手がいなかったことは当然であり、ロシア代表はスポーツにおける悪影響と戦った」と述べ、スポーツ仲裁裁判所と世界アンチ・ドーピング機関の対応に疑問を呈した。

ROCは大会前にボート選手2人がドーピング検査で陽性を示したため代表から外したが、東京で陽性を示したボート選手はいなかった。

ROCは体操男子女子の団体を含む多くの金メダルを獲得した。競泳のエフゲニー・リロフ選手は、男子100m背泳ぎと200m背泳ぎで2冠を達成した。両種目でリロフ選手に敗れたアメリカのライアン・マーフィー選手は試合後、「恐らくクリーンではないレースで泳ぐことに精神的負担を感じていた」と述べた。

その後、マーフィー選手は「リロフ選手が不正をしたとは言っていない」と釈明したが、ROCはライバルアメリカの代表選手の写真をソーシャルメディアで共有し、「スポーツ選手は素直に敗北を認めなければならない」と述べた。「ロシアは東京大会に参加しています。それは事実です。あなたは負けを認めるべきです。ロシアはライバル選手の勝利と活躍を称えます...」

リロフ選手は表彰式の猫マスクで笑いを誘い、故郷のカルトヒーローになったと伝えられている。手の怪我を押して出場したテコンドーのマキシム・フラムツォフ選手は金メダル、柔道のマディナ・タイマゾワ選手は目をひどく腫らしボロボロになりながらも銅メダルを獲得し、絶賛された。

ドーピング問題で2016年リオ大会への出場を逃した女子走り高跳びのマリア・ラシツケネ選手は見事に金メダルを獲得し、涙を流した。ラシツケネ選手は競技後の記者会見で、様々な困難を乗り越え、受け入れてきたと語った。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、チームの公式ハッシュタグ「#We Will ROC You」を宣伝する中で、公式と書かれたマネキンを叩くビデオを投稿し、物議を醸した。

「#We Will ROC You」はロシア全土に広まり、テニスの混合ダブルス決勝でROC決戦が実現した際には「#ROCn'Roll Final」がチームの暫定公式ハッシュタグになった。

ロシアのドーピング制裁(すべての主要なスポーツイベントへの出場禁止)は2022年12月まで続くため、選手たちは半年後に開幕する北京2022冬季五輪にもROCとして出場することになる。

2021年7月26日/日本、東京2020五輪、ロシアオリンピック委員会の体操男子チーム(Gregory Bull/AP通信)
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